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2008年7月 6日 (日)

taspo(タスポ)雑感

 私は喫煙者なんですが、taspo(タスポ)はまだ持っていません。これからも持たないかも。だって、スーパーやコンビニでカートン買いすればいいしね。今まで予備のタバコを持ってなかったのは、いたるところに自動販売機があるっていう安心感からだったわけで、買えなければ昔のように余分に買っておくだけのこと。お米や塩と同じことです。自動販売機でしかタバコを買えないというなら話は別ですが。

 未成年の喫煙を防止することが目的だそうですが、街で高校生とか明らかに未成年な感じの若者が自動販売機でタバコを買っている光景が目に余るという実感は私にはないので、なんとなく別の目的があるんじゃないの?なんて穿った見方をしてしまいます。

 申し込みに顔写真と身分証明書のコピーが必要なんですよね。それに住所も。過剰に個人情報のことを言うつもりはないけれど、タバコみたいな今社会から冷たい目で見られる嗜好品をたしなむかどうかの情報を渡したくはない、というのが人情ではないでしょうか。

 喫煙者だって、未成年の喫煙問題に心を痛めていますし、我関せずというわけではないと思うんですよね。だから、未成年の喫煙防止という目的については、きっと同意なんです。きっと、その目的を果たすためには、自動販売機を禁止して、対面販売に際しては免許証や身分証明書など年齢が確認できるものの提示を義務付けるというのが筋なんでしょうね。もともとは二十歳を過ぎなければ買えないものなのだし、あまりに容易に買えてしまう状況がおかしかったわけだし。要するに、規定に対しての運用の不備の問題でしょう。

 taspo(タスポ)は、きちんとマーケティングしていないんじゃないかな。関連団体の利益とか、そんなことが優先されてしまったのではないでしょうか。ちゃんとマーケティングをしていれば、導入を躊躇するはずなんですよね。街のタバコ屋さんが廃業してしまうことも、気の効いた商売人が販売機にカードをひもでぶら下げておくことも、親が子どもにカードを渡して買いに行かせることも、予見可能な範囲のことだと思います。

 会社の同僚がおもしろいことを言っていました。taspo(タスポ)が始まって、街で若いやつらに囲まれて「おっさん、タスポ貸せや」って言われたらどうしよう、って。まだそんな事件は起きていませんが、そういうこともとりあえず考えてみるのがマーケティングというものなんじゃないかな、と思います。

 マーケティングが表現される最たるものが広告ですが、あれもどうかなと思います。駅に貼っているポスターには、「これからはtaspo(タスポ)がなければ、自動販売機でタバコが買えなくなります。」とあるんですが、「自動販売機で」という文字がすごく小さいんです。こういうの駄目。誇張だし、脅しだし。

 テレビCMも「お申し込み、年会費は無料です。」って。そもそも何の特典もないカードに年会費もないでしょうに。逆効果。本当は会費もとっていきたいという運営側の本音が見えてしまうんです。言葉に書かれたものだけがメッセージではないですから。その言葉をチョイスした意思というものが問われるのが、広告であり、コミュニケーションです。

 で、こういうエントリもたくさん出てきて、テレビや新聞でも報道されるようになって、世論もこういう感じになってきたところで、自動販売機でタバコが24時間買えるようになるとかならないとか。もう、ここまで来たら本末転倒です。

 タバコの自動販売機が5時から23時までになってから、深夜、よく「この辺でタバコ売ってる場所ありませんか」と人に聞かれるんですよね。「あそこのコンビニで売ってますよ」と道を教えて「ありがとう、助かります。」というふうに、喫煙者は、不満も言わずに、時代に合わせて助け合ってきたんですよね。絶対に深夜に自動販売機でタバコは買うもんか、と思います。その前に、taspo(タスポ)がないから買えないんですけどね。

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» taspoについて [Kahoos Net Watching]
 私は、禁煙についてはかなりの専門家と言って良いと思う。短いものは数時間から最長一年弱まで、百回を優に超える禁煙を体験してきた。或る日何気なく禁煙を決意してそのままあっさりと今日に至っているような人とはレヴェルが違う。その私が断言するのだが、禁煙の持続を阻害する最大の要因は、この世界に煙草が存在する事である。この命題は、偶々鼻孔に紛れ込んできた煙草の微粒子が鼻粘膜に生じさせる刺激が喫煙衝動を発動させてしまうといった生理的事情から、街を歩けば信じられぬほどの頻度で煙草の自動販売機に遭遇してしまうと..... [続きを読む]

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