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2008年9月25日 (木)

 私のエントリのタイトルには、「。」がついているのが多いです。それは、私がコピーライター系だからなんでしょうね。土屋耕一さんの世代は、キャッチコピーに「。」をはぶくことが多いように思いますが、それ以降の世代は、かたくなにコピーに「。」をつけたがるようです。「。」がつくとコミュニケーションのための言葉という感じがします。「。」がつかないと、タイトルというか、フレーズというか、そんな感じ。

 そういえば、我々の世代はキャッチコピーと言いますが、その上の世代はキャッチフレーズと言いますよね。今日、電車に乗っていると、山田優さんが出演するユニクロのワンピースのポスターが貼ってあって、そのキャッチコピーが、たしかこんな感じでした。

ユニクロのワンピース。

 あえて「。」をつけてるんですよね、きっと。「。」をつけることで、タイトルちゃいまっせ、メッセージでっせ、ということを、このコピーを書いたコピーライターは言おうとしているんですよね。それが伝わっているかどうかはわかりませんが、私は広告屋なので、「うんうん、わかります。わかりますよ。」という感じでポスターを眺めていました。しかし、山田優さん、足長いなあ。試しに、比較。

ユニクロのワンピース
ユニクロのワンピース。

 下の「。」付きは、ただのワンピースちゃいまっせ、ユニクロのワンピースなんですよ、おねえさん、っていう感じがしませんか。

 有名なところでは、ずいぶん古いですが、JR東日本のダイヤ改正の広告。小泉今日子さんが出演していた広告で、キャッチコピーが「ジャンジャカジャーン。」というもの。これも比較してみます。

ジャンジャカジャーン
ジャンジャカジャーン。

 ね。なんか違うでしょ。違わないですか。違うと思うんですけど。下のほうが、なんか「大発表ですよ。みなさん、聞いてください。」というメッセージが読み取れるような気がします。かつて、私が大阪で仕事をしていた頃の作品から。なんばCITYというショッピング街のセール広告のコピーです。「関空効果。」というコピー。これは、ニュースで言われはじめる前に掲載して、テレビのニュースで取り上げられたのがうれしかった仕事です。あの頃、若かったなあ。これも比較。

関空効果
関空効果。

 上は小泉現象とか劇場型政治とかと同じタイプの言葉ですが、下は「によってお得なんです」的なメッセージを感じたりしませんか。しませんか。すると思うんですけど。どうでしょうか。そういえば、「モーニング娘。」も「。」がありますよね。

モーニング娘
モーニング娘。

 この違いはどう説明すればいいんでしょうか。でも、とにかく新しさというか、ユニークな存在という感じはしますね。たとえば、普通の言葉に「。」をつけるとどうなるか。とりあえず列記して、このエントリの締めとさせていただきます。なんか、この締め方は少し新しいかも。ではでは。

ブログ
ブログ。

広告
広告。

疲労
疲労。

愚痴
愚痴。

宮沢賢治
宮沢賢治。

スナフキン
スナフキン。

幸せ
幸せ。

放送事故
放送事故。

フリーズ
フリーズ。

労働
労働。

寝不足
寝不足。

カラマーゾフの兄弟
カラマーゾフの兄弟。

ドストエフスキー
ドストエフスキー。

ニーチェ
ニーチェ。

マルクス
マルクス。

鷹の爪
鷹の爪。

ホッピー
ホッピー。

就寝
就寝。

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コメント

mb101boldさん、おはようございます。^^
ブログ→広告→愚痴→宮沢賢治(なんで?)→スナフキン→幸せ→放送事故(何で?)→フリーズ→労働→寝不足→カラマーゾフの兄弟→ドストエフスキー→ニーチェ→マルクス→鷹の爪(何で何で何で?)→ホッピー→就寝

ちなみに、私は「。」をつけてあると英語のCoke is.の「is」を思い出します。コークだぜって感じ。の、もうすこし丁寧な表現かな。

投稿: ggg123 | 2008年9月25日 (木) 10:35

ggg123さん、どもども。
それは秘密です。というのは嘘で、本棚とかいろんな目につくものをてきとうに並べただけですよん。
Coke isとCoke is.も感覚が違いますね。そういえばJUST DO IT.もかたくなに.がついてますよね。

投稿: mb101bold | 2008年9月25日 (木) 11:51

>Coke isとCoke is.も感覚が違いますね。そういえばJUST DO IT.もかたくなに.がついてますよね。

。や .をつけると情報にインターフェイス感が生まれるような?つまり、向こう側になにかがいる感じがでるのかな。

投稿: ggg123 | 2008年9月25日 (木) 14:34

なるほど「。」はインターフェイスをつくる。言われてみればたしかにそうかも。言葉と言葉をつなぐ糊というか、そんなイメージでしょうか。この視点はすごくおもしろいです。

投稿: mb101bold | 2008年9月25日 (木) 17:08

こんにちは。おもしろいですね...「。」の有無。
「。」がつくだけで、ただぼんやり宙に浮いているコトバが地に下りて来る感じがします。音としてリアルに聞こえて来るというか、意思を持つ感じ。
もしくは「です」や「ます」の省略と代理をする記号のようにも感じます。

投稿: kaz | 2008年9月26日 (金) 02:38

kazさん、こんにちは。
音声としては同じだけど、音にすれば違うように聞こえるというのはあるかもしれませんね。「。」があるとそれはおしゃべりというか文章、つまり肯定や否定、共感というリアクションを前提とするコミュニケーションの言葉になるんでしょうね。

投稿: mb101bold | 2008年9月26日 (金) 11:42

例えば、<なんとかで、かんとか。>と書いて
(私もコピーライター 兼 CDを職業としております)
デザイナーに渡します。
渡し方は、データ(メール)だったり、短い文章の場合は
手書きだったりします。

でも、あがってくる(途中チェック)デザイン上の文字は
「何とかで」であったり、「句読点がぬけていたり」します。

私は、当然怒るわけですが、
デザイナーは軽~く「すみませーん、直します」。

ふと、そんな細部、広告を見る人にとっては関係ないかね…
と思ったりもします。

投稿: 川島孝之(表参道の小さな広告屋から) | 2008年9月28日 (日) 20:34

川島さん、こんばんわ。

句読点をめぐるコピーライターとアートディレクターの意識の差はありますね。永遠の争いかも。

「どうして取るんだ」と言われるアートディレクターは、内心、そんなんどっちだって同じじゃない、という意識があるから、なかなかわかりあえないですよね。

ま、この手のことは、広告を見る人にとっては関係ないかも、くらいの意識で、だけどこだわる、くらいがちょうどいい塩梅かもしれませんね。

投稿: mb101bold | 2008年9月29日 (月) 01:15

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