世の中がギスギスしているのは、クルマのデザインのせいかもしれない。
世の中がなんだかギスギスしていると思いませんか。思わないですか、そうですか。となると終わってしまいますので、しばし世の中がギスギスしていると思ってください。で、どうしてギスギスしているのか、と考えてみました。
不況のせいか。きっと、それもあります。でも、それを私が分析してみたところで、つまらないエントリが出来上がるだけなので、他の理由を探してみました。街を見回すと、クルマ、クルマ、クルマ。
モータリゼーションの進化が世の中をギスギスさせている。それもあるかもですが、なんか面白くない。違うなあ、これは没ネタかな、なんてブロガーっぽいことを考えながらクルマを見てみると、気付くことがひとつありました。クルマの目(ヘッドランプ)がみんなつり上がっているんですね。よく見ると、どのクルマもそう。これかっ、って思いました。その後すぐに、何がこれかやねん、とも思いましたけど。
では、ひとつひとつ見てみましょう。サンプルがあまりうまく集められませんでしたが、まあなんとなくは言わんとすることは伝わるんじゃないかと思います。まずは、いつかはクラウンでおなじみの国産車の王様、トヨタクラウン。私の中のクラウンのイメージは、こんな感じです。
それが、今はこんな感じ。ほら、かなり目がつり上がってますよね。精悍な顔つきになっています。
トヨタでは、その上の高級車であるセルシオ(よく見るとエンブレムがLなので、レクサスですが)も、昔はこんな感じでしたよね。
それが、今はこんなんです。まあ、デザインコンセプトがクラウンと同じ系統なのでこれは予想通りですね。
スカイライン。スカイラインは昔からつり目のイメージがありました。箱スカの頃も、日本のクルマの中で一番のつり目でした。SKYLINE JAPANというキャッチフレーズの頃はこんな感じです。※この写真は、「SKYLINE JAPAN」の頃ではなく、「超感覚スカイライン」(8代目 R32スカイライン)だそうです。h-teeさん、ご指摘ありがとうございました。
それが今はご覧のとおりです。かなり上がりました。
大衆車はどうでしょうか。大衆車と言えばカローラですね。ちょっとサンプルが古いですが、昔はこんな感じです。人が良さそうなやさしい顔をしていますよね。
それが、今やこうです。うーん、カローラなのに、という感じ。
シビックも。これもサンプルがずいぶん古いですが、私の中ではシビックってこんな顔。子供の頃に見たシビックは、なんだかやんちゃな顔でした。
それが、いまやこんなに賢そうな顔になっています。
軽自動車も同じです。ミラ。昔はほんとにいい人っぽい顔をしています。嘘なんかつけなさそうですね。いかにもダイハツという感じです。
それが、今やこんな感じ。でもまあ、いい人っぽいのは変わらないようですが。
スポーツカーだってそうですね。マツダのMX5。サンプルは確か2代目ですね。リトラクタブルヘッドライトから、固定式になったときのもの。
それが、目が切れ長に。ちょっと男前になりました。
これは、きっと外車の影響もあるんでしょうね。クルマデザインの時代のスタンダードをつくるのはドイツ車でしょうから。メルセデスベンツは、私の中のイメージは、こういう落ち着いた堂々とした顔でした。
それが、いまやかなりのつり目ですね。目張りをびしっと入れた感じ。
商用車だって負けていません。これは、今回調べてみていちばん驚いたことです。まずは、働き者クルマの代表選手である、タウンエース。この顔、よく見ましたよね。たれ目で、パンダというか、アライグマというか。商いにぴったりの顔つきですね。
下の写真が今のタウンエースのデザイン。なんだかなあ。前のほうが愛嬌があってよかったなあ。
トリを飾るのは、日野レンジャー。日野といえば文化放送「走れ歌謡曲」ですねって、そんなイメージは私だけか。日本の物流を支える顔はこんな感じでしたよね。質実剛健。これぞ、勤勉なる日本人の顔です。
レンジャーまで、つり目になているんですよね。しかも眉毛まで。
それにしても、つり目ばっかりです。要するに、つり目の精悍な感じが今の売れ筋のデザインということですね。ということは、つり目を求めたのは、消費者だったりもするので、なんとも言えないところがありますが、案外、世の中の気分を決定するのはクルマのデザインだったりするのは、あるんじゃないかな、と思います。なんせ、あれだけのクルマが街にあるわけですし。建物は流行のデザインが街を覆ってしまうのには時間がかかりますが、クルマは入れ替わりが早いですからね。
でも、まあ、世の中もこういう感じだし、そろそろやさしい感じのデザインが流行るんじゃないかな、なんて思ったりもします。5年後くらいに、同じネタで書いてみたいです。たれ目の時代になっていて、「世の中がぬるま湯なのは、クルマのデザインのせいかもしれない。」とか書いてたりして。
あれからこんなの書きました(2008年12月6日):口もとで来たか(HONDAライフのフルモデルチェンジ「SMILE! LIFE!」について)
| 固定リンク
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- Riskという概念(2019.10.17)
- 「同和」という言葉をめぐって(2019.10.07)
- 久しぶりにコメント欄が荒れた(2019.09.07)
- 父の死(2014.09.02)
- ラジオのこと(2014.08.29)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
なるほどー、納得です。
前に流行ったリトラクラブルだって、丸形ランプの方がキュートですよね。
高性能車だって、ほら。↓
http://www.lancia-stratos.net/lancia-stratos.html
ランチアは、どちらかというとタレ目系なのにカッコイイものが多いですねー
投稿: tom-kuri | 2008年3月27日 (木) 10:24
なるほどね。言われてみれば、そう。
しかし、よく気がついたね。偉い!笑
投稿: のばらパパ | 2008年3月27日 (木) 10:24
tom-kuriさん、どもです。
丸目って今見るとすごくキュートですね。
ランプが規格品以外も作れるようになって、デザインの幅は広がったものの、今度は流行が画一化してしまった、みたいなことなのかなあ、なんて思います。
投稿: mb101bold | 2008年3月27日 (木) 14:11
のばらパパさん、どもです。
でしょ。道を見るとつり目ばっかり。まあ、いわゆる暇ネタなんで、偉くはないですけど。笑
投稿: mb101bold | 2008年3月27日 (木) 14:13
車の前面のデザインを「笑ってる顔」「怒ってる顔」で分類したのは、由良卓也氏ですね。
氏も「笑ってる顔」の車の方が親しみを持てる。と書いていました。
つり目系デザインは空力を考慮するとどうしてもそうなって仕舞うと言うデザイン外の要素も強いのだと思います。
目がつり上がってるだけなら良いのですがやたら威圧感の強い前面デザインは嫌ですね。
投稿: をたくな講師 | 2008年3月27日 (木) 22:59
時間が止まってるような故郷の南の島から東京に戻ると、肌に刺すような感じを覚えて、何だろうと思うと、それは人の目つきなんですね。みんなきつい目をしてる。そういう自分も数日も経てばそのきつ目族の仲間入りなわけです。
それはきつい人の集まりだからということではなくて、時間のテンポが速いから、はい次はい次してるうちに、そうなっちゃうんでしょうね。
クルマの目つきもそんな時間テンポに合わせて、ぼくたちの目つきとシンクロしてる気がします。てことは、無意識には嫌がってるってことでもありますよね。
この目つき見ながらエイリアンとディズニー映画のスティッチを思い出しました。人とクルマのエイリアン化ですね。(^^;)
投稿: 喜山 | 2008年3月28日 (金) 09:22
をたくな講師さん、どもです。
笑ってる、怒ってる、というのはわかりやすいですね。一時期、三菱ギャランやあと建物ですが、東京都庁とか、ああいう威圧感のあるデザインが流行ったような気がします。
それがまたまるくなって、いまは知性的な感じ。私、賢いですよ的な感じが、私はちょっと苦手。
それと、なんかウェブを探っていると、空力のほかにも安全性もあるそうです。衝突した際の衝撃を緩和するみたいな。どういう仕組みかはわかりませんでしたが。いろいろあるもんですね。
投稿: mb101bold | 2008年3月28日 (金) 10:52
喜山さま、どもです。
そうですか。島から東京に戻ると、肌に刺すような感じがありますか。東京駅なんかで、たまに休日に歩いていると、よく人にぶつかるんですね。要は、平日の感覚で歩いていると、休日の旅行客のテンポと違って、それでぶつかるのです。ああ、テンポが早くなってるな、とちょっと反省してしまいます。そんなに急いでもしょうがないよな、なんて。
ディズニーのスティッチというのは観たことがありませんが、人とクルマのエイリアン化というのは、なんかわかる気がします。クルマの運転のとき、人が変わる人、いますものね。それが街を歩く人とも同期してしまうのは、想像するとなんか怖いですね。でも、案外、それはもう現実なような。いやはや、ですね。
投稿: mb101bold | 2008年3月28日 (金) 11:11
それは、SKYLINE JAPANではなくて、「超感覚スカイライン」(8代目 R32スカイライン)です。
ーースカイラインオタクより。
投稿: h-tee | 2009年6月23日 (火) 17:22
ご指摘、ありがとうございます。本文に追記しました。
投稿: mb101bold | 2009年6月23日 (火) 17:45
私は車は好きなのですが外観にはこだわりません。SAE規格の丸型四灯式が一番明るいと思っているのですが、デザインより明るさなんて思っているひとはあまり居ないみたいで....ここには上がっていませんでしたが、BMW車はそれほど変わっていないと思います。
1970年代には曲線基調だった国産車が1980年代には直線基調になり、それからはその傾向が続いていますよね。マツダ車は1980年代後半に曲線基調になりましたが、ね。
つり目ランプというと、内側に切れ込んでいる感じですが、そこに各種ランプを埋め込んであるのかもしれません。世の中、光りモノ好きが多いですから。
投稿: JI1V | 2010年4月10日 (土) 20:13
言われてみると、確かにBMWはあまり変わっていないようですね。私は5年ほど前、ジャガーの広告を担当していたのですが、フォードになってエンジンは変わったけれど、エクステリア、インテリアはジャガーの伝統を守っていました。あれから、グローバルで担当広告代理店が変更になって、しばらく意識になかったんですが、ふと見つけた広告を見ると、びっくり。丸目の4灯だったXJがガラッと変わってしまっていました。
なんというか、ちょっと複雑な気分ですが、これもまた時代なんでしょうね。
投稿: mb101bold | 2010年4月10日 (土) 23:30
偶然このブログを見ました。今の日本車ほとんどが怖い顔をしていて、それがため運転している人の人格も怖い人に・・・というようなことを3年ほど前カースタイリングという題で一文書いたことがありました。それより前、対比の画像をつけてのレポート、同感です。それにつけても昔の国産車、高級車から大衆車までどこかかわいげのあるデザインです。ビニャーレのデザインによるダイハツコンパーノベルリーナは本当に愛らしい姿です。(Wikipediaにオープンの画像があります。)
つり上がった目の最初はプリンススカイラインスポーツでしょう。でも怖い顔ではありません。BMWも昔の2002は可愛かったのに、今は皆目がつり上がり怒ったような眉までで、欲しいとは思いません。
軽には今でも可愛らしいデザインもあってホットします。先行き不透明な経済状況は困りますが、もう少し心にゆとりをもって優しいデザインの車に乗りたいと思います。
投稿: draco | 2012年4月18日 (水) 04:22
コンパーノ、よいですねえ。
確かにプリンススカイラインは怖い顔というよりもナイスガイという感じ。私は車に乗らないのでまあ気楽なんですが、町の風景としてももっとやさしい顔が増えてくれればなあと思います。
投稿: mb101bold | 2012年4月26日 (木) 02:49
今2020年はとんでもなく、つり目で細目な車がいっぱいで世の中確実にギスギスしています!それと無駄にメッキなんかでフロントグリルなんかがギラギラしています!
投稿: 旅人 | 2020年3月 8日 (日) 09:30
2020年、より一層デザインがキツくなりましたね… なんだか生きづらさまで感じてしまうまでに…
投稿: | 2020年11月 8日 (日) 10:23