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2008年9月19日 (金)

市川準さん

 絶句。

映画監督でCMディレクターの市川準(いちかわ・じゅん、本名・市川純)さんが急死したことが19日分かった。59歳だった。同日午前0時ごろ、10月に開催される東京国際映画祭に出品が決まっていた新作映画「buy a suit」の編集作業を終えて、食事をしていた時に倒れたという。告別式の日程などは未定。

映画監督の市川準さんが急死、新作の編集作業後に - YOMIURI ONLINE

 私は準さんのつくるCMや映画が好きで、気心の知れたお得意さんに、長尺のCMを提案し、もし決まったら準さんに演出してもらおうということをよくやっていました。こういう企画を仕事の合間を見ながら、かれこれ10年ほど続けてきましたが、ついに実現できずに他界されてしまいました。

 CM制作会社のプロデューサーさんにも準さんを慕う人は多かったようです。とかくお得意さんの都合でぐちゃぐちゃになりがちのCM制作の中、準さんは常にものを作る側の視点に立っておられたようです。けっして声を荒げることなく、すごくもの静かでやさしい仕事ぶりだったと聞きます。一度でもいいから、一緒に仕事をさせていただきたかったです。心よりお悔やみ申し上げます。

追記:

 あるCMの編集スタジオで、このニュースを聞きました。私より少し上の世代のCM制作会社のプロデューサーさんやディレクターさんは、若い頃、準さんと仕事をしたことがある人が多く、その方々から、一緒にロケに行ったときの思い出話をよく聞かされました。その方々は、当時は新卒で入社したばかりの新人さんで、準さんは、そんな新人さんにもやさしかったそうです。相手が誰であろうと、理不尽なことは理不尽だと言うし、その理不尽さの犠牲になっているのが新人さんだったとしても、無視しない。そんな人だったそうです。

 私は、当時は新人さんで準さんと一緒に仕事をした経験を持つ、そんなCM制作会社のプロデューサーさんの「準さんはいいよ。一度でいいから仕事したほうがいいよ。企画には厳しいけど、すごくいいから。」と聞かされて、それ以来、まるで、はじめて見たものを親と思う小鴨のように、いつか準さんとご一緒できるような仕事の条件をつくれたら、準さんに仕事を頼みに行こうと思い、自主提案を重ねていきました。

 ちょっといい格好をすると、私の中で勝手に「準さんプロジェクト」と名付けた自主提案は、私の励みというか、初心を忘れないための儀式というか、そんな感じでした。それも、かなわぬ夢になってしまったんだなあ、と思うと、ほんとさみしいです。

 CMのディレクターというと、名前の通った人は、その名声の裏側に、必ずと言っていいほど悪評がついてまわるのですが、準さんには、そういう悪評というのはほとんどなかったです。あっ、ひとつだけあった。声がちいさいんだよねぇ、というのが。でも、そう言っている人の顔を見ていると、すごくうれしそうで、なんとなく準さんのお人柄がしのばれるというか、その現場が見えてくるようで、ほんと、一度でいいから一緒に仕事をさせていただきたかったと思います。

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コメント

ボクの先輩プロデューサーが若い頃、あのNTTの「カエルコール」のCMで制作をしておりまして、撮影現場での話を聞いたことがありました。
本当に若い新人さんにも優しかったそうです。
若い新人であろうがちゃんと一人の人として見てくれたそうで、まだ右も左も分からないような撮影現場でもがんばっている姿を見て褒めてくれたそうです。
そんな話をボクは憧れを持って聞いていた事を思い出しました。
本当に寂しいですね。
惜しい方が亡くなってしまいました。

投稿: さとし | 2008年9月20日 (土) 02:23

はじめまして。通りすがりです。
市川準さんのこと、本当にショックでした。
80年代のCMの監督で、一番好きな人でした。当時大学生だった私が、CM制作会社を目指したのも市川さんの影響だと思います。
(結局入社して数ヵ月で挫折して、その後コピーライターに転身したのですが…^^;)
しかし、どの記事を見ても、CMディレクターとしての市川さんの素晴らしさに触れているものがなくて、歯がゆい思いをしていたところです。こちらの記事を読ませていただいて、とても嬉しく思いました。
せめて、CM作品のリストがどこかにあればいいのですが…
自分で作ればいいのかもしれませんが、もう記憶も曖昧だし、資料もあまり手元にないのです。残念です。
市川さんのご冥福を心からお祈りいたします。
ブログ主様も、お仕事頑張ってください。
(私は、ブログ主様よりちょっと年上で、現在は専業主婦です)

投稿: 通りすがり | 2008年9月20日 (土) 09:22

>さとしさん

「カエルコール」はいいCMですよね。準さんらしい作品だと思います。広告に、きちんと人がいるんですよね。それも生活をしている普通の人が、きちんと。
さとしさんとか私の世代は、先輩たちの思い出話で準さんに憧れるという感じの人は多いのでしょうね。なんか、しんみりしてしまいます。

>通りすがりさん

CMディレクターとしての準さんは、きちんと人が描けて、だけど、それが映像作品だけでなく、きちんと広告としてもすぐれたものを生み出せる人だったような気がします。CMでは少し笑いが得意な監督でしたね。
代表作は、「私、これで会社を辞めました。」の「禁煙パイポ」とか、「亭主元気で留守がいい」の「タンスにゴン」とか、NTTの「カエルコール」とか、「おねえさん、どうしてそんなに大きいんですか?(ちょっと記憶が曖昧)の「プチダノン」とか、どれも少し毒があるのに人が愛おしくなるようなやさしい視点のもの。
また時間を見つけて、いろいろリストをつくってみたいみたいと思います。

投稿: mb101bold | 2008年9月20日 (土) 12:18

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