続・がんばれAMラジオ。
浜松町の文化放送にて撮影。けっこう気合の入ったポスターですね。大竹まことと吉田照美。この二人が文化放送の顔というわけですな。吉田照美が『ソコダイジナコト』という朝の番組を、大竹まことが『ゴールデンラジオ』という昼の番組を新しく担当することになり、JOQR文化放送としては、満を持しての新編成です。
「文化放送♪文化放送♪JOQR♪」というジングルが親しまれている文化放送が、「1134」と周波数を大きく打ち出していることからもその気合のほどがよくわかります。
元文化放送アナウンサーだった吉田照美は、テレビでは日本テレビの「らじカル」にDJテルーとして出てらっしゃいますが、本名のほうではラジオパーソナリティーの王道を歩んでらっしゃいますね。文化放送に入社して、まずは当時の人気深夜番組だった「セイ!ヤング」から、セイヤング終了後は「吉田照美のてるてるワイド」、そして、昼に降りてきて、「吉田照美のやる気MANMAN!」。「やるMAN」が終わることなんて考えたことなかったけど、あらゆるものには終わりがあるということで、番組が20年の歴史にピリオドを打ち、今回、ついに朝ワイドの「ソコダイジナコト」。
AMラジオは、こういう王道パターンがあるんですよね。深夜放送を聴いていた若い人たちが大人になって働きはじめて、昼枠のラジオを聴くようになる。やがて、その人たちも年をとり早起きするようになって朝のラジオを聴く。この人生のサイクルにあわせて、人気パーソナリティは深夜から、昼、朝へと足場を変えていくんですね。
ニッポン放送なら笑福亭鶴光。KBS京都ならつボイノリオなんかもそうです。つボイノリオ(これ誤植じゃないですよ)は、深夜のハイヤング京都をやっていて、ちょっとしたカルト的人気を誇っていたのです。もともとは名古屋の人で、名古屋のAMラジオ界では兄貴的存在の人です。発売禁止になった伝説の名曲『金太の大冒険』をつくったシンガーソングライターでもあります。「金太、まいった。金太、まいった。きんたまいった〜♪」という歌です。く、く、くだらねー。それともうひとつ名曲「名古屋はええよ やっとかめ』もあります。「名古屋はええよ〜♪しゃちほこあるでよ〜♪」みたいな感じの歌詞が続き、正確な歌詞が思い出せないですが、「名古屋を馬鹿にすると、新幹線止めるでよ〜」と締めるのです。確かに、新幹線を止められると困りますね。
つボイノリオのハイヤング京都、めちゃめちゃ面白かったんですね。それこそ、当時の関西の深夜のAMラジオは、MBSヤングタウンの独壇場。さんま、鶴瓶、ちんぺい&ばんばひろふみ、鶴光といったすごいラインナップで、サブも石川優子など人気もの揃い。そんな中、ひとりつボイノリオが気を吐いている感じでした。AMラジオならではの自由がこの番組にはありました。もう、やりたい放題でした。といっても下品系とか過激系ではなくね。今だと、TBSラジオの伊集院光みたいな感じですかね。
またまた、話がそれてしまいました。そんな文化放送ですが、あの浜松町本社ビル、放送局のビルにしては小さめなんですが、サテライトスタジオと、そのスタジオの前にちょっとしたライブができるスペースがあるんですね。小さなスペースですが。そこで、お昼や夕方にライブをやるんですね。若いアーチストを呼んで、ギターや電子ピアノの弾き語りで。あれ、いいなあと思うんです。あのスペースがあるだけで、浜松町の街の感じがなんとなく違うんですね。ああいうちょっとした気の利かせ方が、文化放送というラジオ局らしくって。
ブランディングやなんやと理屈をこねるけど、本社ビルを設計するときに、ああいうフリースペースをつくっておこうという気の利かせ方が、愛されるブランドをつくるんだと思うんですね。あのスペースは、効率主義で言えばもったいないスペースですよね。だけど、たったあれだけのスペースだけど、ここで弾き語りでもいいから、小さなライブできたら、街の人と交流ができるよね、みたいな発想があって、それが企業の中を通っていって、きちんとスペースという形で実現することがすばらしいと思うんです。レーティングはともかく、浜松町で働く人は、きっと文化放送にいいイメージを持っていると思います。やっぱりね、ちいさなことだけど、がんばれ文化放送って思いますもの。まあ、個人的には、同時に、朝や昼だけじゃなく、深夜をもっとなんとかしてよ、って思いますけどね。
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