静寂の次に美しいもの。
The Most Beautiful Sound Next To Silence.
マンフレート・アイヒャーが設立したジャズレーベル、ECMの広告コピー(企業スローガン)です。チック・コリアの「リターントゥフォーエバー」や、キース・ジャレットや「ケルンコンサート」などの名盤を次々と発表しました。このレーベルの特徴は、何と言ってもその音の良さです。中音域が厚く、滑らかで澄み切った音質は、ECMサウンドと言われています。
ちなみに、直訳すると「静寂の次に最も美しい音。」というふうになるんですが、きっと日本語だと「静寂の次に美しいもの。」とするほうがいいんだろうなと思い、エントリーのタイトルは「静寂の次に美しいもの。」としました。というか、私は、このコピーを英語で見て以来、この日本語で覚えてしまったので、この訳のほうがしっくりきます。
いいコピーですよね。芸術というものの本質がここにあるような気がします。静寂の美しさに迫るために、音を重ねていく。その逆説が、敬虔な感じがして、とても素敵です。漸近線的な芸術的追求をこれほど言い表した言葉は、なかなかないんじゃないかと思います。
音楽にとって、本当の美とは何か。
音楽にとって本当の美、それは静寂だよ。これは、本質を問う、あらゆる問いかけに対する最も正しい答えなんだろうなと思います。こういう答えを持っておくことは人間にとっては必要なのだろうな、そんなことを考えました。
歴史を見ても、日常を見ても、人間って、本質を問うときに、最も傲慢に、かつ残酷になるような気がするから。
参考リンク:ECM公式ウェブサイト(英語) 、ECM@musicircus(ECMウェブサイトの日本語訳やECMについての詳しい解説があります)
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コメント
う〜ん、深いね〜。
いいコピーだ。
投稿: のばらパパ | 2008年2月 7日 (木) 10:37
いいコピーですよね。
Next To Silenceがとっても。
投稿: mb101bold | 2008年2月 7日 (木) 16:07
有名な和尚の言葉”無音の音”で究極なり...
投稿: あんぷおやじ | 2008年2月 8日 (金) 02:02
無音の音で究極なり。言われてみればそのとおりですね。エバンスの日本美術についての言及にもありましたが、日本の文化は奥の方でジャズとつながっているような気がします。
投稿: mb101bold | 2008年2月 8日 (金) 09:25