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2009年2月24日 (火)

「2008年広告費」雑感

総広告費 6兆6926億円(前年比4.7%減)

テレビ  1兆9092億円(同4.4%減)
新聞   8276億円  (同12.5%減)
ネット   6983億円  (同16.3%増)
折込   6156億円  (同6.0%減)
DM    4427億円  (同2.4%減)
雑誌   4078億円  (同11.1%減)
屋外   3709億円  (同8.2%減)
交通   2495億円  (同3.7%減)
ラジオ  1549億円  (同7.3%減)

ネット広告費6983億円の内訳
 検索連動広告費 1575億円 (同22.9%増)
 モバイル広告費   913億円 (同47.0%増)

マス4媒体広告制作費    3254億円 (同5.2%減)
 ※内テレビ広告制作費 1959億円 (同3.3%減)
ネット広告制作費     1610億円 (同14.0%増)

参考記事:2008年の国内ネット広告費は6983億円、前年比16.3%増-INTERNET Watch
ソース:2009年2月23日付け電通ニュースリリース(PDF

 主要メディアの2008年度広告費を多い順に並べてみました。詳しくは、分析含めて、情報元のニュースリリースをご覧いただきたいのですが、その内訳が広告制作費を含むものだったり、そうでなかったりはしています。また、このところのメディアミックスでは、広告制作費の主たる部分はメイン媒体における広告制作費に含まれてしまうことも多く、広告制作費は参考程度に見るべきかな、と思います。

 こうして並べてみると、実務における広告媒体の重要度とほぼ順位が連動しているように感じます。テレビ、新聞、ネット、折込、DMという流れは、今、その順番も含めて、わりと定石になっているのではないでしょうか。もっともこれは業種によって違いがあります。例えば、化粧品なら雑誌が重要になりますし、世の中の大半の商品やサービスは、テレビや新聞が必要ではありません。一般化するのは無理があるかとは思います。これは、増減についても同じことが言えます。

 2008年度は後半から景気の大幅な後退があり、その後退の影響を早く受けるのは、広告費が高額なテレビや新聞になります。つまり、検索連動やモバイルは景気の後退の影響を受けにくく、しかも業種的には、検索連動を止めることは一切の販促活動を止めることにつながる業種が多いでしょうから、このネット広告の増を単純によろこんでばかりはいられないのは、当のネット系広告会社の方はいちばんおわかりであると思います。

 新聞の広告パワーは、新聞本紙の広告と折込とあわせて見るべきで、そうして見ると、今なお新聞はテレビに匹敵するパワーを持っていることがわかります。このところの景気後退で直撃を受けるのは、テレビ、新聞などのリッチメディアです。

 構造的に、新聞はリッチメディアである本紙広告の後ろにチープメディアである折込がくっついていて、リッチメディアの衰退が、不況に強いはずの折込にも影響を与えるところがあり、他のメディアにはない特徴になっています。新聞はネットで代替しやすい媒体ですし、衰退しつつある宅配システムがこの折込という優良媒体を支えていることもあり、このマス4媒体の中では、新聞はもっとも深刻度は高いだろうと思います。

 ネット広告に関しては、まだ検索連動とモバイルが全体の半分に満たないですが、モバイルの伸びが大きいですね。これは、実務の感覚とまったく連動しています。昨年度に比べると、同じキャンペーンでもモバイルの伸び率が急激に上がっています。これは完全にケータイの高性能化でしょうね。ようやく本格的にモバイルが使えるようになってきた印象があります。

 検索連動に関しては、やはり広告というマーケティング手法の裾野を広げた、そして、広がったということなんでしょうね。ネット広告花盛りといっても、単体企業が検索連動を極端に増やすというわけにもいかず、ひとつひとつの企業にとっては、上限が低い広告なのかもしれません。

 またネット広告におけるもうひとつの「純広」であるポータルサイトの広告枠については、かつてのリッチ化の模索はなくなってきたのは、個人的にはいいことであると思っていますが(リッチ化は、広告効果という側面で言えば逆効果であるとずっと思ってきました)、検索連動の収益でなんとかなってしまうことで、逆に自社広告枠の進化が止まり気味なのではないかな、という印象を持っています。それは表現の分野でも同じです。

 その意味では、マス広告がいい意味でも悪い意味でもお手本です。私は、今後はマスで駄目なことはネットでも駄目になっていく可能性が高いと見ています。ネットは若い媒体だからこそ、今のマス広告のようにならないためにどうすればいいのかが考えられますし。

 そのとき、勝負になるのは自社広告枠(および検索連動広告をからめていくシステム)の質になるでしょう。凡庸すぎていやになりそうですが、結局、広告は、良質なコンテンツありきというのは時代が変わっても変わらないでしょうし。

 そういう意味では、私としても、そのネットの「純広」における表現の質をどう高めていくかが勝負になるだろうと思っています。ネットだからできる、という考え方は、逆にネットをなめているような気がしてなりません。時間はかかるかもしれませんが、ネットの大部分は、いずれリアルな社会とほぼ同じような感覚になるはずです。

 雑感でもあるので、さしたる示唆はありませんが、私は、この凡庸さやつまらなさも、ひとつの未来を指し示す指標でもあるのかなと思っています。なんとなく、私は極論が苦手。極論は気持ちがいいんですけどね。でも、その気持ちよさは、未来が見えるみたいな気持ちよさではなく、別のものなのだろうな、という感じがします。それは、このネタからおもろいことが書けないという言い訳でもあるんだろうけど。ではでは。

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