私はブレーンストーミングが嫌いです。
ブレーンストーミング、やってますか。脳に嵐を起こしてますか。このブレストってやつ、私、嫌いです。ブレストって何?という方は、こちらのリンクを見てください。わかりやすく解説されています。
BBDOの副社長だったAlexander F. Osbornさん(BBDOのOの人なのかな)が発案したそうです。なるほど、だから広告業界ではよくやるんですね。仕事が始まると、その担当スタッフのひとりが、必ず「ブレストやろうぜ」と言い出すんですね。明るい笑顔で。うんざりするんです。まあ、これは個人的嗜好だから、しぶしぶ付き合いますけどね。
ブレストの鉄則は、大きく言えば2つあって、大胆で突飛な意見を言う、というのと、批判や反論は言っちゃいけない、というもの。これが性に合わないわけです。それと、ブレストの目的は、企画の前の固い頭を柔らか頭にする準備運動というか思考実験に近いものだけど、それを認識していることも少ないし、正しいブレストは、司会進行役が絶対にいるんですが、まあ、日常のブレストは、それが省略される場合も多い。これが、またくせものなんですね。
そうなると、どうなるか。限定的に発言をフラットにすることで、逆説的に、限定的な権力ゲームになってしまったり、前提をまったく考慮しない、または自分に都合良く誤読することで、意味のない戯れ言大会になってしまったり、そんな感じです。
現実では、ブレストでなされる意見は、大胆に見えて、じつはきわめて常識的で凡庸なことも多いです。でも、批判や反論は閉じられているので、なるほどねえ、なんて言わないといけない雰囲気なんですよね。メンバーの全能感が次第に増幅され、そんなカラ明るい空気の中で、こっちは、どんどん不機嫌になっていくんです。
で、ブレストが終わって、それぞれの企画作業へ。えっこらさと企画を進めていると、メンバーの一人がやってきて、「俺の意見、反映されてる?」なんてことをニコニコしながら聞いてくるわけです。ほんとはその意見が使えないからだけど、「ちょっと予算の問題でね」とか嘘付いて、そんでもって、その人はさみしそうな顔して帰っていくんですね。もうね、ブレスト、やめませんか。誰も幸せにならないじゃない。
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コメント
こんにちは。
あ~確かにそういうケースは本当に多くてウンザリです。
普通の会議でも一緒です。
結局、「構成員しだい」ということだと思います。
批判から新しい視点が生まれることも多いのに、批判を受け止める精神力が無かったり、正しい批判をできない能力不足を誤魔化す手段となっているケース。
面白い人たちと話していれば自然とストーミングされますよね。
投稿: takupe | 2008年6月 7日 (土) 18:29
takupeさん、こんばんわ。
普通の会議もそういう感じになることも多いですね。「構成員しだい」というのは至言です。ある程度案件に対して知識を持っていて、それぞれ別の専門分野を持つ人が集まってああだこうだ自由に話すのは好きです。
別の視点から、おっ、そういうことね、というのも多いですね。まあ、ブレストがいいも悪いも運営次第というか、システムの問題とも言えそうです。
投稿: mb101bold | 2008年6月 7日 (土) 23:22
参加しなきゃいいのに。
誰も仕事くれないか、それでも仕事したいと思うか、
判断すれば良いじゃん。
投稿: | 2008年6月 8日 (日) 06:52
まあねえ、でもねえ、
そうもいかんのよ。
投稿: mb101bold | 2008年6月10日 (火) 20:38