総合の意地
総合広告代理店という言い方があって、一頃、この言い方がかっこわるい時期があった。クリエイティブエージェンシー、ブランドエージェンシー、様々な言い換えが生まれた。当の総合代理店では、総合を名乗るために、様々な専門職種に分化していって、職種のたこ壷化が起こった。で、そこに捻れが起きていてるのが今なんだろう。
クリエイティブ、コミュニケーション、ブランドという名のもとに、たこ壷の組織化が急がれていて、でもそれは、総合が歩んで来た末路から来る断末魔みたいなもの。総合の中のたこ壷が、市場で戦っている専門と違いがあるとすると、その責任の負い方なんだと思う。
専門で戦っている人は、もっともっと厳しい場所で戦っているはず。実力があっても世界が変わって価値が変われば、淘汰もされる。総合って何だ。それはきっと、専門の連携なんかではなく、総合という職種なんだろうと思う。総合は多機能ではなく、思考のあり方の問題。そこでは総合としてのスキルが問われる。
結局は、ひとりの人間の頭の中の問題だと思う。総合として、責任を負う。専門で戦う人たちと、少なくとも質的には同じ、もしくはそれ以上の厳しい場所で戦っていたいと思う。それでしか総合は専門と対等にはなれないだろう。少なくとも個人としては。総合には総合の意地がある。
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コメント
あまりに心に沁みるエントリでしたので思わずコメントしてしまいました。
私は「総合」で16年勤め現在は某ネットメディアレップにおるものです。「総合」といってもローカル代理店→中堅ローカルブランチとずっと地方(名古屋)におりますので東阪のレベルには遠く及びませんがそれでも自分なりに研鑽を積み、プライドをもってやったきたつもりです。今後もネットのみに限らず全ての広告に関わっていきたいと考える身として良いお言葉をいただけました。
ありがとうございました。
投稿: サトシ | 2008年12月 4日 (木) 12:14
サトシさん、こんにちは。
経済状況がますます厳しくなっていますが、めげずにお互いがんばりましょう。
投稿: mb101bold | 2008年12月 4日 (木) 13:25