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2008年2月26日 (火)

私はなぜピアノトリオが好きなんだろう。

 というタイトルを見て、そんなもん知らんがな、と思った方もいらっしゃると思いますが、「私の興味は世界の興味」と勘違いできるところが個人メディアたるブログだと思うので、書いてみたいと思います。って、前段がくどいですね。

 MacBookのiTuneの中にもピアノトリオがたくさん入っています。ビルエバンストリオとか、ビルエバンストリオとか、ビルエバンストリオとか、ビルエバンストリオとか。でも、本当は、キースジャレットや、バドパウエル、セロニアスモンク、ハービーハンコックなど、一応一通り入っていますけどね。最新のものでは上原ひろみも入っています。

 なぜか今日は、昼飯を食べながら、歩きながら、電車に乗りながら、仕事をしながら、なぜピアノトリオが好きなのかばかり考えていました。思いつく理由としては、ベースが活躍しているから、というのがあります。私は、大学のときにベースを弾いていて、普通のコンボだと律儀に4ビートを刻んで、スィンギーなリズムをつくるのに専念するベースが、ピアノトリオだと、とたんに自由になるんですね。同じ楽器なの、というくらい生き生きとします。

 私は、ジャズにおいて、ベースをリズム楽器という呪縛から解放したのは、ピアニストであるビルエバンスではないかな、と思っていて、確かにスコットラファロはエバンストリオで自由奔放に弾いていましたが、それはリーダーであるエバンスあってのことだろうなと思うんですね。ラファロは、エバンスと出会う前は、わりとオーソドックスなランニングベースを弾くベーシストだったそうです。

 でも、この理由はいまいち違うなと思うところもあります。ベースが活躍するという意味ではポールチェンバースのリーダー作「BASS ON TOP」なんかがありますが、あのアルバムは見事だなあと思うものの、それほど大好きという感じではないのですね。

 ピアノが好きだから、という理由は少しあるかもしれません。私はピアノは挫折していますので、ちょっと複雑な気持ちを持っています。ピアノが上手に弾けるというだけで尊敬してしまうような卑屈さもあって、ああ、なんか情けないよなあ、俺、なんて思うこともあります。でも、だからといって、ピアノソロはそれほど聴く訳でもないしなあ、なんて思ったりもしました。

 でたどり着いた結論。

 やっぱり、ピアノトリオという形式には、すごく余白があるから。

 とりわけ、ビルエバンスのようなインタープレーを重んじるピアノトリオの場合は、間合いというか、音と音のあいだの空間が聴こえてくるんですね。沈黙も聴こえると言いますか、ああ、今この空間で、ピアニストとベーシストとドラマーが会話しているんだな、というのが分かるんですね。それも、3人というのがちょうどよくて、2人だと、どうしても恋愛とか尊敬とか敬愛とかが前に出過ぎて、それはそれでスリリングではあるんですが、ピアノトリオの持つあの感じとはちょっと違う何かになります。4人だと、バンドっぽくてこれもちょっと違う感じです。

 すこし前に、ある輸入車のラジオCMで、ピアノトリオにフリージャズっぽい演奏をしてもらって、それを別々のチャンネルで録音して、それを順番に流して、最後に合体させるという企画をやったことがあります。それぞれのプレイヤーには個別に部屋に入ってもらって、ヘッドホンでお互いの音を聴いてもらうという感じで録音しました。

 そのとき感じたのは、会話しているんだなあ、ということでした。あわせて聴くときちんとした音楽になっているのですが、それぞれのパートを別々に聴くと、音にところどころ沈黙があって、不思議な感じがするんです。まるで、相手の息づかいを確かめているかのような緊張感がありました。企画のときにも、それは頭の中では想像していたんですが、やはり聴いてみると沈黙の持つ迫力が違いました。

 その沈黙の美しさを聴くためには、できればいい再生機で聴く方がいいのでしょうね。普段はMacBookにBOSEのPCスピーカーをつないで聴いていますが、いつの日かこんないい音響で「Bill Evans at the Montreux Jazz Festival」を聴いてみたものだなあと思っています。

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コメント

エバンスが出るとついコメントします。まあ好きなもんは理屈ぬきでしょうね。商売柄最新のCDもお店でかけるようにしていますが、ない!のです。上手さは最近のミュージシャンは凄いが、心に届くのは上手さだけではないようですね。画家の端っくれで、上手くなく、不器用が良い、と思う年代になりました。
ではでは。

投稿: あんぷおやじ | 2008年2月26日 (火) 04:48

コメント、ありがとうございます。エントリの答えを書かれてしまいました。「好きなもんは理屈ぬき」、ですね。
私も最近のミュージシャンは上原ひろみさんくらいしか持っていないですね。若い人の傾向としては、やはりロックというかクロスオーバーの洗礼を受けているから、アコースティックでエレクトリックな感じがします。
エバンスは不器用なところがありますね。ローズを弾いたり、それなりに新しいものを取り入れようとしてましたが、あまりうまくいかなかったような。そんなエバンスは、理屈抜きに大好きです。

投稿: mb101bold | 2008年2月26日 (火) 08:35

良い音を聞くには当店のような巨大なシステムが必要ですが、良い音楽を聴くには必要ありません。不覚にもカーラジオで涙する事もあります。
ただ今パソコンで音楽を聴く方法を実験中でUSBにDAコンバータを付けアンプ、スピーカで結構いけます。

投稿: あんぷおやじ | 2008年2月27日 (水) 04:38

中学生のときに買ってもっらった、マランツから出ていた6万円くらいのラジカセ(一人前にスーパースコープでもUNIXでもなくmarantzブランドなんですよね)で音楽を聴いていたことを思い出します。
アナログ(チップ)は奥が深いですよね。と言っても、あんぷおやじさんのブログでもよく出てくる某米国ナンバーワンチップベンダーの広告のオリエンで担当者の方が言っていたことの受け売りですけど。
そういえば、いまプログラムを組める人は多いけど、所謂弱電の設計がきちんとできる名人のような人が少なくなったとそのチップベンダーの方はおっしゃっていました。

投稿: mb101bold | 2008年2月27日 (水) 13:52

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» メルドーを聴いて初めてピアノトリオを聴く気になった [すちゃらかな日常 松岡美樹]
 私はジャズピアニストのブラッド・メルドーを聴くまで、「ピアノ・トリオを聴きたい」などと思ったことがなかった。だがメルドーを聴いて根本的に考えが変わった。  すると聴いているうちに、演奏形態をピアノ・トリオにするメリットがよく見えてくるようになった。  ひとつは言うまでもなく主役のピアノを生かせることだ。2点目は、トリオにすることで生まれる音の空間を3人がクリエイティブに使えること。  またその結果、ピアノを引き立たせるためトリオにしたにもかかわらず、逆にベースとドラムのよさを引き出せるという... [続きを読む]

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