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2007年6月25日 (月)

『鶴瓶・新野のぬかるみの世界』が残したもの。

Img110私が高校の頃ですから、もう20年以上前になりますが、日曜日の深夜にいつも聴いていたラジオ番組がありました。『鶴瓶・新野のぬかるみの世界』です。当時、大阪の西梅田のサンケイビルにあったOBCラジオ大阪から放送されていました。今は、OBCは弁天町ですね。鶴瓶というのは、笑福亭鶴瓶。新野というのは、大阪の放送作家の新野新。私と同じ世代で大阪で過ごしていた人なら、新野先生はご存知だと思いますが、大阪以外の人はあまりご存知ないかもしれませんね。

当時はテレビの深夜放送もそれほどなく、ラジオもさすがの日曜深夜はどこも放送しておらず、街中がひっそりと静まりかえっていました。そんな中、ラジオをつけると、この鶴瓶と新野先生の声だけが聞こえてきて、もしかするとこの放送を聴いているのは私だけじゃないか、と錯覚してしまうような、妙な気持ちで聴いていました。最初の頃は、民放なのにCMがなかったんですよね。12時開始で、終わるのは2時とか3時とかでした。というのは、気分によって終わりがまちまちだったんです。今では考えられませんよね。

この番組、要するに鶴瓶と新野先生のフリートークが延々と続くだけの番組なんです。コーナーもありません。話題は、成り行きまかせ。「おにぎり談義」というのもありました。素手で握ったおにぎり、誰のだったら食べられるか、という話です。西城秀樹のは食べられるか。八代亜紀はどうか。そんな感じの話です。まあ、食べられるんでしょうが、生理的なニュアンスをおにぎりを食べるというのでさぐっていくんですね。鬼畜な話です。この鬼畜というのも、ぬかるみ用語で、あの映画の「鬼畜」から来ている言葉です。その話、人間的にちょっとどうなの、みたいなニュアンスの言葉です。

他にも、人間の類型を表現する言葉で「おじん」「おばん」「おじんの皮かぶり」「おばんの皮かぶり」というのがあって、それは性別を表す言葉ではなくて、「おじん」は寡黙でクールな人、「おばん」はおしゃべりで社交的な人。「皮かぶり」はいわゆるあれですね。つまり、「おじんの皮かぶり」は本当は「おばん」なのに人前では「おじん」を気取っている人。逆だったかもしれませんが。「おじん」の代表格が高倉健。「おばん」の代表格がつんくとかかな。

鶴瓶は、本当の意味でフリートークの元祖みたいな人で、ジャズにおけるフリー革命みたいな感じのことをお笑い界でやった人だと思います。テレビ東京の『やりすぎコージー』という番組で、今田耕二が「東京もんに負けてたまるか!俺らにはなあ、なにもなくてもまわせるフリートークちゅうのがあんねん!俺らは子供の時に鶴瓶に教えてもうたんや、フリートークというものをな!」みたいなことを言っていましたが(ちょっと違うかもしれませんが)、あの感覚よく分かります。自分の世代を何というのか、というとき、鶴瓶世代っていう言葉がしっくりきますもの。

この「ぬかるみ」をテレビに持ってきたのが、よみうりテレビの『上岡・鶴瓶のパペポTV』ですね。余談ですが、この前、ノックさんのお葬式で上岡龍太郎さんがテレビに出てましたねえ。なんか涙が出そうになりました。この「パペポ」というのは「ぬかるみ」の中の言葉なんです。いわゆる女性器を表す大阪弁をラジオではこう言ってたんです。「ビメコ」「ブメコ」という言葉もありました。これは、解説しません。興味のある方は、調べてみてください。

今で言うと、テレビ大阪の『きらきらアフロ』ですね。この番組で、オセロの松嶋尚美の魅力が世の中に一気に知れ渡りましたよね。鶴瓶という人は、いろんなところで実験的なことを精力的にやっているそうで、名古屋では『スジナシ』という番組をやってます(それとも、やってました?)。これは、毎回ゲストを呼んで、筋なしでドラマを即興でやるという番組です。これは、きっと桂ざこばとやっていた『落語のご』の発展系なんでしょうね。

そういう鶴瓶という人の共通するテーマは、きっと「リアルであること」だと思います。そういう意味では、分野はまったく違いますが、私なんかも鶴瓶の子供なのかもしれません。この辺のお話は、また別の機会にします。写真は、その『ぬかるみの世界』が有料ネットラジオで復活したときの会員証です。新野先生バージョンです。「倍倍ゲームなのよ!」と書いてありますが、会員数は倍倍ゲームとはいかず、新野先生のお体の不調ですぐに終わってしまいました。それはそれで、リアルな話ではありますね。

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コメント

この4月から単身赴任でヤモメ暮らし。最近自分の時間が持てるようになりネットを徘徊していると"ぬかるみの世界"の音源を見つけてしまいました。以来20年以上前のあの頃の懐かしい雰囲気が甦り、いい年して今ぬかるみがマイブームです。貴殿ブログにも"ぬかるみ"をキーワードにたどり着きました。ネットラジオで復活してたなんて知らなかった。再開してもらえると嬉しいんですけどねー

投稿: ふっさ | 2008年7月12日 (土) 22:21

ふっささん、はじめまして。
YouTubeですよね。私も懐かしく聞きました。ネットラジオですが、もしかするともしかするかもですよ。今、大阪にたまたまいてるのですが、「くいだおれ」閉店のニュースで新野先生が登場していて、すごくお元気そうでした。再開するといいですよね。

投稿: mb101bold | 2008年7月13日 (日) 00:40

初めましてU・Mと申します。
手元にぬかるみの世界最終回を特集したラジオパラダイス
と言う雑誌があるのですが、そこに掲載されてる「ぬかるみ
の世界11年半の歴史」(所謂年表ですね)の中に気になる一文が載っているのです。
それは

「平成元年6月 全国縦断電話訪問が最悪の事態になる」

と言う物なのですが、一体何が起こったのでしょうか・・・?
色々ググっても出て来ないので詳細は不明なのです。

投稿: U・M | 2017年5月 3日 (水) 14:52

僕もよくわからないので、ツイッターで質問してみました。もしかすると情報が来るかもしれません。
https://twitter.com/mb101bold/status/859662709570150400

投稿: mb101bold | 2017年5月 3日 (水) 16:23

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