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2008年12月27日 (土)

「enは転職者とはてブを応援しています。」と、広告とネットコンテンツの新しい関係。

En

 はてなブックマーク(参照)の自社広告(はてなが用意するという意味です)枠がエンジャパンに変わりました。私は前から、はてなブックマークの自社広告枠を注目していて、前にリクルートだったときは、けっこうコピーに力があって、面白いなあと思っていました。リクルートの場合は、自社であらかじめ読み物系のコンテンツを用意しておいて、そのコンテンツの内容を想起させるようなコピーを掲載し、なんだろうと思わせておいて、自社コンテンツに誘導するというカタチでした。

 ネット広告は、アーカイブ性が少ないので、ここに事例を示せないのが残念ですが、リクルートでは、ユーザー目線のつぶやきコピー系だったように記憶しています。テキスト系のネット広告としては異彩を放っていましたが、方法論としては王道で、どちらかと言えば、広告が元気だった頃の手法に近く、見ている側からの印象としては、テキスト広告でもやり方を考えればここまでできるんだという感じでした。

 今回のエンジャパンは、そういう意味からは、リクルートと違ってグッと企業目線。企業としてどう考えているのかがメッセージされています。私がエンジャパンで面白いと思ったのは、「enは転職者とはてブを応援しています。」というコピー。これ、普通のようでいて、今まであまりなかったのではないでしょうか。ここには、なんとなくネットコンテンツと広告の新しい関係が見えてくるような気がします。

 そもそも広告って、こういうものだったのではないかな。広告主のことをスポンサーと呼んだりもしますが、そのスポンサーが持つ本当の意味。つまり、あるコンテンツのスポンサーになり支えることで広告をする、という。塩野義製薬の「ミュージックフェア」とか、大昔で言えば、日清の「ヤングOH!OH!」とか、「てなもんや三度笠」の「あたり前田のクラッカー」とか。

 コンテンツの収益モデルとして、よく広告モデルと言われますが、その広告モデルには2つあるような気がします。ひとつは「新聞・雑誌」型。もうひとつは「民放テレビ・ラジオ」型。なぜこの2つに分かれるかと言えば、「新聞・雑誌」がメディア自体がひとつのポリシーを持ったコンテンツであるのに対して、「民放テレビ・ラジオ」は放送局のポリシーが上位概念としてあるものの、「新聞・雑誌」というコンテンツに当たるものは、じつは「番組」。だから、前者は、広告はコンテンツとは独立して存在していて、後者は、広告はコンテンツと密接に関わっています。

 たぶん、このエンジャパンの表現は、後者の「民放テレビ・ラジオ」型の広告表現だと思います。エンジャパンは、livedoorクリップでもなく、Buzzurlでもなく、はてブを応援する、と(そういう意図ではないかもしれませんし、ソーシャルブックマークの代表たるはてブを応援するという意図かもしれませんが)。つまり、ここではエンジャパンは、はてブという広告媒体に出稿する広告主ではなく、はてブというコンテンツのスポンサーなんですよね。

 本来は、広告とコンテンツの関係で言えば、こちらのほうが全うな気がします。今の新聞、テレビ広告の凋落というのは、主に「新聞・雑誌」型広告モデルの凋落でもあって、テレビの広告の落ち込みは、主にスポット枠(番組と番組の間に放映される15秒枠のこと。提供枠は番組中に30秒枠で流されます。)の落ち込みが原因になっています。で、スポット枠というのは、テレビにおける「新聞・雑誌」型の広告なんです。で、ネットのスポット枠では「Ads by Google」のひとり勝ちなんでしょうね。

 このはてブのエンジャパンの広告、私のような広告を生業としている人から見ると、それなりにはてブユーザに好感を持って迎えられるような気がしますし、そう思いたい気持ちもあるのですが、そうでない人から見るとどう見えるのかが、少し気になるところです。それと、ネットコンテンツの広告は、こういう感じの「民放テレビ・ラジオ」型のほうが向いているような気もするんですけどね。(と、これを新幹線の中で書いていて、もうすぐ新大阪なので、このへんで。ではでは。)

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コメント

mb101boldさん、こんにちわ(^^)今頃はもう大阪の空の下でしょうか。このお話、私には難しくてよくわからないのですけど、たとえばブログに貼るのなら、私だったら、ブログがおしゃれに見えるのがいいです。はてなのスキンは色々あって、みんなおしゃれなので気に入ってます。ってそういう意味じゃないのかも。
というわけで、今年一年お世話になりました。少しはやいけど、よいお年をお迎えください。お母様の穏やかなる日々を切に願っております。

ではでは~

あ。来年もよろしくです。(^^)

投稿: ggg123 | 2008年12月28日 (日) 10:29

ああ、そういう意味じゃないかもです。

スキンやブログ主が貼る広告は、どちらかというとコンテンツとしての魅力の部分で、いくらコンテンツが魅力的で人がいっぱい利用しても、それが収益を生んでくれる訳ではないので、どこかに収益源が必要になりますよね。じゃないとウェブサービスは財政的に破綻してしまいます。で、そのコンテンツを成り立たせるためには、主たる収入源は広告になりますよね。

逆の言い方をすれば、広告収入を上げるためには、サービスを魅力的にして、多くの人を集めないといけなくて、まあ、それが逆説的な表現で、「はてダは無料で広告が表示されません」的なこともあるんですよね。きっと、今や、はてなの主たる収益ははてブの広告収入だと思います。(昔は人力検索の収入だと思いますが。)

その広告は、多くはAds by Googleと表示されているテキストバナーだったり、いろんな大きさの広告バナーだったりします。で、このエントリは、その広告のあり方についての考察なんですね。

WEB2.0とかなんとかも、じつはこの広告収益が支えている部分があって、それは基本的にはPV至上主義だったりして、その広告収益を上げるために敷居も下げないといけないし、もっともっとトラフィックを増やさないといけない。そんな上昇志向も、いま曲がり角に来ているような気がします。それは案外、マス広告の終焉というのと同期しているような気が私にはします。

というわけで、なんだか脱線してしまいましたが、よいお年を。大阪は晴れてます。来年もよろしくです。

投稿: mb101bold | 2008年12月28日 (日) 15:15

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