思いつきのクリエイティブ
このところ、医療関連の話題を書くことが多いので、当然、看護を専門にする人のことを書くこともあるのですが、なんとなく看護婦っていう名称はなくなったということなので、看護士って書いていたんですが、これも間違いだったということに気付きました。
正しくは、今まで女性を看護婦、男性を看護士と言っていたそうなのですが、これを男女ともに看護師というふうに統一したとのこと。知らなかった、というようり、ことえりではまだ変換されないようです。でも、ことえりのせいにしちゃいけないですね。いろいろなエントリで、看護士って書いているかもしれません。修正は折を見て。
医療関係のニュースで、気になること。なんか各自治体で「小児医療無料化」が押し進められているようで、(参照:みんなの意見で社会が滅ぶ - レジデント初期研修用資料)、こういうこと書くと子どもを持つ親御さんからは反発はあるのだろうけど、何を考えているんだろうと思います。
特に小児科が今疲弊していて問題になっているときに、なんでだろうと思います。何もこの時期に、と思います。最近、から明るい制度の深淵にグロテスクな発想を見ることが多いです。なんだろう、この感じ。私は、コンビニ医療という言葉と、そのリテラシーを市民にしいていく風潮を批判するエントリ(続・リテラシー考)を書きましたが、こんな制度を始められたら、コンビニ医療をやめようと問いかける人のがんばりだって、水の泡じゃないですか。これ一発で、ぜんぶ吹き飛びます。
ほんとの意味でのマーケティングがないんです。マーケティングは、泥臭い過去を見て、今を見て、未来を見ること。その泥臭ささを引き受けて、見たくないものもぜんぶ見てクリエイティブをしなければ、絶対にうまくいくはずない。それがどんなに心地よくても、思いつきのクリエイティブほど、害を与えるものはないんですよ。これひとつで、何十年と築き上げたブランドが吹き飛ぶことだってあるんです。
吹き飛んだあと、気付いても時すでに遅しです。医療行政も、少しは市場から消えていった幾多のブランドに学べばいいのに。失敗の事例は世の中に出ないから、学びようないかもしれないけど。
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コメント
リンク先の方はお医者さまなので、多分夜間とか時間外のほうも無料化になるのだろうとおもうけど、いままでも、高い料金で時間外に軽症な人が受診するということはあったわけだから、料金高いことでは抑制できない話で、つまり料金の問題じゃなくて、そういうことの最大の問題は、明日の朝でも間に合うと言うことがわからないってことだとおもうの。
コンビニ受診という言葉にそのまま当てはまる受診の仕方をしている人ってそんなに多くないと思う。もしそんな人がそんなに多いのなら、それは、夜間診療にニーズがあると言うことだから、夜だけあいている小児科を地域に作ればいい。働いてる人とかは、子供が朝になってからも具合が悪いととても困るわけだし。薬があって、いちおう診断もついているなら、預けやすいだろうし。
それよりも無料化でいけないのは無駄な受診がふえるというか、薬なんかの無駄だとおもう。無料だからと直ぐに連れて行って、余りたいしたことがないなら、もらった薬も最後までは飲まないことが多いし、小児の薬は取っておくことができないから(シロップとかだから)、同じような症状のときまたもらいにいかなきゃならない。市販の薬は小児用があんまりないし。(そもそも小さな子に薬をしょっちゅう飲ませるのはあまりよくないような気がするけど。)
でも、いくらおばあちゃんの知恵てきなことで、こういう場合なら様子を見ていても大丈夫とかいわれても、子供は具合が急に変わることもあるし、それだと間に合わないこともあるし、救急体制が脆弱なこととかよぎってしまうと、いまちょっと看護婦さんや先生に嫌な顔されるくらいのこと、我慢すれば、万が一この子になにかあって、私が医者に行かなかったために手遅れになるよりいいと思うわけで。
だから私は夜と休日の小児科を普通にやったらいいとおもうのよね。平日昼間の小児科とどっちが混むかなぁ。
投稿: ggg123 | 2008年7月24日 (木) 12:41
まあ、そのへんは今の小児科医の少なさと医療の原資の問題がからむのでしょうね。この無料化という話、患者負担が0%という話で、小児科医は保険収入は患者増で増えます。つまり、お金だけで言えば、患者にも医師にもメリットがある話。
でも、限界まで来ている小児科というインフラの問題があって、例のコンビ二医療いけません派の人たちは、それを根拠にしています。
あと、医師なんかも人だから、医師免許をとって、さてどの分野のお医者さんになろうかという段階になると、小児科は人気薄らしいです。少子化傾向と訴訟リスクから総合的に判断すると小児科は将来性がない、と。あと外科もね。
医療をマーケティング的に見た場合、小児化もggg123さんがおっしゃるように、少子化といえども明らかに市場ニーズがあるし、高齢者医療だってそう。
でも、市場ニーズがあればあるほど負担になってくる医療保険制度の矛盾があって、今、厚労省が高齢者医療を目の敵にしているのは、かつての自治体の高齢者医療無料制度があったのがひとつの原因。そもそも、医療は完全自由競争になじまない領域だから、ニーズのあるところで競争をやって、価格が自然に下がってくることを待つみたいなことができないし。
>いまちょっと看護婦さんや先生に嫌な顔されるくらいのこと、我慢すれば、万が一この子になにかあって、私が医者に行かなかったために手遅れになるよりいいと思うわけで。
うん。それすごくわかります。私なんかは、このところ、毎日それです。前の病院からは明らかに警戒されてたし(笑)。
この気持ちは、絶対に否定できないんですよね。そして、否定しちゃいけない。だから、私は正直、市民側からの地域に結びつかない形のコンビ二受診いくないです、の動きに違和感を持ちました。(これが、吉本隆明の言っている対幻想は共同幻想に逆立するということなのかな?)
まあ、小児医療無料の動きは、今の状況ではあまりに論外なのはありますが、この医療の問題、考えれば考えるほどため息です。とりあえず、今は現実のグラデーションをなるだけ取り込んで、解決策を探るべき、みたいなことしか思いつかないです。まあ、少しずつ考えます。
投稿: mb101bold | 2008年7月24日 (木) 13:38