Puff, the Magic Dragon
昔、パフっていう名の魔法が使える竜がいたんだ。
正しく言えば、今もどこかにいるんだけどね。
そのパフっていう魔法の竜は、
ジャッキーという名の少年と、とっても仲良しだったんだ。
パフが住んでる海辺でいつも一緒に遊んでいたんだってさ。
ときには、パフが自慢の魔法を使って大きな舟をつくって、
冒険の旅に出たりしてね。
大海原の真ん中で、海賊船がおそってきたときなんか、
パフが大きな声で吼えると、海賊たちは、たちまち降参さ。
ジャッキーも、そんな強くて勇敢なパフが大好きだったんだって。
パフは魔法の国の竜だから、永遠の命を持っているんだ。
つまり、パフは年をとらないし死なないってこと。
いつも楽しく遊んでいたパフとジャッキーだけど、
ある日、ジャッキーが海辺に遊びにこなくなっちゃったんだって。
どうしてって?
ジャッキーが大人になったからさ。
もう子供のときみたいに遊べなくなったんだろうね。
パフはかなしかった。
いくにちもいくにちも、海辺でひとり泣いていたんだって。
涙もかれて出なくなって、パフは思ったのさ。
もうこれからは、泣かないでおこうってね。
ジャッキーと遊べなくなったのはかなしいことだけど、
ジャッキーが大人になったのはうれしいことだから。
だからパフは、もうぜったいに泣かないって決めたんだ。
パフは岩穴のすみかに帰っていった。
パフの鳴き声を誰もきいたことがないのは、
そういうわけがあるのさ。
* * * *
昔から、ピーター・ポール&マリーの「Paff, the Magic Dragon」という歌が好きで、その歌詞の世界にちょっとだけ創作を加えて物語を書いてみました。英訳ではありませんのであしからずです。ちなみに、この歌、かつてはドラッグソングとか言われてたんですよね。
Puffは吐き出すとかタバコをふかすとかの意味があって、Magic DragonがMagic Drug。そんな連想からそうなったんでしょうね。それに、PPMはベトナム戦争に反対していて、ディランの曲のカバーもしていたし、社会派の歌を歌っていたしね。そんな反戦運動とつながっていたヒッピー文化の影響もあるんでしょうね。いろんな国で放送禁止になったりもしました。でも、PPMはそんな説をことあるごとに否定している、というか、ギャグにして、コンサートでお客さんを沸かしています。
PPMは、いま聴いても、ハーモニーがモダンでいいんですよね。パフは、アメリカでは、みんなが歌える国民歌でもあります。どんな歌なのかは、下記英語詞タイトルのリンクをクリックしてくださいな。追記:英語詞の下に直訳の日本語をつけてみました。ご参考にどうぞ。
P.Yarrow & L.lipton
Puff, the magic dragon lived by the sea
And frolicked in the autumn mist in a land called honah lee,
Little jackie paper loved that rascal puff,
And brought him strings and sealing wax and other fancy stuff. Oh
魔法の竜パフは海のそばに住んでいた
秋の霧が立ちこめるホナリーと呼ばれる島で遊んでいた
ジャッキーペーパー少年はいたずら好きのパフが大好きだった
ヒモやロウやおもちゃを持って来てはいつもパフのもとにやって来た
Puff, the magic dragon lived by the sea
And frolicked in the autumn mist in a land called honah lee,
Puff, the magic dragon lived by the sea
And frolicked in the autumn mist in a land called honah lee.
魔法の竜パフは海のそばに住んでいた
秋の霧が立ちこめるホナリーと呼ばれる島で遊んでいた
魔法の竜パフは海のそばに住んでいた
秋の霧が立ちこめるホナリーと呼ばれる島で遊んでいた
Together they would travel on a boat with billowed sail
Jackie kept a lookout perched on puffs gigantic tail,
Noble kings and princes would bow wheneer they came,
Pirate ships would lower their flag when puff roared out his name. oh!
ふたりは帆をなびかせてボートで旅に出た
ジャッキーはパフの大きな尻尾に座って見張り番
高貴な王様や王子様がふたりにごあいさつ
パフが大きな声で名前をつげると海賊船も白旗下げてごあいさつ
Puff, the magic dragon lived by the sea
And frolicked in the autumn mist in a land called honah lee,
Puff, the magic dragon lived by the sea
And frolicked in the autumn mist in a land called honah lee.
魔法の竜パフは海のそばに住んでいた
秋の霧が立ちこめるホナリーと呼ばれる島で遊んでいた
魔法の竜パフは海のそばに住んでいた
秋の霧が立ちこめるホナリーと呼ばれる島で遊んでいた
A dragon lives forever but not so little boys
Painted wings and giant rings make way for other toys.
One grey night it happened, jackie paper came no more
And puff that mighty dragon, he ceased his fearless roar.
竜の命が永遠だけど少年はそうじゃない
手作り旗や大きなリングはやがてほかのおもちゃに変わってしまう
ある夜突然ジャッキーはこなくなった
勇敢な竜パフはもう大声で吠えることができなくなった
His head was bent in sorrow, green scales fell like rain,
Puff no longer went to play along the cherry lane.
Without his life-long friend, puff could not be brave,
So puff that mighty dragon sadly slipped into his cave. oh!
悲しみにくれるパフの緑のうろこははがれて落ちて
パフは大好きだった桜の小道にも行かなくなった
大好きなともだちがいないからもう勇気も出ない
勇敢なパフはかなしそうに穴のすみかに帰っていった
Puff, the magic dragon lived by the sea
And frolicked in the autumn mist in a land called honah lee,
Puff, the magic dragon lived by the sea
And frolicked in the autumn mist in a land called honah lee.
魔法の竜パフは海のそばに住んでいた
秋の霧が立ちこめるホナリーと呼ばれる島で遊んでいた
魔法の竜パフは海のそばに住んでいた
秋の霧が立ちこめるホナリーと呼ばれる島で遊んでいた
| 固定リンク
「音楽の話」カテゴリの記事
- そうなんですよね。僕らだって意味もわからず英語の歌を聴いてきたんですよね。(2012.02.16)
- shinabonsさん(2011.04.15)
- 東京はあまり雨が降らないですが「雨が降る日に」という歌について書きます。(2010.06.12)
- それでも私はジャズが好き(2010.05.17)
- 「春一番コンサート」と音楽の未来(2010.05.10)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
余計なお世話&違ったらすみません。
涙もかれて出なくなって、「ジャッキー」は思ったのさ。もうこれからは、泣かないでおこうってね。
↑
「パフ」は思ったのさ、
ではないのでしょうか?
投稿: | 2008年7月31日 (木) 18:37
ご指摘、ありがとうございます。
その通りです。修正しました。
投稿: mb101bold | 2008年7月31日 (木) 18:55
mb101boldさん、こんばんわ^^
あのね、
>ジャッキーが大人になったからさ。
もう子供のときみたいに遊べなくなったんだろうね。
パフはかなしかった。
いくにちもいくにちも、海辺でひとり泣いていたんだって。
↑これ、
私はそのことについてまだ実際に泣いたことはないけど、でも、もしかしたらずっとずっと泣き続けていたのかもしれない。それが、彼の心をかなり重苦しくさせたかも。思い当たります。はやく、気づけばよかった。
トラバしないけど、日記かきました。
どうもありがとう。
投稿: ggg123 | 2008年8月 1日 (金) 21:00
ggg123さん、どもです(^^)
うん。なんか大人になることだったり、成長することだったり、けっこうさみしくてせつないことだな、なんて思いました。
もとの歌の詩は、パフは悲しみにくれた、で終わっているんだけど、なんとなくその後のことが気になって、というか、パフがかわいそうだなと思って書きました。
投稿: mb101bold | 2008年8月 1日 (金) 21:40
はじめまして。
この曲をギターを練習中、歌詞が知りたくなり曲名の検索から当ブログを拝見していました。
これほどポピュラーでピースフルな印象の曲の背景に、
当時代性や比喩等が潜んでいたようで、さらに曲を深く理解できた気分。 参考になりました。
ちなみに私は白いMacBookから拝見しています(汗)
また、うかがいます。
投稿: kaz | 2008年8月29日 (金) 23:16
kazさん、はじめまして。
私は、今、大雨で新大阪に向かう新幹線が止まり、新幹線の中で黒いMacBookでこのコメントを書いています。大阪着は12時すぎそうです。
PuffというかPPMは私もギターを練習しました。なんか懐かしいです。うまくなるといいですね。今後ともよろしくです。
投稿: mb101bold | 2008年8月29日 (金) 23:49
海賊船は「白旗を上げた」のではないと思いますよ。
旗を(おそらく少し)下げただけです。
これは帆船(旗は風の方向を読む意味もある)
などが海上で出会ったときに、お互いに少し
旗を下げ、そして戻す挨拶のことでしょう。
海賊達がパフと少年に対し、船乗り同士として
粋な挨拶をしてくれるのでしょう。
古い記事だから もう届かないでしょうね‥‥
投稿: 岸辺の人 | 2011年11月28日 (月) 02:14
いえいえ、ちゃんと届いております。
なるほど「海賊たちも白旗下げてご挨拶」
みたいなことですね。
ご指摘ありがとうございました。
投稿: mb101bold | 2011年11月28日 (月) 02:48
パフ 歌詞 PPM で プログ 検索中です
パフ の歌 懐かしいです。
私のころ まだ 学校の教科書に 載っていなかったです。
中学の時 音楽の先生が 教科書では ない曲を 授業で 教えてくれました。内申点とか どうだったか わかりません。
この歌の歌詞の解釈に いろいろな意味もあるんですね。メルヘン的な 意味だけと思っていました。アメリカの表現の自由~。
投稿: 村石太3&ファルコン&トトロ | 2013年3月17日 (日) 11:20