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2008年2月10日 (日)

昨日の雪がとけはじめたし、お出かけでもしましょうかね。

 3連休の中日は晴れました。私の場合は、週末にいろいろと仕事の課題を残して連休に突入してしまいましたので、ちょっぴり気が重いのですが、晴れたことだし、ちょっとお出かけでもしようかな、なんて思っております。

 雪が降ると、大阪育ちで東京暮らしの私は、ちょっと浮き浮きしてしまいます。このまま雪が続いて、外に出られないくらい積もったら面白いのになあ、なんて子供のようなことも考えてしまいます。雪国に暮らしている方にとっては、雪が日常でしょうから、そんな気分はないのでしょうが、1年に数回しかない雪は、やっぱりちょっぴりうれしい。窓を開けると、街が真っ白になっていて、美しいなあ、なんてぼけーっと見とれてしまいます。

 そういえば、だいぶん前にマンションの警報機が鳴り続けたことがあって、ふだん顔を合わせないマンションの住民がみんな外に出て、どうしたもんですかね、火事ではないみたいですよ、なんて話したことがあって、夜中だったので迷惑でもあったんですが、みんなどことなくうれしそうでした。結局、管理会社の人が来て、2時間後には鳴り止んだのですが、あまり怒っている人はいなかったですね。

 こういう些細な出来事から、人間の本性を論じると陳腐な結論しか出ないような気がしますからやめときますが、まああれですね。コミュニティとか社会とかについて、そんなに悲観しないでもいいような気もしますね。

 このところ、ビル・エバンスのことを考え続けています。このブログでも「永遠の三角形」という文章を地味に書き続けているのですが、そこにもうひとつ視点を加えるとすれば、人間の身体とか老いとかなのかもな、と思い始めました。YouTubeなんかでもエバンスの映像が数多く見られますが、「パリコンサート」の頃のエバンス、すごく楽しそうにピアノを弾いているんですよね。音だけを聴いていたら、生き急いでいるかのような疾走感というか焦燥感を感じるのですが、映像を見ると、また違った印象があり、そうかそういうことだったのかもと気付かされる点もあります。

 晩年のエバンスは、髭をたくわえ、大柄な感じがしますが、よく見るとやせ細っているんですよね。相当、体が悪かったそうです。ベースのマーク・ジョンソンが、病院に行ってくれと懇願したそうですが、エバンスはいやいいんだ、といつも答えていたそうです。あるインタビューで、これからの音楽の展望について聞かれて、エバンスは、でも、私がそんなに生きられると思うかい、と答えたそうです。

 いま、MacBookに手持ちのCDをiTuneに入れているのですが、そんな作業の中でキース・ジャレットを聴いていると、キースの場合は、エバンス以降ということもあるんですが、ずいぶん円熟している印象がします。キースも一時期、神懸かり的な感じがあり、これ以上行くと壊れてしまうんではないかとも思ったりしましたが、ご病気をされ、復活した後は、いい意味で落ち着いた演奏になりました。身体と精神の関係を思わされます。

 音楽も、言葉も、絵画も、写真も、映像も、その瞬間の表現を切り取って永遠にする作業だから、ついつい生身の表現者も永遠のように感じてしまいます。その感じ方は間違いではないし、芸術とはそのような永遠なのでしょうが、けれどもやはり、表現者は肉体を持った永遠ではない存在でもあって、永遠を作り続ける表現者にとって、永遠ではない自身の肉体との相関というか、矛盾というか、そんな部分をぼんやりと考えています。

 難しい領域なのかもしれないけれど、「永遠の三角形」のテーマである、理想的な三角形への追求とその挫折、あるいは、その追求の運動、みたいなものは、永遠ではない肉体を持つ表現者の、絶対的な矛盾の中にあるのかもしれないな、と思います。それを記述する試みは、当たり前の話ですが、批評という固有のジャンルだけができることなのかもしれません。表現のジャンルとして批評の独自性があるとすれば、そういう試みなのでしょうね、きっと。

 てな感じで、うだうだ考える毎日ですが、みなさまよい休日を。ではでは。

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コメント

ビル.エバンスの足跡を追いサンフランシスコを彷徨ったのが1980年代で、キーストン.コーナーも既に無く見えたか見えなかったか、見えたと心に決めた。1990年代のニューヨーク,ビレッジ.バンガード、フロアマネージャに1961年6月のあのビル.エバンスのライブ録音を知っているか、の問いに”知らない”だが我々はCD、レコードで何時でも彼に会える。

投稿: あんぷおやじ | 2008年2月11日 (月) 08:34

彼は、あのビレッジ・バンガードのライブを気に入ってなかったそうですね。確かに、お客さんも熱心に聴いていな感じもするし、その頃はまだ駆け出しでしょうし、エバンス自身も発展途上の葛藤の中にあったんでしょうね。
けれども、彼の思いと離れて、いまジャズファン以外にも聴かれるジャズの名盤になってしまいました。ジャズは聴かないけれどワルツ・フォー・デビーを持っている人はたくさんいます。そういえば、かつて森口博子さんが「私のビル!!」とうれしそうに言っていました。
時は流れて、音楽の流行も変わりますが、その時の瞬間を切り取る記録芸術は、時間とか流行を超越して、CDをかけると、凛とそのまま、そのときのエバンスがいる。そして、2008年の日本でエバンスのことを思っている。それは、奇跡のようなことなんだろうなと時々思います。
Billevansという小惑星があるそうです。もちろんエバンスに因んでいます。ちなみに、命名者は日本人です。

投稿: mb101bold | 2008年2月11日 (月) 16:24

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