あれはないんちゃいますか。
FM東京の『放送室』を聴きながら、ちょっと思った。
松本さんが、なにやらすごい書籍の企画を思いついて、話し始めた。それで松本さんが「これ、真似されるから、やばいとこは切っといてね」と前置きして、その話を話した。高須さんが乗り始めて、「松本さん、それすごいなあ」とか言い始めて、さあ話の本題に、というところで、放送を遮るように関係ない音楽が流れるんですな。
で、20秒くらいの音楽が流れて、話の続き。要は、やばい話を音楽で遮ってるんですな。それが、10回くらいブツブツと。正味、話しは半分くらい。あとは、関係ない音楽。いくらなんでも、あれはないんちゃいますか、と思った。
たぶん、パペポから始まったと思うんですが、放送禁止用語を遮る効果音までは、まあええかな、と思うんですわ。文脈でわかるし、フリートークと、テレビの規制との間の緊張感みたいなもんを感じるから。要は、テレビのぎりぎりまで自由にやるよ、という意志みたいなもの。
でも、その話の半分くらいが音楽で遮られるって、いくらなんでもね。だったらラジオで話すな、っちゅう話ですわ。松本ファンなら、その半分くらいの隠された話を想像してワクワクするとでも思ってるんですかね。だって、その音楽入れられる時点で録音でしょ。編集できるんでしょ。面白い番組だけに、なんなんでしょ。もしかすると、前からそんな乗りかもしらんけど。
松本さんって、そういう音楽を入れるような編集とかに対して、だったらラジオで話すな、みたいなツッコミを入れるタイプの人なのに。ラジオのフリートークって、なんで面白いかというと、生身の人と生身の人の生な話を、ラジオっていう公器の器で公開するっていう、その緊張感がリアルでおもろいんだと思うんですわ。
この放送も、映画がらみで松本さんが「モノつくるヤツがいっちゃん偉いねん」と本音を言ってしまうような、その感じがおもろいんです。甘い考え方やと思いますけど、それは。でも本音。僕も、仕事の場面で、そういうこと言いたいこといっぱいあるし、でも、モノをつくるヤツは、その偉さと引き換えに、どんな批評も受け入れなければならないという矜持もあるべきで、ということは重々承知だけど、「モノつくるヤツがいっちゃん偉いねん」という、僕の心の中にもある甘い本音が聞けるのがラジオなんです。
だったらさ、やばい話を音楽で遮って、我々はこんな話も、やばいとこだけ音楽で遮って、そのまま流して、ね、これライブ感あるでしょ、というのは違うと思うんです。やばい話をラジオをするなら、ラジオだからということを前提で、ラジオで流せない話を、いろんな比喩とか、ぼかした言い方とかで、ばれないように、その規制の中で、直接的な言葉を使わずに話しきって、やばい内容を伝えきってしまうのが、ラジオのフリートークの面白さではないんでしょうか。規制なんてものは、頭使って乗り越えればええやないですか。
例えば、「ああ、これ言いたいけど、これラジオでしゃべられへんわ」とかね。「でも、しゃべりたいなあ、でもなあ」とか延々やって「もうこの話、やめとこ。」でもいいんです。それも、ラジオの面白さだから。何も、ほんとのフリートークを隠しと録りしてるんじゃないんですから。FM東京のスタジオで話してるんだから、当然、当人たちもラジオってわかってやってるわけでしょ。ディレクターも、その話の半分が流せないな、っていう時点で、もう20分長く録音したらええやんか。「モノつくるヤツがいちばん偉い」なら、ラジオのフリートークというモノで勝負してほしいです。
それを、さも「おもしろい貴重な話だけど、ラジオ局としては限界があるから、半分音楽で隠してお届けする」っていうのは、規制によって、松本さんを無意味に権威化するっていう機能の仕方しかしないと思うんですよね。そういう権威化の方法は、すごく下品なやり方だと思うんです。
だったら聴くなよって言う理屈もあるんですけどね。まあ、こっちもその理屈をわかった上で、だったら聴かへんわ、という理屈で、こういうことを言ってるわけで、こんな感じでやってると、ラジオ、ほんとに駄目になるなと思った次第で。いや、それも違うかな。なんか、単純に、悲しい気分になったから、こういうことを愚痴として言ってみただけなんですが。ホント、FM東京さん、ああいうのどうなんですか。
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