キャラクターは、いいヤツだ。
某お菓子会社の某商品ケータイサイトのキャラクター「ポッキーノ」君です。今も大活躍していますね。じつは、私は生みの親のひとりでもあるんですが、今では親元を離れ、元気にやってるみたいですね。
私は、じつはキャラクターが大好きです。集めるのではなく、つくるほうですが。なにしろ、法外な出演料を要求しないのがいいですねえ。いろいろ細かいマネージャーもいませんし、演技力は抜群だし、どんな役でもNGはないし。
いわゆるタレント広告。私は、それほど否定はしません。外資系広告代理店の人の中には、もう烈火のごとく否定する人もいらっしゃいますけど、私はそうでもないです。しかも、普段はタレント広告を否定している制作者が、撮影のときにうれしそうにしているのをよく見てますから。日本人はタレントが大好きです。
実際に、タレント広告は効きますし、費用対効果の面でも優秀な場合も多々あります。それに、表現やメッセージの観点でも、有名なタレントがそこにいるというだけで、広告が成り立ってしまうだけのパワーがあります。もうひとつは、ブランドのビヘイビア(態度)を表現する際に、生き方に個性があるタレントを起用するという方法は、非常にいい手であることは間違いがありません。
けれども、やっぱり、タレントパワーに全面的に頼りきってしまうのは、ちょっとさびしいな、とは思います。ひとつのブランドでタレントがクールごとにコロコロ変わるのは、コンビ二のPOSですぐ結果が出る時代を考えると、その発想は痛いほどわかるけど、一消費者としては、やっぱりさびしい。タレントを使うなら、かつてのボンカレーみたいにやってほしいな、と思います。いまは松坂慶子に変わったんでしたっけ。
そういう意味では、キャラクターは広告にとって非常に有効な手段だと思います。なによりもまずブランドに近い。そして、愛されていくことで、そのコントロールさえ間違わなければ、大きく成長してくれる。成功したキャラクターは、それこそ企業の財産になってしまうんです。そういう意味では、NOVAの「NOVAうさぎ」やダイキンの「ぴちょんくん」は本当によくできているなあと思います。ダイキンさんは、「ぴちょんくん」ラインではない企業広告の分野でお手伝いはしていますが、もう見事だなあ、と感心します。
どちらも、ブランドや商品にものすごく近いところで個性をつくっているんですね。上記の私の事例もそうですが、ブランドや商品の特徴や差別性からキャラクターをつくることで、他にはないキャラクターのオリジナリティを生み出すことができます。それは、そのほうが商品のメッセージが伝わりやすい、みたいな単純な話ではなくてね。例えば、「NOVAうさぎ」を見て、誰も、いっぱい聞ける「うさぎの耳」と、いっぱいしゃべれる「鳥のくちばし」からきているなんて伝わらないですよね。でも、そういうブランドの差別性からキャラクター設定をしているからこそ、あの愛らしく他にはない「NOVAうさぎ」の魅力的なキャラクターができるんです。
頭の中でつくられたオリジナルは、所詮は頭の中の話なんです。世の中でたら、模倣を生むし、模倣されても、誰かが考えたオリジナリティーなわけで、その模倣の社会的良し悪しは別にして、ほかの誰かが同じオリジナリティーを思いつく可能性はあるわけです。
しかし、ブランドの差別性を根拠にしている限り、そのオリジナリティは、そのキャラクターだけのオリジナリティなわけですから、ずいぶん強いのです。はっきり言ってしまえば、その差別性が説明的にわかるキャラクターをつくる必要など一切ないけれど、オリジナリティの根拠は、絶対に商品やブランドに求めるべき。そう考えます。
このキャラクターは「ネムレン」君です。某製薬会社の不眠症関連の広告で活躍しました。これも私は生みの親のひとりです。眠り=羊。すごくベタですが、キャラクターはストレートなほうがいいと思うんですよね。この子は、すごく器用に活躍してくれて、きめ細かく動いてくれました。
いろいろな説明を楽しくしてくれたり、ウェブでは不眠症日記で登場したり、新聞広告から、チラシ、パンフにいたるまで、大活躍でした。こういうきめ細かいこと、なかなかタレントさんでは難しいですよね。
新聞広告などでは、こんな登場をしました。これ、いいと思いませんか。思いませんか。そうですか。でも、個人的には、すごく大好きなアイデアです。眠れなくて、羊が一匹、羊が二匹、とやっている羊。私は、この手のシュールな感じがどうも好みみたいですね。作品を見せると、人に、シュールなやつ好きなの、とよく言われますので。
現在も、某企業のキャンペーンでキャラクターの広告を制作していて、展開中ですが、やっぱりキャラクターっていいですよ。広告を見る人だけでなく、お得意の人からも愛されるし、基本的に性格いいし。それになにより、不祥事とか絶対に起こしませんしね。
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