はるな愛さんが好かれる理由
ここのところ、はるな愛さんがよくテレビに出てきます。エアあややっていう、松浦亜弥さんのコンサートの音にあわせて振りマネをする芸で一躍有名になったニューハーフのタレントさんですね。この人、私は前から気になっていて、古くは大阪のバラエティ番組に出たり、中野区のケーブルテレビで中継していたインディーズプロレスのDDTという団体に登場したりしてました。一頃、あまり見かけなくなって、最近、エアあややで大ブレイク。今や、全国区の人気タレントさん。人生、わからないものですね。
ニューハーフと言えば、飲み会の3次会なんかで、もう人数も少なくなった頃合いに、ニューハーフの人がやっているバーなんかに連れて行ってもらったりします。人にもよるのでしょうが、ニューハーフの人は、たいてい話が上手で、お客さんとのコミュニケーションが密になる傾向があります。で、気付くと、普段はあまりしゃべらない女性なんかがママさんと恋愛相談していることがよくあって、ちょっとびっくりしたりします。
「ああ、その気持ちわかるわぁ。つらかったのよねぁ。分かるわぁ、うん、うん。」
女性は、その頃には、もう泣きそうな感じになっているんですよね。すごいもんだなあ、と思います。その女性、普段はすごくガードが高いのに、その子の心を開かせてしまうなんてなあ。と。やっぱり、ニューハーフの人は違うよなあ、と感心します。
はるなさんをテレビで見ていると、やっぱり元は男性なので、彼女は、女性の素敵な部分を自分の中に一生懸命に取り入れて来た感じが見えます。男性である彼女が女性になりたい、自分は女性であると思うのは、きっと女性であることの素敵な部分に魅かれてのことでしょうから当然ですよね。女性が持つ嫌な部分っていうのもありますよね。その嫌な部分を自ら選択して取り入れようなんてしないでしょうから、男性である自分の外側を女性の素敵な部分で包み込もうとしますよね。
ここが、はるなさんをはじめとするニューハーフの人たちが愛される理由でもあるんでしょうね。今、「ウチくる!?」という番組にゲストとして出てらっしゃいますが、それがよくわかります。レギュラーの中山秀征さんと青木さやかさん。男性や女性も嫌な部分も自然に出て来ていて、それがナチュラルないい感じなんですが、ニューハーフであるはるなさんにはそれがないんです。やっぱり嫌な部分をナチュラルに表出するときは、自身の男性部分を自嘲気味に語る、というカタチになるようです。
「最近、枕が男くさいのよねぁ、もう、やんなっちゃう。」
それは、ある意味で究極ですよね。吉本隆明の「大衆の原像」とか、そういう世界に近いです。吉本さんは、知識人は「大衆の原像」を自身の言説の中に取り込んでおかなくちゃいけないとことあるごとに言うのですが、その「大衆の原像」というのがこの自嘲気味に語られる男部分。で、はるなさんが身にまとう女性部分は、知識人の知識にあたるのでしょう。だから、乙女チックな女性が醸し出す雰囲気とはるなさんの雰囲気とは決定的に違うことろがあって、前者はコミュニケーションを拒みますが、後者はコミュニケーションを促進する、というか。
「男の人と恋愛するとね、やっぱり、男の人がそろそろ浮気するんじゃないかとかわかるからぁ、すっごくつらいのよねぇ。」
ああ、そういうことなんだろうな、と思います。だから、女性が心を開くんですよね。そして、その相談している女性の駄目なところも、女性であり男性である存在からしか指摘できないんでしょうし。同性では絶対にアドバイスできない領域があるように思います。同性から言われると、もうそれはアドバイスではなく侮辱になることでも、案外あっさりと相手に受け入れられる言葉で言えてしまうところがあるのでしょうね。
今「ウチくる!」でやってますが、ほっしゃん。がずいぶん前にプライベートで告白したそうです。で、そのときのはるなさんの断りの言葉が、なんかいい感じ。
「なに言うてんの、私、男やって。」
なんかせつないですね。まるで、「綿の国星」みたい。でも、まあ、単純にはるなさんにとって、ほっしゃん。が男性として好みではなかっただけかもしれませんが。
この番組では、はるなさんのお母さんとの話が出てきましたが、まあ、これは単純にほんといい話なので、割愛。生きていくってことは、いろいろありますね。いろいろあります。みんな、いろいろあるけど、まあ、お互い助け合って、理解し合って、みんながそれなりに笑顔で生きていけたらいいな、と思います。さて、仕事に戻ります。来週は、飛び石の平日に休暇をとって、大阪に帰る予定なので、いまできることを済ませておこうと、ちょっと無理めにやってます。ではでは、よい休日を。
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コメント
私もさっきまでこの番組、見てました。^^
はるな愛さんは椿姫彩菜さんとはちょっと違うんですよね。ニューハーフっていう性のひとなんですよね。人間の性って複雑ですね。少女性とか女性性とかと、どういう風に距離をとるかは、その人の個性を形作るような気がします。女性でいたくないのか男性になりたいのかとか、女性にみられたいのか女性になりたいのかとか。女性にはなりたくないけど、男性を愛するとき精神的に女性の模倣をしてしまうとか。
投稿: ggg123 | 2008年9月14日 (日) 14:34
それはそれは。あの番組、まあまあ面白かったですね。でも、あそこにいつもの久保純子さんがいてほしかったなあ、と思います。きっといい感じになったのに。
はるなさんも性同一性障害とのことだし、性適合手術をしているので、わりと彩菜さんと同じ部分もあるみたいですよ。
違いは、もしかするとはるなさんが関西人のところかも。まあ、関西人にもいろいろいるから、パーソナリティかも。あっけらかんとしているところとか。
関西人は、自分が関西だからなんとなくわかるけど、謙遜とかがまだらっこしくて嫌いなところがあって、それで自虐にいきがちですね。自らニューハーフとかおかまとか言ってしまうみたいな。それに、そんな自虐を愛をもって楽しむ、ちょっと毒っけのある文化みたいなものあるし。善かれ悪しかれですが。
投稿: mb101bold | 2008年9月14日 (日) 15:04
はじめまして。
福田和也が以前、純文学について興味深い定義をしていたなあ、などと思いつつネット検索していたら、こちらのブログに辿り着きました。
(毒である、という部分がいいなあと。)
まだ福田和也のページと、プロフィールくらいしか見ていませんが、共通点が多かったのでコメントさせていただきます。
まずは、1967年生まれの♂であること。現在はフリーランスですが、コピーライター/クリエイティブディレクターであることです。ある広告人の告白は愛読書でもあります。
もう少し熟読させていただき、またコメントさせていただきます。まずは、ご挨拶まで。
投稿: あるく | 2008年9月14日 (日) 20:09
あるくさん、はじめまして。
同い年、同じ職種ということで、共通する問題意識も多いかもしれません。またお気軽にコメントくださいませ。
今後ともよろしくお願いします。
投稿: mb101bold | 2008年9月14日 (日) 23:12