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2008年6月14日 (土)

後期高齢者医療制度がどんな制度なのか知っていますか。

 いま新幹線の車中にいます。東京から大阪に向かっています。MacBookとemobileの組み合わせにしてから、新幹線の中が快適になりました。ネット環境がオフィスや自宅とほぼ同等。もちろん、静岡あたりのトンネルの多いところではつながりませんが、他はほぼ大丈夫。出張の多い方は、おすすめです。

 大阪に何をしに行くかというと、入院している母の件です。このところ、週末はなるだけ大阪に帰ることにしています。そんなわけで、後期高齢者医療制度(政府は通称を長寿医療制度にしたようですが)は自分の問題でもあります。

 この制度、わかりにくいですね。後期高齢者ってどういうことか知っていますか。なんとなく知ってるという人も多いのではないでしょうか。

後期高齢者=75歳以上の全員および65歳から74歳までの障害者認定1級から3級(等級は7級まであって1級が最高度)

 ちなみに、この制度とは直接関係がないですが、65歳から74歳までを前期高齢者と定義しているようですね。この前期、後期という定義が評判が悪く、政府は長寿医療制度と自ら呼び出しました(参照)。

 で、何が変わったか。後期高齢者になると、今までの健康保険(国保、社保)から脱退し、この制度にもれなく全員加入となります。つまり、健康保険という制度ではなく、この後期高齢者医療制度のもとで医療を受けることになるんですね。

 保険料は、後期高齢者自身が、原則月々の年金から天引きのかたちで支払っていきます。窓口では1割負担です。今、論議されているのは、この支払いの負担についてが多いですね。後期高齢者医療制度は、国ではなく、地方自治体でもなく、地域の「広域連合」と呼ばれる組織が管理・運営をしますので、地域によって今までの負担より重くなったり軽くなったり、いろいろあるようです。

 この制度の政府側の目的は、2025年までに医療給付金を8兆円削減するという目標と大きく関係しています。8兆円削減の内、5兆円が、後期高齢者の医療費の削減で実現しようという目論みです。ちなみに、例のメタボ検診も、この医療費削減の一施策で、これは「生活習慣病の予防策で有病者・予備軍を25%減少」によって2兆円の削減を見込んでいます。

 運営母体を国ではなく「広域連合」にしたのは、今後考えられる問題や財政難や制度破綻の責を広域連合にゆだね、かつ、実施にあたっては、広域連合同士の競争と相互監視(まあ、国や地方自治体による評価とか圧力はあるでしょうから)によって、より効果的に削減を実現しようという政府側の思惑があるようです。

 淡々と情報を整理してきましたが、ここから見えることがあります。政府の視点で言えば、医療費がかなりの財政的な負担になっていて、介護保険や障害者自立支援法の諸問題を考慮すると、その大半が後期高齢者と障害者によるもので、これをどうにかして減らしていかないととんでもないことになるよ、という思いです。

 福田首相は、衆院山口二区補欠選挙の応援演説でこう話しています。政府の意図がわかりやすく表現されています。わかりやすく表現する必要があったのかどうかは分かりませんが、わかりやすいですねえ。しかし、どうしてこんな発言をするんでしょうね。

 お年寄りの医療はお金がかかる。若い人もせっせと支えようと言っているんだから、少しくらい負担してくれてもいいじゃないの、というのが今度の医療制度なんだけどもね。

 また、この発言はいろいろなところで話題になっていますが、厚労省の国民健康保険課課長補佐は、次のように述べました。

 医療費が際限なく上がっていく痛みを、後期高齢者が自ら自分の感覚で感じ取っていただくことにした。

 こうした発言から見える本音みたいなものが、一連の医療制度についての施策に貫かれている感じがします。一切の負担増を許さない、と言うつもりもありませんし、福田首相の言うように、後期高齢者の方も、一部を負担するのは、個々のケースでいろいろあるでしょうけど、なんとか総意としては理解をしてくださるのではないかとも思います(でもあの言い方では納得はしないでしょうけど)。財政難は問題であるとも思います。その財政難をどうにかするときに、なぜこうもグロテスクな思想によって行おうとするのか。ご老人や障害のある方に対しての、とてつもない悪意を感じます。

 以前書きましたが、後期高齢者の90日規制(「高齢者が3ヶ月以上入院できにくくなるって知っていましたか。」をご参照ください)もそうです。事実上、長期入院の必要がある高齢者を社会は受け入れないと言っているようなものです。財政難はわかった。でも、それをこんなふうに解決するのは、ちょっとあんまりなんじゃないか。生活者として、そんなふうに思います。

(「では後期高齢者医療制度のもとで我々はどうすればいいのか。」に続きます。)

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