ここに「現代」があるような気がしました。
土曜日から、母の転院先を見つけるためにケースワーカーさんに会ったりしていました。土曜は、大阪郊外の転院を予定している病院所属のケースワーカーさん。いまは病床不足らしく、空きがあるときに入らないとなかなか入れないという事情があります。ケースワーカーさんには、現在の入院先の主治医と看護士長さんの所見が渡されています。
病床を見学させてもらって、説明を受けました。その病床は、ある慢性疾患のための施設で、その慢性疾患のための施設としては、充実したものではありました。日中は、広場で多くの患者さんと一緒に楽しくすごすデイケアに近い感じです。しかし、母はその病状の可能性がきわめて高いものの、現在母が陥っているのは、その慢性症状ではなく、複合症状である、ある持病が原因だと思われる一時的な衰弱と摂食障害。たぶん薬の影響もあるのでしょうが、わかりやすく言えば、寝たきり、ものを食べない、しゃべらないというもの。
現在、今日はジュースを飲んだ、ゼリーを食べてくれた、ということに一喜一憂するのが現状なわけで、正直言えば、この施設は、たとえ今の母の深刻な状況が、その慢性疾患によるものだとしても、今の母に耐えられないと思う、とケースワーカーさんに言いました。ケースワーカーさんが持っている情報は、母がある慢性疾患の可能性がきわめて高いという情報が主で、だからこそ、その専門病棟の紹介だったわけです。困惑されていました。寝たきりで食べられないのなら、ここでは受け入れられないという可能性もある、ということでした。
そして、今日、現在入院している病院のケースワーカーさんと話しました。どうでしたか、と聞かれ、その話をしました。そのケースワーカーさんは、大丈夫です、早く転院しないと改善しませんし、の繰り返しでした。こちらの心配も話すのですが、そのことには明確には答えてもらえず、なんとなく平行線な感じ。こうなるのはわかっていることですが、なんだかこちらが無理難題を言っている感じになるんですね。
それに、東京からわざわざ大阪に出向いている息子という立場ですから、どうにも過剰に警戒されているようなんですよね。それがすごくやりにくいです。こちらが言えば言うほど、先方の腰が引けてくるのが手に取るようにわかり、なるだけ情報は多い方がいいだろうと話せば話すほど、心を閉ざされるというか。こちらの意識しすぎかもしれませんけど。
それに、両病院間での意思の疎通にも不備もあったようで、入院のときに、急性期病棟なので90日を超える場合、転院先を探さないといけません、と言われ、そのために、転院先を押さえておくという話が、転院先を予定している病院では、来週の水曜か木曜を転院日に予定していたようでした。こちらとしたら、えっ、そんな急な、という感じです。
10年ほど前、母は今入院している病院に4ヶ月間入院していました。そのときには、90日という話は出てきませんでしたので、これは保険制度による90日ルール(参照)による影響が少なからずあるのでしょう。でも、誰もそれをはっきりと言いません。それに、情報のグラデーションを見ようとせず、いわゆる最終的なレッテルで話をしようとします。そうすれば、話が単純になって早いんですが、病気なんてものは、そのグラデーションの中にいろいろな悩みがあるものだと思うし、実際にそのグラデーションが今の悩みのすべただし。
結論としては、母のことを最優先に、母のために精一杯頑張って、こちらの印象が悪くならないことに気をつけながら、いろいろと最低限のこちらの悩みは伝えきって、その転院先でお世話になろうと思います。初期段階では、このままでは少し混乱しそうですが、それをなるだけ減らして、いい転院ができるようにしたいし、そこから、転院先の先生やケースワーカーさんと新しい道を探したいと思います。でも、なんだか、これが現代という時代なんだな、と思いました。
現場でお世話してくださる看護士さんは、今日はゼリーを食べてくれました、あのジュース好きみたいだから1週間分ほど買って来て預けてくれませんか、とか、そういう方針に関係なく一生懸命看護していただいています。今、コンビニ医療とか、そういうこと言われてますよね。コンビニ医療については、このブログでも書いたので(参照)、詳しくは書きませんが、そんな空気の中で、こうした要望ひとつでも、なんだか胸が苦しくなるんですよね。知らず知らずに医療に対して過剰な要求をしているんじゃないかって。正直、精神的にちょっとしんどいです。
どちらにしても、転院して、新しい場所にリセットして、次の90日を始めようと思っています。たぶん、そうするしかなさそうです。その次は、医療ではなく介護保険を使うことになりそうですが、ここにも落とし穴があるんですよね。今、母は要介護5ですが、半年更新ですから、介護を必要とする段階では、たぶん下がることになりそうです。介護認定が高いときは介護保険ではなく医療で、医療でなく介護で十分という時には、介護認定は低くなる。そういうジレンマが、現実的な運用上あるんですよね。確かに、医療費抑制という意味ではうまくできているなあ、と感心しますが。
実際に、母が入院することで、本当にいろいろなことが見えてきますね。母はまだ後期高齢者になるには数年ありますが、これに後期高齢者制度がからむともっとしんどい状況が生まれそうな気がします。そういう患者さんと患者さんのご家族が、現状を知りながら、最良の手を打てることを願っています。この問題について考えるのに参考になるブログをご紹介します。医師に向けて書かれていますので、少し難しいですが、参考になさってください。
※同じ状況にいる人の参考にと書いていますが、日々の実感を通して書いていますので、検索などでたどり着かれた方は、少々の誤解や思い込み、個人的事情もあることをご承知おきください。それと、告発風味だし(過去ログ読んでいただければわかるかと思いますが、告発の意図はありません)、日記っぽいので、このエントリはコメント欄とトラックバックを閉じておきます。私は元気ですよ、ご心配なく。ではでは。
追記(2008年7月16日):連休明け早々に転院になりました。翌日、すぐに電話連絡があり、父が面談。病院って、こういうときの対応は早いなあ。まあ、気持ちを切り替えていかなしゃあないですね。
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