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2007年10月 4日 (木)

ニューヨークでは、ジョン・スコフィールドのライブが1,000円くらいで聴けるらしい。

 もう15年以上も前の話になるけれど、バブル全盛の頃、私の所属していたジャズ研の同僚が嘆いていました。彼は、モダンジャズが大好きで、それこそ有名海外ジャズメンのライブは欠かさず見ていました。それが生き甲斐みたいな人です。今までは、例えば、渋谷公会堂とか中野サンプラザとかのホールでコンサートを行っていたのが、そういう箱ではやってくれなくなって、例えば、ブルーノート東京とかの高級ライブハウスでライブを行うようになって、今まで4,000円(当時の価格です)で聴けたのが、15,000円くらいになってしまったということでした。これはそのジャズメンが悪いのではなく、日本の当時のプロモーターの問題だったりするんだけどね。

 その人はいわゆる下戸で、当時は彼女もいなかったんですね。で、その人は、それでも有名海外ジャズメンのライブをどうしても聴きたいので、ブルーノートにひとりで行くんですね。高いチャージを払って、ワンドリンク頼んで聴くんですね。バブリーなカップルばっかりの中、貧相な格好で身をひそめて、食事も頼まずに、食い入るようにウィントン・マルサリスとかを聴くんですね。ジャズが大好きだから。バイトで稼いだお金をぜんぶ払ってね。

 一方、ニューヨークのとあるライブハウス。ファットチューズデーだったと思うんですけど。ジョンスコ(ジョン・スコフィールド=泣く子も黙る有名ジャズギタリストです)のライブが、チャージ1,000円そこそこで聴けるそうな。7年くらい前の話だから今はわからないけど。当たり前のようにジョンスコがそこにいた、と私の会社の先輩が興奮して語っていました。

 このところ、収益性の問題を個人的にねちねちと考えているんですが、まずはニューヨークのそういうジャズの状況はいいなあと思うのと同時に、ジョンスコがそういう箱でやる収益性がどうなっているんだろうなんて思うんですね。例えば、ビル・エバンスの「ワルツフォーデビー」というアルバム。ニューヨークのビレッジバンガードという有名ライブハウスの録音ですが、それを聴いてみると、客はおしゃべりしまくりで真剣には聴いていない感じなんですね。酒場のライブですね。ということは、チャージも安かったんだろうな、なんて思うわけです。日本の私から見たら、憧れのビレッジ・バンガードですけど。

 私、大塚まさじさんという音楽家が大好きなんですね。知らない方も多いでしょうから、説明しますと、あの「プカプカ」という曲を歌っている人です。「♪俺のあんこはタバコが好きで‥」という歌です。知ってるでしょ。カラオケでおやじが歌ってるでしょ。その原曲を歌ってる人です。なぜ大塚さんの音楽を知ったかというと、中学生の頃、大阪の御堂筋のお祭りで、路上ライブをやっているのをたまたま見たから。「天王寺思い出通り」という曲を歌っていて、それが妙に心に残っていて、それ以降、大塚さんの音楽を聴くようになったんですね。「♪しょんべん臭いプラットフォームの‥」という歌い出しの曲なんですねすけどね。 

 本当に偶然なんですけど、3年ほど前、大阪出張のときに、新幹線で大塚さんと席が隣になったんです。ギターを持っていらっしゃいました。で、恐る恐る「大塚さんですよね。」と聞いてみたんです。で、しばらくの間、いろいろとお話をさせていただいたんですね。で、中学校のときの御堂筋の路上ライブのとことかを尋ねてみたら、「あれはねえ、大阪市から大阪の歌ということで頼まれたんですよね。でね、歌い出しがしょんべんくさいプラットフォームでしょ、役人がまいったなあという顔してたなあ」なんて笑ってらっしゃいました。手弁当に近い感じだったそうです。

 文化って、そういうチープな部分と、リッチな部分がコインの裏表になってはじめて成り立つものなんなのだろうなと思うんですね。マーケティングは、そういう文化というコインの裏をすくい取れないかも、と思うんですね。いやいや、マーケティングというのは、そういう裏もすくい取るものなのだよ、という意見もあるでしょうけどね。なら、合理性と言ってもいいのかもしれないけど、結局、合理性だけで走ってしまうと、チープだけど重要な何かを切り捨ててしまって、文化そのものが衰退してしまうような気がするんですね。収益性を考えるときに、チープだけど大切な部分を考えていかないとえらいことになるだろうな、と思います。新聞とか広告とかのこれからを考えるとき、この視点は、大切かもなあ、と思います。テレビだと、AMラジオが駄目になったら、テレビも衰退するみたいな視点。でも、チープな部分の収益性も同時に考えないといけないけど。

 なんとなく、またまた、すっきりしない感じのわかりにくいエントリを書いてしまったな、なんて思いますが、まあ、ブログですから。なんとなくもやもやしていますが、本日はこんなとこで。ではでは。

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コメント

はじめまして。トラックバックもよく理解していない初心者です。なんとなく避けていたブログをはじめてみて、いろいろと他人様のブログを除いていました。そしてこちらにたどり着きました。なかなか濃厚な記事を書いていらっしゃるのに、コメントがあまり無さそうでしたので、書かせてください。

収益性といえば、このまえスワローズの古田監督が引退表明した日に神宮球場に駆けつけけたのですが、それほど広くない神宮球場でも、内野席も外野席もガラガラでした。そこで思いつくのは、放映権や場内広告とかでまかなわれている費用が大きいのだろうということ。とすると、ショウビジネスは来場者からの収益にいかに左右されないようにするかが大事なんだろうか…とも思います。逆に、来場者からの収益で運営しようとすると、神宮球場のチケットはいくらになるんでしょうね。
なんだか収拾のつかないコメントでごめんなさい…。

投稿: そうちゃん | 2007年10月 4日 (木) 21:58

そうちゃんさん、はじめまして。

コメントありがとうございました。私もそうちゃんさんと同じく、初心者さんなんですよ。やっと4ヶ月目です。

収益性の問題ですが、野球チームの場合は、例えば、ヤクルトなら、チーム名が企業名なので、そこで結構収益性は保たれてるんじゃないかな。ああいう名前の球団があることで、ヤクルトという企業名は子供でも知るようになりますよね。その効果をお金に換算すると億じゃきかないかも。楽天が球団を持ったのもその効果がほしかったからだと思います。

もちろん、球場の広告やテレビの放映料も大きいですね。でもね、野球場に人がこないのが収益性以上に問題なのは、野球という文化が廃れてしまうことなんです。野球場の収益って、大きいけど、それより大きいのがファンがいなくなっちゃうこと。

日本のプロ野球ってそこがたいへんな問題なんです。野球場ががらがらでもお金的には致命的じゃないけど、将来ファンがいなくなって、誰も野球なんか興味がなくなることが非常にまずいんです。アメリカの大リーグはお客さんいますよね。ヤクルトはファンサービスを一所懸命にやる球団だけど、それでもガラガラですものね。

アーチストの全国ツアーも儲からないけど、音楽という文化にとって、そのアーチストにとって、それが生命線だからやる側面もあると思います。世の中、むずかしいですねえ。

そうちゃんさんのブログもみましたよ。お互い楽しみながらがんばって書いていきましょうね。これからもよろしくお願いします。

投稿: mb101bold | 2007年10月 5日 (金) 00:52

こちらこそご丁寧にありがとうございます。
4ヶ月ですか、すごいですね。私なんて続けられるかどうかもあやしいというのに!なんとか楽しんでいきたいと思います。よろしくお願いします。

野球の話は、なるほど、企業名がつけられるメリットは大きいですね。来場客以外からの収益に頼るというのは、アーティストで言えば、CMやドラマで使われて大きく売れるようなものでしょうか。ライブで聴いて欲しいけど、CDを売らなければ収益が出ない、CDを売るにはCMやドラマで使ってもらわないといけない。いまどきはダウンロードかもしれませんが…。

コンビニのお弁当のように、つぎつぎと目新しい商品が現れては消える生活に慣れてしまうと、ひとつの球団やひとりのアーティストに愛着を持つことが難しいのかもしれませんね。

投稿: そうちゃん | 2007年10月 5日 (金) 02:10

アーティスト関係は専門じゃないから詳しくはわかりませんが、アーティスト本人はライブもCDも大事だと思ってて、CMやドラマに使われるとうれしいんだと思いますよ。

でも、企業として見るとCDやCMはライブに比べて収益は比較にならないくらい大きいんだろうなと思います。余談ですが、CDはどんどん収益性は落ちていますよね。だから、CDの会社は必死なんですね。アメリカの旧ナップスターの出来事もありましたよね。

で、ライブは儲からないから合理化してカットしてしまおうという考え方が生まれますよね。CMに使ってもらってCDをばんばか売るだけにしようなんてね。そうすると、一時的には無駄のない高収益な企業になりますが、それは大きな目で見ると自分の首を絞める結果になるということですね。

そうちゃんさんがおっしゃるとおり、これだけ消費の速度が速い世の中になってきたら、じっくり「文化」を熟成するみたいなことが難しいのかもしれませんね。育てる、というか、そういうことがね。これは難しい問題ですね。

投稿: mb101bold | 2007年10月 5日 (金) 11:31

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