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2009年3月 9日 (月)

もっと専門分野の方がブログを書くようになればいいと思うんですが

 なんだかんだで、世の中には、専門分野の人たちにとっては当たり前のことでも、一般の人にはいまいちわからないことがたくさんあって、それを知りたい一般の人もたくさんいるわけです。例えば、入院中の母のこと。かれこれ、もうすぐ1年になります。入院した時点では「入院90日ルール(入院90日を超えると保険点数が極端に下がる制度)」があり、転院を迫られました。表向きは、対応しきれないので、より専門性のある病院への転院をすすめるというものでしたが。そのときに「転院後も、また3ヶ月経ったら考えないといけません」とケースワーカーさんに言われましたが、その後、新しい病院に移り、今のところ、そういうことを言われることもなく、入院生活を続けています。

 去年の8月に後期高齢者の90日ルールが見直しとなる公算が高いという新聞記事が出て(参照)、その後、たぶん見直されたはずで、その影響なのかもしれませんが、はっきりしたことはわかりません。この「90日ルール」は、苦労している方が多いにもかかわらず、あまりニュースにもなりませんでした。ネットで検索しても、私の過去記事が上位に出てくる始末で、マスメディア、ミドルメディア、個人メディアとメディアが多様化しても、世の中に取りこぼされる情報はたくさんあるものだな、と思います。

 ま、プライベートな領域の事柄だから、書かないことも多いけれど、高齢者の医療にはたくさんのアクシデントが待ち受けていて、母の場合も、投薬をやめて、やっと意識が戻ったとたんに、気道にものをつまらせたことが原因で肺炎になったり、いろいろありました。

 ただ、入院当初にくらべると気分的には相当余裕があって、仮にこの「90日ルール」の見直しによるものだとしたら、制度によってこんなにも違うものなのか、とは思います。お医者さんのブログを見ても、この「90日ルール」についての記事がめっきり減っているので、いま医療関係では、この問題については比較的に落ち着いているのかもしれません。

 Web2.0、集合知、ロングテールなど、いろいろとウェブの可能性が叫ばれていますが、本当は、こういう医療も含めて、世の中のいろいろな部分の情報が、ある程度の専門性のフィルターを通して、社会に可視化されることが大事なような気がします。そういう意味でも、もっともっと専門分野の方がブログを書くような世の中になればいいな、と思います。

 あと、私のブログでは、仕事柄もあり、既存のマスメディアについて書くことも多いのですが、ネットでの発言の中では、比較的、既存メディアについては肯定的で、その存続のためにどうしたらいいのか、みたいな保守的な論調になっているとは思います。

 新聞は終わってはいけないし、テレビも、雑誌も終わってはいけない。そのメディアが存立する構造が崩れるということは、今、マスメディアが「90日ルール」のようなニッチな情報を伝えきれていないとしても、このような情報を広く伝える手段を社会が失うことを意味していて、そういう未来は、明らかに後退ではないかと思うからです。情報を伝えるプロがいない。ほんとうのことがわからない。ほんとうのことが通らない。そういう社会は、私はごめんだから。

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コメント

いつも楽しみに拝見しております。
90日ルールというのは、業界では "DPC" という名前の制度のなかの一つで、病院改革の代表的なものとして常識とされています。
政府が制度を考えるのはいいけれど、現場ではとんでもないことが起こっているという典型例ではないかと思います。
「全ての医療行為に明確なコスト意識を持たせる」という発想そのものは個人的には良いと考えています。一方で、制度の趣旨は一般的には伝わっていませんし、現場の医療スタッフも腑に落ちていないかもしれません。ましてや、患者さんや、そのご家族も。
なにも知らなければ議論にもならないので、まずは分かりやすい制度にすること、そして積極的かつ明示的ににコミュニケーションを図ることが大切ですね。

投稿: supezou | 2009年3月10日 (火) 00:12

supezouさん、こんにちは。
やっぱり業界では常識的な事柄であっても、けっこう混乱していたりしても、なかなか一般の人は知らないものですね。
あまり詳しくはないんですが、私自身は、DPC(=Diagnosis Procedure Combination;診断群分類)に基づく包括払い制度というのは、ある程度は賛成でもあります。だけど、受け皿のない現状での「認知症」と「脳梗塞の後遺症」をその適用範囲にしてしまったのは、誤りだったと思います。
いま、そのへんは凍結されているはずで、そういう意味では一歩前進かなとは思いますが、行政的には一歩後退ということもあり、今度は、昨今の景気とかで、病院経営のためにできれば入院を長期化みたいな思惑も働くでしょうし、そんな部分に患者さんやその家族、医療スタッフが翻弄されるのは、あるだろうなと思います。なので、なんかこういう問題はあらゆる人が共有化されたほうがいいのだろうな、と。それには、やはり専門家の人が日頃から情報を発信する気運みたいなものがもっと広がればいいと思っています。

投稿: mb101bold | 2009年3月10日 (火) 16:11

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