I LOVE OSAKA
大阪で生まれて大阪で育って、いま東京で仕事をしているけれど、何年経っても東京人にはなれない気がします。べつに、東京が嫌いなわけではありませんし、あんな真っ黒なうどん喰えるかい、なんて不粋なことも言いません。あれはあれで、鰹が効いてておいしいしねえ。大阪のは、昆布出汁だから、汁としてはまったく別物。そばに至っては、こっちのほうがおいしいです。
だからと言って、私、大阪人ですわ、という感じでもないし、普段話す言葉も、それほど大阪弁が強いほうではありません。関西イントネーションは抜けないですが。仕事場では、関西イントネーションで「だからさあ、それ、そういうことじゃないじゃない」と言ってるわけです。「関西人 in Tokyo」というスティングの曲のパロディがありましたが、ああいう感じかな。そうでもないか。あれ、奈良の人の歌だし。大阪以外の関西の人は、結構、大阪でくくられるのに抵抗があるらしいです。
大阪と東京の違いは、いっぱいありますが、音楽がまったく違いますね。もう街中が黒いんですね。ブルース&ソウルシティです。ゴールデンウィークに「春一番」という野外コンサートがあるんですが、もう大阪色がめちゃ強いコンサートで、有山じゅんじさんや、木村充輝さん、大塚まさじさん、石田長生さん、清水興さん、藤井裕さん、正木五郎さんなどなど、挙げていったらきりがないくらいの、関西ミュージックシーンの重鎮揃い。そこにキー坊がいたら完璧なんやけど、それはもうないんやろうな、と私の先輩はさびしがっておりますが。
で、大阪と東京は、どう違うのかって、それはリズムがまったく違いますねえ。圧倒的に生々しいんですわ。ここ最近、ずいぶん大阪も東京ナイズされてきたように思いますが、音楽だけは、いつまでも変わらないなあと思います。はっぴいえんどとサウストゥサウスの違いと言えばいいんでしょうか。これ、ある年代の人しかわからないかな。それ以上の人からは、はっぴいえんどと比較するなら、ディランllやないか、と言いそうですが。フュージョンでは、カシオペアとナニワエクスプレスの違いかな。それも、ある年代以上じゃないとわからんか。そういえば、ナニワは再結成しましたね。
これが京都になると、ちょっと違ってきて、ジャズとかワールドミュージックの影響が感じられ、ぐっと知的になってきます。私のおすすめの在京都ミュージシャンは「ふちがみとふなと」。ボーカルと音楽小物担当の渕上さんとウッドベース担当の船戸さんのデュオなのですが、これがいいんです。渕上さんの声が抜群で、船戸さんのベースもすごく心地よく、おすすめです。船戸さんのベース、理想のベースだなあ。あんな暖かいベースが弾けたら、いいだろうなあ。
私は、高校まで大阪で、大学は多摩の山奥にある中央大学でしたので、大学時代は東京なんですね。まあ、東京と言っても、遊んでたのは府中とか聖蹟桜ヶ丘とかでしたが。でもって、卒業後、在阪のCI会社に就職して一度大阪に戻るんですが、そこで苦労したのは、大阪弁の独特の敬語表現ですね。ちょい目上の人に話す言葉を東京で覚えたので、「先輩、これからどこ行かはりますのん?」とか「ボク、そんなこと言うてないですやん!」とかが自然に言えなくて苦労しました。なんか口が気持ち悪いんですね。
広告の仕事を始めてから、私はわりあいスパッと東京に来てしまったんですが、それは、あのときの、「ああ、もう僕は大阪人ちゃうんやな」っていうさびしい気持ちがあったからかもしれません。カントリーロードの話じゃないですが、なんとなく、「さよならカントリーロード」な気分がありますね。大阪では、大阪育ちの東京人で、東京では、東京在住の大阪人。 I LOVE OSAKA.だけど、なんか複雑な気分があります。
■ご参考
「ふちがみとふなと」オフィシャルサイト『へなweb』
「考えるフチガミ」のコーナーがいい感じ。文章もふちふなの音楽みたいです。
『京都音楽博覧会』オフィシャルサイト
ふちふなさんも出演。9月23日にあるそうです。京都系の音楽シーンがわかるかも。
ライブハウス『ヒポポタマス』ウェブサイト
大阪のミュージックシーンを影であやつる(笑)ヒポポ大王様のお店です。音楽愛に満ちてます。私は先輩に連れられて3回ほどお邪魔させていただきました。
『はっちゃんと春一番コンサート』
春一こと春一番コンサートのことを知りたければ、ここ。来年、春一あるのかな。あるよね、きっと。
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