汚れ
今日は母のお見舞い。ようやく言葉を話せるようになって、ほっとしているのですが、今日はちょっとぼんやりした感じでした。病気の性質から言って、そんなに急激に回復するわけではないのはわかっているので、こんな日もあるかな、という感じで少し散歩して、少ししゃべって、そそくさと帰ってきました。
お見舞いには父と行くのですが、父はよくお見舞いに行っているので、父が行っても、最初はすごく喜ぶものの、買って来たメロンジュースを渡して、グイグイ飲んで、10分もするとそれほどの感動もなってきて、父は自嘲気味に「ワシは、あいつにとっては今やジュース持って来てくれるおじさんやな」と話しています。私もけっこうお見舞いに行ってはいますが、入院や、その入院先から医療タクシーに乗っての転院など、母にとってはストレスのかかる要所要所で登場しているので、自分の事情がまだ飲み込めていない様子の母にとっては、私を見ると、反射的に少し構えるところがあるように思います。
* * *
そんな男陣ですが、唯一、なんか母の表情がほがらかになるのが妹がお見舞いに行った時。やっぱり女同士は違うのかな。その「ネックレス似合ってるな」とか「手がきれいなあ」とか、「私、あの看護婦さん好きやねん」とか「あの看護婦さん、嫌いやねん」とか、そんな感じになることが多いです。たまたま、気分がいいときにあたっただけかもしれませんが。
母が入院して、いろいろと気付くことが多いです。ジュースおじさんと自嘲する父ですが、父と母は、やはり夫婦なんだな、みたいなことを今さらながら思います。なんか言葉にはできない絆みたいなものがあるんですよね。母にとって、父への信頼みたいなものは絶大っぽいんですよね。なんでも解決してくれるスーパーマンだと思っている感じ。これまでは、父が飲んだくれだったので、それがもとに喧嘩になることもあり、そんな関係をよく見て来たのですが、いろいろ私が知らない心のつながりみたいなものがあるんだな、なんて思いました。
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妹は、なんか友達みたいな関係にすぐなれるんですよね。これも不思議。気さくな関係というか。こっちはこっちで、母の状態が悪くなれば泣いたり、寝込んだり、そんなやつなんで大変なんですが、母のお見舞いに行ったら、私なんかとは比べものにならないくらい打ち解けている状況があって、へえ、大したもんだな、なんて眺めてます。まあ、あいつはあいつでいろいろ考えて行動しているんでしょうけど。
そんなこんなで、私の役どころは、母本人が嫌がるあれこれの決断を下す、みたいなことになります。「お母さん、いややろうけど、歯医者いかなあかんで」みたいな。ちょっと汚れっぽいですが、これはしばらく続きそうです。いかにも長男っぽい感じで、それはそれでいいかな、とは思いますが。
この前も、こんなことが。母が院内にある歯科に行くのを嫌がっていたそうです。看護師さんがいくら言っても「いや」と言うだけ。私も、「歯槽膿漏が進むからいかなあかんよ」と説得したのですが、なかなかうんと言ってくれません。で、父が「じゃあ、お父さんと一緒に行こか」。そしたら、あっさり「うれしいわあ、行こ」だって。看護師さんと顔を見合わせて苦笑。参りました。
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病院にお見舞いにこられている他のご家族なんかでも、家族の役回りが、同じようなものになっている感じが多いように思いますね。長男らしき人に、お疲れさまと声をかけたくなりますが、そのご家族もそれどころではない状況もあるので、心の中でご挨拶という感じです。
まあ、こういう汚れみたいな役回りはいないと困るし、普遍的に家族ではその役回りは長男的な人が担うってことなんでしょうね。会社なんかでも、長男的な役回りの人、長女的な役回り的な人、父親的な人、母親的な人、いろいろいますよね。それぞれいろいろあるでしょうが、それぞれ健康的に愚痴りながら、いろいろありながらも、それぞれが持ち場をうまくこなしていくのがいちばんなんでしょうね。ちょっとやな大人っぽい意見だけど。ま、私もいいかげん大人だしね。
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明日は、新大阪から朝一の新幹線で品川。そのままスタジオで撮影です。元気があれば、車内で書いて、静岡あたりで更新するかもです。その折はよろしくです。ではでは。
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コメント
このカテゴリには取り合えず反応。(^^)
いぁ、苦みばしった汚れ役もかっこいいよ?
>mb101boldさん
投稿: ggg123 | 2008年9月 1日 (月) 11:24
>このカテゴリには取り合えず反応。(^^)
あはは。まあ、母親にとっては男性の子供ってこういうときは微妙なもんですねえ。
投稿: mb101bold | 2008年9月 1日 (月) 11:51
こんにちは。豪雨の先週末は新幹線の中におられた様子。東海道線の最終は列車ホテルになったとかニュースで見ました。お疲れのことでしょう...。現在お母様は闘病中とのこと。しかしご本人もご家族の状況も微笑ましく俯瞰されている文面に救われます。幸い私は齢47になった今も両親が健在ですが、同様な周囲を見ても明日のおのれを鑑みる思いです。どうぞ お母様が快方にむかわれますよう。
投稿: kaz | 2008年9月 2日 (火) 03:45
kazさん、こんにちは。
最終はそうでしたか。私は40分待ちで済んだので運がよかったかもですね。
母のことお気遣いありがとうございます。最近は、母は家に帰りたそうにしてくれるので、病院から帰るときは、少し後ろ髪を引かれる思いはありますが、回復してきた証拠でもあるので、そんなこともうれしい毎日です。
投稿: mb101bold | 2008年9月 2日 (火) 16:00