Agree or not agree.
私は外資系企業の文化の中で、これがいちばん好き。だって、わかりやすいから。合意したことがいちばん上位にあって、合意したかぎりは、じつは本音は合意してないんだよね、というのはなし。そんなこと後から言うのなら、なぜあのとき反論しなかったの、という文化。
ミーティングは、ひとつの合意をつくるために存在して、みんなどんな合意をつくろうかと論議します。そこに上も下もなくて、みんな等価。でも、よくここで間違えるのは、その等価っていうのは、スキルとか責任とかが考慮された等価ってこと。優れたアイデアも、凡庸なアイデアもみな等価ってわけじゃないし、スキルの低い人は置いてけぼりだし、責任の少ない人の言葉は軽くなる。ミーティングはブレストじゃないから。
だから、たとえ上司だろうと、違うと思ったら反論するし、対案を出す。どうしても自分の考えを説得できないときは、自分が合意できる妥協線をさがす。こういうことなら私は合意できるという新しい考えをさがす。英語で言えば、I think I agree.(まあ、それならいいんじゃないかな)という感じ。
でも、一度合意したら、あとはその合意された目的に向かって全力で挑む。よけいなことは考えない。ひたすら目的が達成できるやり方を考える。それが嫌なら、合意しなければいい。合意する、つまり、agreeっていう言葉は、かなり重い。上司といえども、ちゃぶ台返しは御法度です。
まあ、現実はそうきれいにはいかないし、ちゃぶ台返しもままあるし、成功したら俺の手柄で、失敗したら、あのとき俺は違うと思っていたなんてこともあります。でも、建前としてのAgree or not agree.という外資系の企業文化は性に合います。なんか陰気な感じが苦手です。
それに、たぶん性格なんでしょうけど、陰気な政治ではいつも損する側に回ってしまって、孤立無援になったり、意地悪されるタイプなようで、なるだけそういう状況を本能的に避けてしまいがち。もっと、この文化が普通になればいいのに、と思います。
外資系のこの文化(まあ建前でしょうが)を知らない上司と仕事をすると、はじめはすごく生意気に思われるみたいです。なんでもかんでも突っかかってくる、みたいな感じ。それに、上司であろうと、ねちっこく論理的に反論するし。で、agreeしたら、今度はどうしてこんなに従順なのかとびっくりするみたい。でも、こちらとしては、そういう決まり事でお仕事をしてるだけなんですね。
私は、語弊はあるけど、たかが仕事と思ってます。たかが仕事だからこそ、仕事のあいだは日常生活のルールを持ち込むのやめましょうよ、仕事のルールでいきましょうよ、と思うんです。こういうのドライって言うんだろうけど、日常は日常でわければいいじゃない。仕事で人生をかけてもしょうがないじゃない。仕事は、プロのプライドをかけましょうよ。
でもまあ、これって、やっぱり建前だよなあ。外資系企業は、上司の権限が強いし、本国では、上司のホームパーティーは絶対出席らしいし、not agreeの一言でクビになったって話もよく聞くし。考え方を変えると、私みたいな若造がnot agreeって言えるのは、日本のよさでもあるのかもしれないなあ、なんて。以上、外資系広告代理店10年超選手、mb101boldのつぶやきでした。
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