ポメラはモバイルガジェットのパラドクスを超えられるかも!?
こんなのがあったんですね。ポメラ。発売元のキングジム(!)によると、デジタルメモだそうです。大きさは携帯ゲーム機くらいで、キーボードは折り畳み式。開くと両手打ちに十分な大きさのキーボードになるそうです。で、何ができるか。文字が打てます。以上。いいですねえ。保存形式はtxt.で、本体メモリには8000字のファイルを6ファイル保存できるとのこと。
私はこの手のモバイルガジェット好き。はじめて買ったガジェットはNECのARDATA。日本語ワープロ「文豪」ベースのモノクロ液晶機。その次は、富士通のINTERTOP CX310。ウィンドウズCE機。けっこう何でもできました。インターネットの閲覧もできたし、これにDDI Pocket(ウィルコム)をつないでネットサーフィンしてました。懐かしい。
この手のモバイルガジェットは、基本的には多機能なんですよね。小さい割には何でもできる。ARDATAもパソコン通信ができたし(私はしなかったけど)、ファックスの送信もできました。表計算もスケジュールもできるし、ゲームなんかもそこそ。INTERTOPに至っては、それこそウィンドウズCE機なので、パソコンでできるほとんどのことができました。
でもね、この多機能というのが仇になるんです。なんでもそこそこできるという言葉の「そこそこ」がいかんのですよね。INTERTOPに関しては、映像がまるで駄目だったんですね。当時のCEの限界。ソフトウェアも少なかったし、パワポも当然アウト。
人間には欲があるから、あれもしたいこれもしたい、になるんです。映像なんて、実際はあんな小さなガジェットで見やしないのに、見たくなるんです。となると、見られないことが不満になってくるんです。CE機ではものたりなくて、ウィンドウズMe機の東芝のLibrettoを買ってしまいました。でもこれはこれで、結局は電池持ちが不満になってくるんですよね。
要するに、高機能で多機能なモバイルガジェットは、すべてが中途半端になってしまうんですよね。ニッチなりに一分野を誇っていたCEノートも、今や跡形もなくなってしまいました。モバイルは、もっぱらパナソニックのLet’s noteのようなモバイルノートに落ち着きました。超小型のLibrettoやカシオのCassiopeiaでさえ、市場には残れませんでした。
でも、ニッチの需要としては、確かにあるんですよね。例えば、NECのモバイルギアを懐かしむ声は記者やジャーナリストを中心に多いと聞きますし、私自身、ARDATAやINTERTOPの電池持ちの良さと起動の早さは、いまのフルスペックのノートパソコンにはない魅力だったりしました。
で、このポメラ。こんな時代にあえてローテクで単機能なのが、もしかすると功を奏するかもしれないと思いました。ソフトをインストールするといった拡張性もほとんどないみたいですし。 逆転の発想ですよね。商品開発の人たちは、かなり考えてつくったのではないでしょうか。もしかすると、モバイルガジェットのパラドクスをポメラは超えられるかもしれません、というか、超えてほしいなあ。
こういう製品は、けっこうじっくり構えないといけないのでしょうね。きっと私は買わないですが、ポメラが必要な人たちは、世の中にはそんなに多くないけど、きっといるはず。その人たちに行き渡って、一定の評価を得るまで、製品として持ちこたえられるかどうかが勝負どころだと思います。はじめからローテクなので時間が経っても古くならないし。
なんとなく、このマーケティング的なチャレンジは応援したくなります。こういう製品がロングセラーになるかどうかは、結構、これからのトレンドを決めてしまうのではないか、そして、こういう製品がロングセラーとして受け入れられるトレンドは、結構いいかもしれないな、と私はなんとなく思うのですが、どうでしょうか。しばらく注視していきたいと思っています。
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