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2007年12月29日 (土)

2007年の広告業界を振り返って。

 とは言っても、私が所属する某外資系広告代理店、大ざっぱに言えば中堅広告代理店まわりの出来事から見た、私の印象レベルの話です。あらかじめ断っておきますね。広告業界といっても所属する会社や、役職によって、見える風景は随分変わってくるでしょうし、これは、私から見た個人的な2007年の広告業界だと思って読んでいただければ幸いです。

 ここ数年、広告代理店の再編成がありましたよね。まずは欧米のWPPとかピュブリシスグループとか、国際的な広告代理店グループの再編成があって、それに遅れて、日本の広告代理店も企業グループを編成したりしました。媒体部門の統合があったりしました。そうしてできた新しい秩序を維持したまま、大きな変化もなく2007年を終えようとしているという印象です。2008年は、その秩序がどういう風に変化していくのか、ということでしょうね。そういう意味では、来年も大きな変化はないような気がします。

 2007年は、旭通信社と第一企画が合併してADKが出来た時のような大きな変化もなく、かつての萬年社のような大型倒産もありませんでした。一頃元気のあった外資系広告代理店やクリエイティブエージェンシーも、なんとなく元気がなく、一頃叫ばれたフィー制への移行もあまり進まず、ゆるやかな衰退という感じがあります。とりわけ中堅広告代理店の存在意義みたいなものが問われているような気がします。昔だと、小回りが利く、エッジがある、細かいところまで行き届いたサービスができるといった中堅の良い部分も、大手とあまり差別化できにくくなっているような気もします。

 そうした危機感は、どこの中堅広告代理店もきっとあるように思います。媒体コミッション中心の収益構造が変わらない以上、この危機感はなくなることはないでしょう。どこも、他者とは違う差別化ポイントを探しているというのが現状です。業界を見てみると、大手と、媒体社系列や企業系列の広告代理店が元気で、いわゆる普通の中堅広告代理店は、どこも厳しい感じだと思います。

 しかし、媒体コミッションは一頃の過当競争で下がってきていて、ますます苦しい現状があります。これは私の状況でしかないかもしれませんが、媒体コミッションが下がる一方で、広告制作費も下がり続けています。このままでは業界自体が弱ってしまうのではないかという思いが私にはあります。

 ちょっと悲観的なことばかり書いてきましたが、2007年で少し良くなってきたかな、という部分は、企業が何かやらなければという機運が見えてきたことでしょうか。例えば、理系大卒・大学院卒人材の不足から、人事施策案件が増えてきていること。これは、来年に向けての少しばかりの希望かもしれません。これまで、中堅が活動を凍結してきただけに、一気に雪解けとなればいいな、と思っています。

 普通の広告代理店の制作マンから見た2007年は、ネット系の仕事がいよいよ当たり前になってきたことですね。ネット系の仕事に早くから取り組んできた制作マンは、前からいらっしゃいましたが、今年あたりから、そういう人でなくてもネットの仕事が当たり前のようになってきました。それとともに、いわゆるSPもですね。SPとマスは別部隊、みたいなことがいよいよ本格的に成り立たなくなってきました。これは、私はいいことだと思っています。企業の視点で見ても、これは当たり前ですよね。制作側の都合でしかありませんでした。

 例えば、CMがありますよね。これは大事ですね。でも、例えば、資料請求をされた方がいちばんはじめに目にするパンフレットは、もしかするとその企業のブランドの入り口として、CM以上に大事なツールになるかもしれませんよね。あるいは、最終的な店頭コミュニケーションやサービスが杜撰だったりすると、緻密につくられた広告コミュニケーションも無になります。特にCGMが発達した今の環境では、そうしたことは致命傷になり得ます。もう、これからは、その当たり前の事実に背を向けられないでしょうね。

 私はCMしかできません。私はグラフィックしかできません。私はパンフレットしかできません。私はウェブしかできません。そういうクリエーターは、少なくとも広告代理店においては成り立たない時代がやってきているような気がします。来年は、そうした価値観がもっと加速するような気がします。

 中堅という規模を考えた場合、私のいる中堅広告代理店のメリットは、CMからパンフレットまで、すべてのツールをクリエイティブディレクターが管轄できるというとろこにあるのかもしれないな、と思うんですよね。そういう視点で言えば、無印良品のコミュニケーションは、ある意味で、私たち中堅のお手本になるのかもしれないなと思っています。店頭からマス広告まで、同じクオリティでコミュニケーションを作っていくためには、同じ人間がすべてを管轄することが必要になると思います。それができるのは、中堅企業であり、中堅広告代理店であるんだろうなと思うんですよね。そして、このことが中堅の面白さであり醍醐味であるだろうな、と私は思っています。

 ダイナミックにマスをドライブしていくコミュニケーション。最新のデータと理論で構築された、ストラテジーベースの緻密なコミュニケーション。しかし、それも微分して見ていけば、それぞれの小さな制作物のクオリティに還元されていくはずです。そして、その小さな制作物ひとつひとつをつくっているのは、じつは人なんですね。これだけは、広告が高度化しようと、変わらないと思います。ありきたりですが、人の部分をどう豊にしていくか、ということを、来年の課題としていきたいなと思っています。

 そのためには、まず私自身が豊かにならないといけないな、と思うんですよね。それと、自分にいつも余裕をつくっておくことが大切だな、と思います。どうしても量に飲まれてしまったりしてしまいますから。こうして書いていくと、なんとなく2007年は、いつもの年と違う気がします。なんとなく抜本的な改革とか、圧倒的な流れとか、斬新な理論とか、そういうことには興味がいかずに、もっともっとベーシックな部分というか、根っこの部分を見つめ直すというか、そんな感じです。なんとなく凡庸な気もするけど、それが2007年のリアルな気分なのでしょうね。

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