らも。
本棚から中島らもさんの本を出して読んでみる。文章が案外若い。生らもさんは春一番コンサートで見た。炎天下、黒いコートを着て、ストラトキャスターにディストーションをかけて、ただただかき鳴らし唸ってた。フラフラしてて、今にも倒れそうだった。午前中なのに泥酔してた。今思えば、酒のせいではなかったのかもしれない。
大阪の進学校で落ちこぼれた私にとって、らもさんは救いだった。関西の元神童たちは、登下校の電車の中で、三島由紀夫と中島らもを読みふける。京大や阪大の赤本を詰め込んだ学生鞄から、過剰な自意識がこぼれ落ちる。
らも。らも。らも。なぜらもなのか。無意味な問いを繰り返し、何とかなるやろ、と呟いた。らもさんがエッセイ稼業をやめ自分の物語を書き出したとき、私は何とかなる人生を歩き出し、らもさん頼みを卒業した。
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