極東ブログ「もうコメント欄を承認制にしますよ。みなさんもそうしたほうがいいですよ。」について私が思ったこと。
finalventさんの「極東ブログ」のコメント欄が承認制になりました(参照)。また、はてなダイアリーの「finalventの日記」は、これまでの、一日単位で複数のエントリが表示され、その下にコメント欄が並ぶ形式(日記モード)から、エントリごとにコメントが表示される形式(ブログモード)に変わりました。「極東ブログ」では、ほとんどコメントの返事は書かれないのですが、「finalventの日記」では、返事を書かれています。
はてなダイアリー「finalventの日記」(日記モード)の、テーマが違うエントリが複数ある下に、それぞれのエントリについて思ったことについてばらばらにコメントが集まり、それぞれのテーマでコミュニケーションが行われる様が、なんだか寺子屋みたいで、私はすごく好きでした。
学者さんなどの場合、関心領域が限られるので、どうしてもコメント欄でのコミュニケーションは、大学のゼミみたいになりますが、finalventさんの場合、その関心領域の幅広さもあって、経済の専門家から、料理ブログを書かれているお母様、常連のブロガーさん、そして、私のような新参者までいっしょくたなので、それがとっても心地よく、あんな場所は他には得難いなと思っていました。もちろん、finalventさんのお人柄あってのその雰囲気ですけどね。現在はブログモードですが、エントリで、もしかすると以前の日記モードに戻すかもしれないと書いておられました。
ブログでも話題になっていますので、もうたくさんのブログで言及されていますが、「極東ブログ」のコメント欄を承認制にする、そして、みなさんもそうしたほうがよい、との記事に対して私が思ったことを書こうと思います。そのきっかけは、きっといろいろあったのでしょうが、先の女子高生の自殺(参照)が大きな動機になっています。
彼女に、今私が書いているこのエントリの趣旨、つまり、「ブログを持つならコメント欄は承認制にしなさい」ということを伝えることができていたなら、あるいは私がもっと早く決心していたなら、と悔やまれました。もちろんそれでその命が救われていたはずだと思い上がるわけではありませんが。
極東ブログ「もうコメント欄を承認制にしますよ。みなさんもそうしたほうがいいですよ。」
私も含めて、ブロガーの主流の価値観は、オープンであることはいいことなんだ、というものだと思います。誤解を恐れずに言えば、建前としては、どのような言説であっても法に触れない限り等価であり、一度、ネットというオープンな空間に投げられた言葉は、どのようなことを言われてもしょうがない、それを引き受けなければネットで表現などすべきでない、というものです。
多くのブログには、コメントとトラックバックを管理する機能が盛り込まれていますが、その機能をつかって、コメントとトラックバックを制限する行為が、なんとなく後ろ向きな感じに捉えられている傾向があります。そういう機能があるわけだし、それをどう管理しようと、ブログ管理人の自由であるとは思いますが、その制限行為は、どことなくオープンであれ、という価値の反動と捉えられる感じが空気としてあります。
たとえば、こうしたことを書くだけでも、なんとなく、それは統計を取って言っているのかという反論が私には想定できますし、そういう反論があるだろうと私が思い、少し緊張しながら書いていること自体が、ネットの中のそうした過剰な空気を反映していることなのだろうと思います。これは完全に独我論であることはわかっていますが、事実として、私はブログをはじめる知人への忠告としては、オープンであることを制限するような言説は注意して書く方がいいよ、と言っています。
先の「極東ブログ」のエントリーは、要約すると、ひとりのブロガーが、自身のコメント欄を承認制にします、ということですが、あえてそう書かれたことの意味は、私は、そうした空気をつくってきたブロガーとしての責任からではなのでしょう。私は、ページビューで言えば、finalventさんの影響力にくらべると屑のようなものだとは思いますが、それでも、このブログの中で何度も何度もオープンであることはいいよ、と言ってきました。そうした言説がつくる空気によって、心ないコメントに傷つくことを防ぐことができたかもしれない機能がブログにあるにもかかわらず、それを使うことさえ思い浮かばない状況をつくっているのならば、それは、やはり問題です。
でも、私はそうしたコミュニティの最もナイーブなものが無残に壊されることはありうるなというのと、数百のページビューがいつか数千、数万のページビューになることはそう不思議ではないと思っています。まさか無名の私のブログが、そうなると思っていなかったのだし。
極東ブログ「もうコメント欄を承認制にしますよ。みなさんもそうしたほうがいいですよ。」
私は、もっともっと多くの人がブログを書くようになってほしいと思っています。SNSの閉じられた空間ではなく、もっと広大なネットでも、そうした「ナイーブ」な感性も生きていける空間になってほしいと思っています。ブログはいいものだから。それは、何も女子高生だけでなく、年配の方もそうですし、いろいろな感性や経験が、このネットの中で書かれることが、本当にオープンであることだと私は思っています。
私のこのブログに関して言えば、最近、私の置かれている状況もあって、医療のことをよく書いています。その中で、つい最近、精神医療について書くとき、コメント、トラックバックをどうしようか、と考えました。それは、経験から言って、この手のエントリは、無神経なコメントやトラックバックが来ることが多いからです。コメントに関しては、あなたも病院にいったほうがいいとご親切に忠告する、といったもの、トラバに関しては、投薬なしでは治るはずもない精神疾患が教材を読めば治ると謳った、高額教材の広告。私は、そういうコメントやトラバは手動で消したりしていますが、ある記事を書こうとしたとき、その記事(参照)に関しては、コメント、トラバをオフにしました。
私の経験から言えば、こうした記事は、Googleで検索され読まれることが多く、その状況を考えると、わらをもつかみたい、こういうときどうすればいいのだろう、という時だと思います。私も、母の急病のときに、そうしたネットの言葉に助けられました。だからこそ、今体験していることを残したいと思っています。圧倒的に情報が少ないですし、こうしたことこそ、ブログに書かれるべきことだと私は考えています。
そんなとき、私の、その手のエントリに心ないコメントやトラバが付くことは、やはり許容できなかった。わらにもすがる思いで、他の人の体験を自身の参考にしようとたどり着いて、その方に、その心ないコメントやトラバが目に入るのだけは、どうしても許せなかった。それも含めてインターネットであるという常識もあったけれど、それでも許容できませんでした。だから、オフにしました。
ちょっと本論から脱線しているかもしれませんが、私はおっさんですから、「死ね」みたいなことを言われてもどうでもええわ、と言えるだけの面の皮の厚さを持っていますが、私の場合はそこが分岐点でした。それぞれ分岐点はいろいろあるだろうし、あっていいと思います。「極東ブログ」のエントリを読んで気づかされましたが、初心者は、コメント、トラックバックは承認制にしたほうがいいのだろうと思います。それは、読まれたいと思う気持ちと矛盾するものではないと思います。
今まで、コメント、トラバを承認制に移行するのは、PVの拡大にともなう話であるのが通例でした。要するに、残念ながら、承認制はプロ仕様のイメージがありました。その常識を変えるために、コメント、トラバのコミュニケーションをもう一度よみがえらせるために、PVを持っているブログが宣言することは、必要なことだったのだと思います。今回の「極東ブログ」の宣言の志を、私は支持したいと思います。私は、管理を楽にするためにそう書かれたとは思わないし、finalventさんが辛いからそうしたとも思いません。私は、そう読みました。
私は、これまであまりコメント、トラバでのいやな思いはしてきませんでしたし、承認制でないことに不都合はあまりありませんでしたが、だからこそ、今までの流れを変えるためにも、私のようなブログが承認制に移行することは意味があるのかな、と柄にもなく思いました。本来、私は人に言われてそれにあわせるのはあまり好きではないですが、今回は特別です。長い人生、たまにはいいかなと思いました。承認制にしてみます。また、エントリの内容によって、オフにすることもあるかもしれません。いただいたコメントは、表示が遅れるかもしれません。なるだけ早く表示するように心がけます。ご迷惑をおかけするかもしれませんが、よろしくお願いします。
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コメント
mb101boldさん、おはようございます。
ブログの運営方針について意見を表明することをわたくし自身はあまりしませんが、コメント欄はいいものだと思いますし、やっぱり好きですね。mb101boldさんと接することができたのもfinalventの日記っでしたし、先日の極東ブログのコメント欄で過去のエントリーから本を発注するにいたりました(それでもなお、人を愛しなさい)し。
「あなたが良いことを書いても人はわがままだと非難するし動機を邪推する。それはそれとして、いつも良いことを書きなさい」って感じですかねっ。ということで、承認制移行記念コメントでした~
投稿: tom-kuri | 2008年6月 4日 (水) 09:33
tom-kuriさん、おはようございます。
そうですよね。tom-kuriさんとお知り合いになれたのも、finalventの日記のコメント欄でした。私もコメント欄は好きですね。始めるときは、コメント欄ってどうかなと思っていましたが、いまや欠かせないものになっています。
そういえば、このブログも今日でちょうど1年目なんですよね。今後ともよろしくお願いします。
投稿: mb101bold | 2008年6月 4日 (水) 11:10
mb101boldさん、こんにちわんこそば(^^)
>このブログも今日でちょうど1年目なんですよね
わぁ。(*^^*)おめでとうです。
コメント欄のはなしは盛り上がってるような感じですけども、ブログでのコメント欄の管理ポリシーを通じて、ネットリテラシーが高まればいいなと思います。コメント書く方だって、消されたくないから、表現考えるだろうし。
それに、炎上っていうのも、大勢でわーっといって叩くみたいのを追認して、強化してしまうしね。そうなると、炎上ネタを探すなんて事にもなりかねないし、もうなってる向きもあるし。
炎上はないほうがいいと思いますわん。わたしも。
あれはいじめっぽいと思う。理由がどんなに正当なものであったとしても。(つまり、叩かれる人の失言とか問題が明らかだったとしても)それもしょうがない。おっけーだよとはなんかいえない。失言をとがめる以上のなにかになってしまっていると思うから。
それに、コメント欄を開放していても、なぜかそこには立ち入り禁止のみえないロープがはってあったりするものだし、承認制にすることで発言の敷居が特別高くなると言うものでももうないと思うし。
コメントするってことがなんなのか、考えないとですね。
投稿: ggg123 | 2008年6月 4日 (水) 12:02
ggg123さん、どもども(^^)
>コメントするってことがなんなのか、考えないとですね。
そうですね。その通りですね。ブログを書くということがなんなのかと同じように。飯を食うってことがなんなのかと同じように。
最近、リテラシーということをずっと考えていますが、結局、俺はこう思うからこうするということを実践して、そうすることで、他の人が見て、なんか楽しそうだったり、なんかよさそうと思ってもらうことが、いちばんなのかなと考えています。
これからもよろしくお願いします。
投稿: mb101bold | 2008年6月 4日 (水) 12:16
mb101bold様
いつもブログを読んでいます。
あの自殺事件は考えさせられましたね。
やはり10代だから、無防備なんだな、とも。
自分も途中から、コメントやトラバは承認制にしました。メリットはかなり大きいですね。一旦冷静になる時間が持てるというか。トラバは、テレビの「提供」みたいな役割もあるのでしょうが、正直「なんだよ」的な物もかなりあり。
コメントも然りです。承認制なら、自分で選んで載せることができるし、明らかな嫌がらせであれば、削除だってできる。
mb101boldさんとはどうやら同い年のようですので、自分も面の皮は厚いのではと思ってしまいました。
自分の言いたかったことの殆どが、この記事にあるような気がします。
これからもよろしくお願いします。
投稿: あみーご長嶋 | 2008年6月 4日 (水) 14:15
あみーご長嶋様、お久しぶりです。
やっぱりね、ブログは個人メディアということを考え直さないといけないんだな、ということは思いますね。個人メディアであれば、人それぞれの管理があっていいわけだし、finalventさんの言い方を借りると、コメント承認制で、解決できることも多いのだし。
こちらこそ、今後ともよろしくお願いします。
投稿: mb101bold | 2008年6月 4日 (水) 15:20
こんばんは。
あいかわらずブログ初心者ですので、「ははあ、そういうことがあるのか」と、ためになりました。
いろいろ考えると、ブログを使ったコミュニケーションてハードルが高い部分があるわけですね。
道具はどう使うかが肝心で、簡単に手に入ってしまうブログでも、まだまだ良く分かっていない部分が多々ありました。あまりトライ&エラーを繰り返すには不向きなものかもしれませんね。経験や体験の話がこんなに大切だと思うのが久しぶりでした…。
投稿: そうちゃん | 2008年6月 9日 (月) 01:12
そうちゃん、こんばんは。
ハードルが低い部分と高い部分がごっちゃになっているのが、今のウェブのコミュニケーションツールの現状かもしれませんね。先鋭的なユーザーはどんどん高度化するけど、一般の人たちはどんどん取り残されてしまうんです。
承認制は、私としては、どちらかというと一般の人たちが安心してコメントをしてもらえる方向に機能するのではないかなと思います。
トライ&エラーを繰り返すには少しリスクが大きいのも事実だから、いろいろ考えていかなくちゃいけないな、と思っています。
投稿: mb101bold | 2008年6月 9日 (月) 01:24