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2008年9月 1日 (月)

過渡期としての企業とウェブの関係

 あまり過渡期という言葉を使わないようにしないとな、とは思っているのですが、企業とウェブの関係については、今は確実に過渡期なのではないかなと思います。もちろん、ウェブ慣れをしている大企業なんかは、もはや過渡期ではないかもしれませんし、逆に小さいけれど先鋭的な企業だと、ウェブでのびのびとコミュニケーションを行えている企業もたくさんあります。ま、この手の話を一般化して語るのはいいことではなさそうなので、とある企業の話を書きます。

 従業員数2000人くらいの、一般の人にはあまり知られていないけれど、その業界ではトップ企業。売り上げのほとんどはB to Bだけど、ごく一部のサービスは一般の人向けで、そのサービスのマス広告はそこそこ出稿している、そんな感じの企業です。私は、その企業と約3年くらいおつきあいさせていただいています。

 その企業とは、私が正式にクリエイティブディレクターになった直後からのおつきあいなので、忌憚なく意見を言える関係を持たせていただいていることもあって、ウェブについても突っ込んだ提案をちょくちょくさせていただいています。今まで実現したのは、バナーを中心としたウェブでのキャンペーン、他のエンタメサイトへの参加、リスティング、ブロガーミーティングといったところでしょうか。

 3年前と比べると、ずいぶんウェブに対する拒否反応もなくなってきて、ウェブでのコミュニケーションに積極的にはなってきました。今、私が提案しているのは、アフィリエイトとブログです。これは、前からずっと提案してきました。でも、その当時は、アフィリにしてもブログにしても、こちらが望まないサイトにリンクされるのが怖い、という理由から却下になってきました。こちらが情報の流通をコントロールできない状況では、なかなか二の足を踏んでしまうということでした。

 わかりやすく言えば、ウェブでのコミュニケーションはブランド構築を阻害する、という感じ。もっと言えば、ウェブは怖いという感じですね。私がウェブを薦めるときに絶対に言っていることがあります。ウェブの原則は「公開と共有」であり、この「公開と共有」の原則を守れないと、ウェブでは失敗しますよ、と。

 わかりやすいのがブログですね。この企業でも、例えば、「日産:ティーダ公式ブログ TIDA BLOG」なんかの成功例はよく話に出ているのですが、それが自分のことになると躊躇してしまうようです。話していると、炎上したらどうするんですか、という話が必ず出てきます。でも、ブログをやっている経験から言えば、炎上するほど読まれるPVは、企業ブログといえどもなかなか稼ぐことはできませんし、ブログは初期投資が低い分、リーチに関してはやはりマスの足下にも及ばず、地道にやっていくメディアであることは、あまり理解されていませんでした。これは、ブログでコミュニケーション、口コミで倍々ゲームみたいな甘い企画書を書く私たちも悪いんでしょうね。

 もうひとつは、誰が書くのか、という問題です。日々忙しく業務に追われる担当者は、どうしても逃げ腰になりがちです。それに、ブログといっても文章力は求められるし、きめ細かなコミュニケーションスキルはマス広告以上に必要な気がします。それに、企業が表に出す文書ですので、社内の承認がたいへんだ、みたいなこともあります。

 誰が書くか問題に対しては、理想は、得意先社内の担当者でしょうけど、私は、別に広告会社所属の私が書いてもいいと思っています。ただし、その場合は、得意先社内の誰かに成り代わらないのが原則でしょうね。私の立場で書くというのが条件でしょう。あと、日産の例にもあるように、コメント機能は使わず、トラバだけにするとかいろいろな方法もあります。私自身は、企業ブログにもコメント欄はだんぜんあったほうがいいとは思いますが、企業によりけりでしょう。コメント、トラバはブログの付加機能と考えたほうがよさそうです。

 あとは慣れでしょうね。様々なニュースサイトさんをはじめ、はてブ、ニューシング、2ちゃんねるなどのソーシャルなウェブサービスにも、企業側が慣れることも必要かもしれません。毎日、いろいろなことを発信し続けられて、世の中を楽しくするネタ的要素を提供しながら更新しつづければ、ブログは企業にとってかけがえのないコミュニケーションの場になるような気がします。なによりも等身大なところがいいですし。

 今は、確実に過渡期とは言えるけれど、そろそろこの分野に関しては過渡期を脱しそうな気がします。でも、この分野が、広告会社にとっては手弁当的なのが、私としては気になることは気になるのですが、まあ、そのへんはいつか解決されるだろうな、という楽観的な気持ちで。とりあえず、先に進めるほうが大事なんだろうな、と、そんな感じで。さきほど新幹線が静岡を通過しましたので、今回はこのへんで。

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コメント

 え~そんな静岡では、稲刈りが真っ最中です(あは、一部だけかいな?)雨が続いた後の田んぼは、グチョグチョでコンバインが潜りそうでしたよ。 ゲリラ豪雨で新幹線も車も大変でしたね。 広告屋さんちは大丈夫でしたか?
 UPしてくださる時になかなか遊びに来れなくて、本文じゃなくて、お母様の記事に。  ・・・長男の役回り感のこと。なあ~るほど・・・と思いました。おもわず、そうそう!あるある!って、昔のTVのパネルが開きそうでした。 4番目とはいえ同居の長男の主人には、遠慮があったというか、ここぞの時の結論を求めてきたというか。 大正時代の人なので、「男」はそれだけで?重かったのかしらん・・・嫁の手前かしらん・・・?  姉達とは割りとあはあは笑って喋って愉快そうにしてました。確かに姉達のネタは面白くって、嫁の私も(KYかも?)よくその場には居ましたねエ。
 と、それと、いつも遊びに来ての感想というか感じること。 広告屋さん、ほんっとに頭イイですよね。別にヨイショでもなく、座布団もいりませんが・・・「判りやすい言葉で、いろいろ話せる」って、スゴイ事だと思っています。コレ自論。(ついていけない時は、ゴメンナサイ、読み飛ばしちゃってます・・・が。) OL時代の「酔うとそれほどクドクは無いんだけど話が止まらない上司」を思い出します。 あ~いい時代だったなあ~。 ではでは、晴れの天気で稲刈りが進むことを祈って・・・おやすみなさいませませ。

投稿: Aうなぎ | 2008年9月 1日 (月) 23:15

 Aうなぎさん、こんばんわ。というか、こんにちはですね。
 新幹線はけっこう大変でしたよ。品川で足止め40分で、新大阪が12時30分。それからタクシー待って1時間。結局帰れたのが深夜2時前になりました。月曜日は撮影で直行して、終わったのが朝5時。ココログがその後、メンテナンスになってしまいましたので、コメント遅れました。東京はすっかり晴天です。そちらはどうですか。稲刈りは進んでますか。
 こういうとき、男性はちょっと不器用な感じになってしまいますよね。その点、女性陣は自然で陽気。まあ、全体でバランスがとれているんでしょうね。
 「酔うとそれほどクドクは無いんだけど話が止まらない上司」とうのは、なんとなくわかります。私はそんなタイプかどうかはわかりませんが、私のまわりにはそういう上司がいます。同じ話を何度もするんですよね。で、それが毎回おもしろいし、そんなもんだから、いつもはじめて聞いたふり。
 私もここのブログで同じ話を何度もしてるかもですから、やっぱりそんなタイプなのかもですね。

投稿: mb101bold | 2008年9月 2日 (火) 15:50

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