継続が速度を上げる
♪ガリガリ〜クン ガリガリ〜クン ガリガリ〜ク〜ン
たとえば、ガリガリ君のTVCMのコミュニケーション速度。その速さは、同じ歌詞、同じメロディで、何年にもわたって継続しているから出ているものでしょうね。年長組が歌ってるのを聴いて、年下の子供たちが真似をして、そういうサイクルがずっと続いているのだと思います。初見だと、今のコミュニケーションの速度には到達していないはず。
このいいサイクルがあるおかげで、通常のコマーシャルより、ガリガリ君のコミュニケーションのコストはずっとずっと下がっているはずです。何クールかでタレントを変え、コミュニケーションのコンセプトさえも変えてしまう数多のブランドより、ずっとずっとコミュニケーションの効率は高くなっていると思います。
この効率の高さは、何億円をつんでも手に入れられないもの。もし、どこかのアイスキャンディー屋さんが、「いくらかかってもいいから自社のブランドを、ガリガリ君のように、いつでもコンビニに置いてあるようにしてほしい」と言われても、なかなかできるものではないと思います。
ある一方向のベクトルとしては、広告コミュニケーションはアイコン化を目指すものだろうと思います。信号の「止まれ」を意味する赤。これを一夜にして青に変えることはできません。言葉のコミュニケーション速度の優位性は、この領域に入ると、確実に逆転します。色、音、カタチの絶対的優位がそこにはあって、私なんかの言葉をベースにする広告制作者がアートや映像ベースの広告制作者に対して抱く憧憬みたいなものは、この部分だったりします。
* * * *
追記です。YouTubeの「ガリガリ君のCMを集めて見た!!」という動画の引用を追加しました。それにしても、見事なマンネリ。素敵です。私は、こういうのこそブランディングのお手本だと思うんですよね。本気で。だって、いろいろ長くやってたら自社のCMでも飽きるし、調子が悪いときには、CMを変えたくもなると思うんですよ。右肩上がりだけではないですからね。特にコンビニ商品は。
こういうの、簡単にできるようで、なかなかできることではないんですよね。
| 固定リンク
「広告の話」カテゴリの記事
- 2年前に流れていたテレビCMから「かんぽ生命不正販売」を考える(2019.09.11)
- 映画と広告と文在寅政権(2019.09.06)
- 本を書きました。『超広告批評 広告がこれからも生き延びるために』池本孝慈(財界展望新社刊・9月1日発売)(2019.08.21)
- 『世界一のクリスマスツリーPROJECT』について僕が考えていたこと(2018.01.04)
- 東京糸井重里事務所を退職しました(2012.01.26)
コメント
電気グルーブの「ガリガリ君」知ってますか?私はコーネリアスリミックスしか聴いたことないんですが。笑えますよ。うちの子にもウケてます。
それはそうと、上の動画を見て「俺はガリガリ君のCMを一回も見たことがない」ということに気がついて、われながら潔い気持ちになりました。
実は、ガリガリ君、自分が親になるまで知りませんでした。食べたことはあったのかもしれませんが。
投稿: denkihanabi | 2009年2月 9日 (月) 03:15
>電気グルーブの「ガリガリ君」
あっ、それ知りません。一度聴いてみます。あのジングルは、ダウンタウンの松本さんがよく歌ってますよね。
私は関西ですから、じつはガリガリ君はこっちに来てから知りました。関西は、王将アイスという3色アイスがあって、それが子供に人気でした。
このアイスの分野は地方色があるみたいですね。
投稿: mb101bold | 2009年2月 9日 (月) 03:36
あ、関西にはないんですか。私も実は子供のときは関西やら九州やらにいたので、知らなかったのはそのせいかも。
投稿: denkihanabi | 2009年2月 9日 (月) 13:22
たぶんそうだった気がします。今はあるのかも。今度、コンビ二で見てみます。
投稿: mb101bold | 2009年2月 9日 (月) 14:33