« 写研フォントを使わなくなって、もうずいぶんたちます。 | トップページ | アダプテーションの難しさ。 »

2008年2月19日 (火)

写研フォントが好きな人って、まだまだいるんだなあ。うれしい。

 まあ、私のニックネームはmb101boldなので、あれですが(わかる人にはわかりますよね)。何を隠そう、私も写研のフォントが大好きです。前回のエントリ「写研フォントを使わなくなって、もうずいぶんたちます。」のはてなブックマークを眺めていて(参照)、世の中には写研が好きな人がまだまだいるもんだなあ、とちょっと感動。いいですよね、写研。

 こんな機会でもなければ、写研についてまとめたりしないし、せっかくなんで、 今回は、はてなブックマークのコメントで気になったところについて書きながら、写研についてまとめてみたいと思います。

 

>あ、まだ写研さんフォントデジタルで使わせてくれないんだ。

 そうなんですよね。写研はまだデジタルフォント化していません。噂も聞きませんので、これからもしばらくはなさそうです。その昔、アドビは、DTPソフトに写研の書体を入れたくて写研に打診したそうですが、断られたそうです。で、モリサワのフォントを起用。そんなこともあって、一頃は、広告コピーのフォントがmb101とか、新ゴとか、リュウミンばかりになりました。今でこそ、多くの選択肢がありますが、当時は、マック標準のゴシックであるOsakaと、標準の明朝であるKyotoと合わせて、日本語は5種類しかなかったんですね。新ゴもリュウミンも使い方次第で活きる書体ですが、いかんせん独特の癖がありました。新ゴは明るすぎて、リュウミンははらいが鋭すぎる。マックの日本語OSが漢字Talkと呼ばれていた頃です。

 有名な話ですが、新ゴは、写研のゴナに似ているということで裁判になりました。でも、結局は写研の主張は認められなかったようです。ゴナと新ゴは、似ているけど違いますものね。方向性によって善し悪しがありますが、ゴナの方が上品。広告ではあまり使いませんが、私は個人的にはゴナの方が好きです。書体としての完成度も高いですし。モリサワのツデイもなかなかいいのですが、なぜだか新ゴは苦手です。

参考:写研 - Wikipedia
参考:コラムDTPと写研フォント – desining.info

 ちなみに、私のニックネームで使わせていただいているmb101boldは、石井太ゴシック(BGAKL)などの対抗馬としてモリサワが出した見出し用ゴシックで、非常にモダンで力強いゴシックフォントです。当時から大人気でした。写植時代は、わざわざ石井太ゴではなく、あえてこのmb101boldを発注するデザイナーも多かったですね。この書体の唯一の欠点は、駄目なコピーでもmb101boldで打つといいコピーに見えてしまうこと。ほんと、広告っぽいいい書体です。

 

>個人的にはゴシック4550が鉄道駅から消えていくことに悲しさを感じる。

 ゴシック4550は、営団地下鉄大手町駅のサイン計画のために開発された書体だそうですね。昔、MS office4.1〜4.3にバンドルされていたそうですが、今は入手が困難とのことです。首都高や阪神高速では写研のゴナが現役ですね。NEXCO系は道路公団標準文字(通称:公団フォント)と言われるもので、違うそうです。あと、街の標識がどんどん新ゴや他の書体に変わってきていますね。ちょっとさみしいです。

参考:さよなら「ゴシック4550」 - Peanuts Butter Sea

 

>私が写植打ってた会社はモリサワのしかなくて、写研は憧れでした。

 私はキャリアを大阪で始めましたので、モリサワ王国でした。けれども、私がはじめにいた会社はロゴマークやタイポグラフィを制作するベーシックデザイン会社だったので、写研の写植機がありました。暗室もあったし、アロマテック(カラーカンプを作るための色のシート。熱で圧着すると黒い部分だけシールになる)もありました。懐かしいですね。私は当時はCIプランナーでしたが、アロマテックが妙に得意でした。

 

>いい話をするなぁ。と思えるのは自分とはまったく縁のない世界だからだろうな。

 私も、写研のことを書いても誰も読まないだろうなと思っていました。そんでもって、いつもこの手のデザイン業界昔話を書いてもあまり読まれなくてさみしいのですが、今回は違いました。さすが写研ですね。今見ても写研の書体は美しいと思います。古くならないのが不思議。

 

>blogを拝見するとCSSにfont-family: "MS Pゴシック", "Osaka", "ヒラギノ角ゴ Pro W3", arial, helvetica, san-serif;とあるので、私の環境ではMS Pゴシックで表示されています。

 私のココログはベーシックプランなので、CSSを書き直せないのですね。先のブラウザによる違いは、ブラウザの基本書体の選択による違いのようです。最近のディスプレイは解像度が高いので文字が小さいですね。OS9のPowerBookからMacBookに変えた当初は、文字ちっちゃっ、と思いました。でも、最近は慣れてきましたが。

 

>アウトライン化するサービスって写研がやってるの?

 いえ、書体アウトラインサービス業者さんが運営されています。ひと文字いくらで販売していますので、広告で使う場合は、文字数が多くなるのでけっこう高額になってしまいます。たったこれだけのことでも、広告の現場では、よほどの必然がなければ写研のフォントは使いにくい状況になってしまいます。悲しいけれど、それが現実です。写研はウェブサイトもありませんし、いまやネットでは情報は得にくいですね。

 フォントの商用利用については、写植と同様、印刷所や写植屋さんが使用許諾を持っていますので、写植を購入することで使用することができます。アウトラインサービスは、これまでの写植プラス、アウトライン化(画像化)のサービスですので同様です。話はそれますが、フリーのデジタルフォントの場合でも、商用利用は許諾されていないものがありますので、その際は別途契約をしなければいけません。ポスプロでもこのへんはかなり周知徹底されています。

 今や、完全に文字のサイズはポイントですが、昔はQ数でした。マックが出だしの頃は、Q数を計算機でポイント換算して入力していました。ちなみに歯送りはHです。そういえば、書体の見本帳って、今のデザイナーさんは持っているんでしょうか。あと、下敷きみたいな透明シートでできたQ数表とか、ロットリングとか、デバイダーとか。

参考:Google「写研 アウトライン」で検索

 

 それにしても、写研のことなんか意識したの、何年ぶりだろう。ひさしぶりに広告に写研のフォントを使ってみようかな。でも、若いデザイナーに写研って何ですか、なんて言われそうですね。そういえば、写研の広告は、浅葉克己さんが制作されていますよね。あの広告シリーズ、けっこう好きでした。俺が出て、俺が書き、俺がデザインする、みたいな。あっ、話が脱線してしまいましたね。ではでは。

|

« 写研フォントを使わなくなって、もうずいぶんたちます。 | トップページ | アダプテーションの難しさ。 »

広告の話」カテゴリの記事

コメント

本文にMMOKLを使いたいです。20歳代のデザイナーは、MMOKLを知りません。13Q、MMOKL、行22、左右53ミリ幅、ツメ、ハコ組、などと赤いサインペンで書いていました。行間を広げる、せまくするなどの基準を数字で覚えていましたが、今はモニターですぐ比べられるので、基準があいまいなようです。印刷物は、小さい文字がどんどん増えているように思います。(7Q以下に)
Q数フィルムも、見本帳も使っていません。「指定原稿」を作る機会がほとんどなく、(つまり他の人とコミュニケーションがなくなった)自分でできてしまいますから。

投稿: MMOKL | 2009年3月31日 (火) 17:48

20歳代はおろか30代でもあやしいんじゃないでしょうか。私の世代(40歳前半)がぎりぎりですね。

という私も、指定原稿なんかここ10年くらいつくったことないです。MMOKLは、ネットでアウトラインデータで入手すると使えます。ただ、すごく高価です。本文だと相当苦労しそうですし、それだけで予算を超えてしまいそう。

MMOKLは美しいので、デジタル化すれば需要はあるのに、と思います。

投稿: mb101bold | 2009年3月31日 (火) 23:20

おお同志よ…

写研フォントがついにオープン化されます。
バシバシ広告で使ってください。

第15回国際電子出版EXPO:写研、OpenTypeフォントを年内リリースすると発表
http://www.macotakara.jp/blog/index.php?ID=13285

投稿: ななし | 2011年7月20日 (水) 15:56

おお、ついに!

投稿: mb101bold | 2011年7月20日 (水) 16:32

懐かしいです。
文字デザイナーになりたかったママさんデザイナーです。

私も見出しゴシックが好きで、メインは写研だけど写植屋さんに別発注してました。

美大卒業時にフォントデザイナーになりたくてモリサワに入りたかったけど、文字デザインは明石だったので通えないと断念しました。4卒しか応募できなかったし私は短大...(ToT)
まだ寂れていた堀江の近くのデザイン事務所で働いていました。ちょうど写植、電算、DTPへの切り替え時期で手動の写植機をうってた個人の写植屋さんに発注したのを取りに行ったら、夜逃げしてたのが懐かしい思い出です。
つい半年前に、なかなか捨てられなかったQ数表と書体見本帳を捨てました。

オーナー?がデジタル路線を頑なに許可しなかったみたいですね。
時代に乗ってデジタル化に突き進んだモリサワに対してノスタルジックな存在になってしまった写研。
ついに近々デジタル開放する予定と小耳に挟んだのですがどうなったんでしょう。

新ゴは悪くはないけど、最後のツメが甘い気がします。完成度はやっぱり写研が高いと思います。

今は個人でもフォントデザインしてバンバン公開してますもんね。時代は変わりました。

投稿: ちゃみ | 2012年4月26日 (木) 15:56

しみじみ読み進めていたら「夜逃げしてたのが懐かしい思い出です。」で笑ってしまいました。まあ、その写植屋さん失礼かなとは思うけど、昔の話ですし、それが現実でしたものね。
ほんと、時代は変わりました。(新ゴもリュウミンも嫌だったなぁ。なんか代用感がありありでしたものね。)

投稿: mb101bold | 2012年4月26日 (木) 18:33

平成8年生まれなので、写研書体(特に石井書体)を見ると、微かに幼少期が思い出されます。

話は変わりますが、高速道路の標識がヒラギノ角ゴに切り替え始められてしばらく経ち、今や「高速道路=公団フォント」というイメージは崩れていますね。

投稿: も ろん | 2013年4月11日 (木) 20:56

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/214429/40176349

この記事へのトラックバック一覧です: 写研フォントが好きな人って、まだまだいるんだなあ。うれしい。:

« 写研フォントを使わなくなって、もうずいぶんたちます。 | トップページ | アダプテーションの難しさ。 »