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2007年8月29日 (水)

中央大学モダンジャズ研究会のこと。あるいは、ジャズの愉しみ方。

 今も、白門祭で特設ライブハウス「サテンドール」をやってるのでしょうか。中央大学は、どちらかというとビッグバンドジャズの「スィングクリスタルオーケストラ」の方が有名なんですが、私のいたモダンジャズ研究会はコンボ中心で、他大学に比べると、ハードバップ一辺倒の人が多かった気がします。あと、ニューオリンズとかも。とにかく、モードやフリーさえ邪道だ、という感じがありました。今も、その伝統はあるのかしら。あれから20年経ってるんですよねえ。月日の経つのは早いですね。
 前にも書きましたが、私は新入生の頃、モダンジャズなんて聴いたことがなく、たまたま勧誘されて、なんとなくジャズもいいなかなんて軽い気持ちで入った口で、最初は結構辛かったなあ。カシオペアとかスクエアとかナニワエクスプレスとか、フュージョンと呼ばれるインストルメンタル音楽は聴いていたものの、ビル・エバンスはおろか、ソニー・ロリンズさえ知らなかったんですよね。
 最初はピアノをやろうと頑張ってたんですが、私には無理でした。で、あまりなり手のいなかったベースを始めたんですね。その辺は、ロックでも何でもバンドでよくあるパターンですね。正直、2年くらいは辛いだけでした。どうしてもジャズという音楽に馴染めなかったんです。古典落語を聴いてるようで。そんな私を救ってくれたのが、ビル・エバンスでした。なぜかエバンスは聴けたんです。
 ジャズ研に入るときに、好きなミュージシャンは、と聞かれてナニワエクスプレスと答え、それ以来、私はみんなから「なにわ」と呼ばれてました。いまだにジャズ研の連中からは、「なにわ」って呼ばれます。エバンスが好きになってから、ああいう音楽なら自分でやってみたいな、ということで「なにわバンド」というピアノトリオを結成して、そこから、ジャズという音楽が好きになっていきました。
 ベーシストとしてはまったくの我流で、変なことばかりやってました。音楽理論に疎かったので、なんとなく感覚で、実験っぽことばかりやってました。例えば、Fのブルースだったら、ベースをE♭でガーンとはじめると、ドキドキする感じがするとか、ランニングベースを弾くにしても、2章節分を3と5で分けて弾いて、ポリリズム的に処理するとか、そんなアイデア一発の演奏をしていました。これを意識的にやると、変拍子のわざとらしさや段取り臭さを排除しながら、変拍子の不安定感を表現できるので、いいんですね。2、3、7、5とでたらめな拍子を頭に描きながら、12小節の最後で無理矢理解決するとかね。いまジャズをやっててテクニックに自信がない人、こういうやり方、結構使えるかもよ。すぐに限界が来るけど、2、3回は客は沸きます。

 ジャズを聴きだして、よかったなあと思うことは、アメリカのいい時代の音楽を覚えられたことですね。『星影のステラ』とか『マイロマンス』とか『マイファニーバレンタイン』とか。いい曲ですよね、みんな。原曲は、ぜんぶ映画とかミュージカルの主題歌。そういうスタンダード曲を覚えると、人生が少しだけ豊かになりますよ。ジャズの愉しみは、そういう名曲の解釈を愉しむということでもあります。なるほど、エバンスはそう解釈しますか、みたいなね。
 JR東海の「そうだ、京都、いこう」で流れている曲は『マイフェイバレットシングス』という曲で、日本語で言えば「わたしのお気に入り」ですが、例えば、この曲は、ジョン・コルトレーンなんかは、それをむちゃくちゃに崩してハードに演奏しています。変拍子にしてるし。最後の方、なんか変な笑い声聞こえるし。ああいう演奏は、原曲を知っていると、より楽しく聴けると思います。というか、原曲を知らないと、はじめてジャズを聴く人は、「あ、これ難しすぎて、わからない」ってなるんじゃないでしょうか。そうなったら、もったいないなあ、って思います。
 はじめてジャズを聴いてみようかな、という人は、たとえば『枯葉』とか、自分が知っていて、好きだなあと思うスタンダード曲をやっている様々なアーチストの演奏を、手当たり次第にダウンロードして、iPodに入れて聴いてみるとかがいいんじゃないかな、なんて思います。本当に、いろんな解釈があるんだなあ、って感心しますよ。ジャズの愉しみ方は人それそれですが、私は、「解釈」が、ジャズの本質のひとつだという気がします。これを読んでるジャズを一度も聴いたことがないあなた、騙されたと思ってやってみてください。やっぱり、騙されたってなっても、当方は何の補償もしませんので、くれぐれも自己責任でね。まあ、理屈はともかく、ジャズは案外おもろいんよ、というお話でした。

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