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2009年5月11日 (月)

僕にとってのロック

 僕にはロックがよくわからない。もちろんロックという音楽はわかるけど、ロックという精神がよくわからない。もともと、アーチストがYEH!と呼びかけても、YEH!と言わない、あるいは言えない、そんな人間だったりもするし。

 みんなが拳を突き上げて盛り上がっているライブハウスの中で、なぜかひとり涙目になって立ちすくんでいる、そんな人間だったりするし。しかし、ああいうとき、どうして涙目になるんだろ。なんというか、熱狂という状況が苦手なんだな。まあいいや。そんな人間だったりするから、これまであまりロックを必要ともせず生きてきたわけだけれども、最近ちょっと思うこともあるんです。

 僕にはロックが足りないんじゃないか、と。

 たまにはYEH!と言ってもよいのではないか、ということでもあるけれど、なんというか、僕にとってのロックってなんだろ、みたいなことを考えてもよいのかな、と。僕にとっての精神としてのジャズは、大雑把に言えば解釈力だったりします。しかも反射神経が必要とされる解釈力。構造をパッと理解して、瞬時に解釈して、新しい何かに変換する力。精神としてのブルースは、自意識と共感のバランスの取り方。

 ずいぶん恣意的な言い方だけど、僕は、ジャズやブルースを、そんなふうに理解してきた。新しいものをつくるときにジャズを意識し、それを定着させるときにブルースを意識してきた。そんなふうに、音楽としてのジャズやブルースを、精神としてのジャズやブルースとして捉えてきた。例えば、この文章。ロックという切り口から、音楽や文化とは別の、なんかこう指向とは、みたいなものを表現できるかも、というのが、僕にとってのジャズ。で、いつもの私という一人称ではなく、日常使っている僕を使って書こうかな、みたいなことが、僕にとってのブルース。

 こういうふうに考えてみると、ロックというものは、行動力ということかな。なんか、凡庸な感じもするけれど、こう考えると、僕にロックが足りないのは、なんとなく納得できる。とりあえず、いろいろ考えずに、YEH!と呼びかけられたら、YEH!とこたえる、みたいな。おっ、ここで、つながった感が。いろいろ考えるから駄目なんだな、きっと。

 見るまえに跳べ。

 あっ、岡林信康さんの失踪前後と同じ思考の流れ。ロックだ。って、今どき分かる人いるのか。という私も同時代ではないけど。というわけで、ゴールデンウィークもあけて、これからは、ちょっとロックに仕事してみようかな、と。心のフォークギターをエレキに持ち替えて。そんなわけで、ヨロシク。

 

追記:岡林さんと同じ流れだと、しばらくすると民謡とは、と言っている可能性がありますね。あと、マイルスってロックなんだな、と思った。電化マイルス時代は、完全にロック。電化だからじゃなくて、もう解釈とか超えちゃったんだろうな。エバンスは、ロックには行けなかった。そんな感じ。というか、こういう追記を書く時点で、ロックじゃねえ、と言われそうだけど。

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日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

ご無沙汰してます、HOPEです。個人的にはマイルスと渡り合ったエバンスにそんじょそこらのロックとは比べものにならないくらいのロックを感じますが……

投稿: BRAIN BEACH | 2009年5月11日 (月) 17:18

お久しぶりです。なるほど、そういう見方もありますねえ。私の頭の中には、どうもローズのエレキピアノを取り入れて見事に失敗していた中期のエバンスがあったのかもですね。
私的には、最期のエバンスはロックな瞬間を感じます。なんかものすごい速度で生きている気がして。亡くなる1ヶ月前の映像です。
http://www.youtube.com/watch?v=Bgi9v8xfDwk&feature=related

投稿: mb101bold | 2009年5月11日 (月) 17:32

mb101boldさん、こんばんわ。
高校1年時の私の息子によると、ロックとは、「オレが死ぬか、お前らが全員死ぬかのどっちかだ。さあどうする?」という「問い」なのだそうです。ちょっとなるほど感あるでしょ?(^^)でもこれじゃ生き方としては激しすぎますよね。生きていけなそう。まあそれぐらいの気合ってことかなと思います。で、ぼーるどさんにはロックが足りないわ!ってチュンリーちゃんに言われちゃったんですか?(ストファイファンの方だけ、笑ってください。)私はそうでもないように思いますけど・・・。

投稿: ggg123 | 2009年5月11日 (月) 21:01

>「オレが死ぬか、お前らが全員死ぬかのどっちかだ。さあどうする?」という「問い」

ははは。この言い切り感がロックですね。ものすごく明快な定義。ぶれがないです。私的には「さあどうする?」にシビれます。

ストファイと鉄拳の区別がいまいちですが、確か太ももの厚いカンフー少女のことですよね。「ロックが足りないわ!」とはチュンリーは言うけど「ジャズが足りないわ!」とは言わない気がするのはなぜか。でも、「ブルースが足りないわ!」はありな気がする。そんなふうに思う私は、やっぱりロックが足りないような。

投稿: mb101bold | 2009年5月11日 (月) 22:06

長年考えた結果、ロックとは?
「大人が嫌がることをすること」です。

それとやっぱりドラッグカルチャーと切り離せられないのではないでしょうか。

そのあたりはジャズもエヴァンス同じですよね。

投稿: オスギ | 2009年5月12日 (火) 09:02

なるほど。やっぱりこういう定義って人それぞれですねえ。100人いれば、100人のロックを心に秘めて生きている。それでいいような気がしますね。

投稿: mb101bold | 2009年5月12日 (火) 17:38

「俺でも喰らえ!」ってのがロックです。
それ以外のことはバッサリと瞬間的に切り捨てる感じ。
だから、マイルスはもちろんロックです。あと私はセロニアス・モンクのドキュメンタリーを見て、このモンクっておっさんロックな奴だぜって思いました。

投稿: denkihanabi | 2009年5月12日 (火) 18:09

なるほど、なるほど。ハードロックな感じがします。
モンクと言えば、マイルスとの喧嘩セッション。ピアノを弾くのやめちゃう、みたいな。それをレコードで売っちゃう、みたいな。それをリスナーが、何度も聴いちゃう、みたいな。それで、モンクあるか、みたいな。
あのふたりは、いろんな意味ですごいよなあ、と思います。

投稿: mb101bold | 2009年5月12日 (火) 18:38

ロックが行動様式に影響を与えていると思っております。自分がからだから先に動いてしまうのはたぶんロックの影響が強いのではと。
ハードロックはまたちょっと違いますよね。職人の世界というか、様式美という感じかなあ。ギターソロとか。
ロックは実存主義的というのでしょうか。あいまいな言葉ですが。

投稿: ベラルーシ | 2009年5月13日 (水) 21:37

ハードロックは、ジミヘンとかディープパープル方面とプログレ方面では少し精神的な部分では違うでしょうね。ま、この分野はあまり詳しくないのですが。
実存主義的というのは、きっと投企、アンガージュマンの部分ですよね。そう言えば、サルトルとヴォーヴォワールの関係はちょっとロックっぽいです。

投稿: mb101bold | 2009年5月13日 (水) 23:08

ついでだから、JAZZのことも。

私にとってジャズっぽいっていうのは、座りの悪い変な音が気持ちいい音楽ってコトですね。♯とか♭とかいっぱいついてそうな。
矢野顕子とかスティングとかジャズですね。

4本の脚が全部、微妙に違う長さの椅子みたいな。座るとぐらぐらする。最初変だけど椅子に体を合わせて座ってると、そのうちその揺らぎが心地よくなるっていう。
そういうのって、ジャズだな。

私は演奏できないので、どっちも聴く側の感覚ですが。

投稿: denkihanabi | 2009年5月14日 (木) 02:36

椅子の喩えは、けっこう的を得てるかもです。音階的にはBlue Noteスケールであえて不安定さを出して、そこから構成される7thとか13thとかは純和音的には不協和音ですから。で、紡ぎ出されるリズムはSwingなんですよね。

投稿: mb101bold | 2009年5月14日 (木) 09:20

http://www.cmdb.jp/service/event/best_ad_gaiyo08.html
↑は、CM総合研究所が主催の2008年度ベストCMアドバイザーなる催しなのだそうですが、管理人さんはどんなものかわかりますか?

おもしろうそうだったら行ってみたい気もしていて、そもそも大学生が見に行けるのかどうか明日聞こうと思っています。

投稿: jim | 2009年5月15日 (金) 01:39

その年好感度が高かったCMをつくった企業を表彰するイベントです。どっちかというと企業宣伝部向けかもね。

投稿: mb101bold | 2009年5月15日 (金) 09:34

お初コメントさせてくださいね。

清志郎さんの追悼記事で
一番好きだったのは
「ミュージックマガジン」に
掲載されていた
今井智子さんのもの。

糸井重里さんの短い文章にも
心打たれましたが…。

私は
清志郎さんが
”キング・オブ・ロック”などと
称されるようなことが嫌いです。

そんな
誰も
”キング・オブ・ロック”
なんて人はいないと思う。

エルビスだって違うし
ジョン・レノンだって
違うと思う。

今井智子さんの
追悼文にもあったように
清志郎さんは
私たちと同じ
純粋な音楽ファンの一人であり
とくにロックという
音楽に魅入られていた一人であった
という気がします。

清志郎さんは
キング・オブ・ロック・ファン。

そうでなければ
「なぜ、反戦ソングを歌うんですか?」
という問いに
「それがロックというものだろう」
なんて答えたりはしませんよね。

ロックの定義は
いまだ
自分もできないけれど
”そういうもん”だと
私も思います。

たぶん
ロックってこんな音楽
って定義されてしまうことから
最も離れていることが
ロックの本質だと思います。

だから
たぶん
ロックが好きな人なら
マイルスの中にも
ロックを見るんだと思うし
ビル・エバンスの中にだって
ロックを見ることは
可能なはずなんです。

ジャズが象徴しているのが
自由ということなら
ロックの中にも
ジャズがあると思います。

あんまり
上手く書けてはいないけど
mb101boldさんにも
私はロックを感じますよ。

投稿: おやぢ | 2009年6月 3日 (水) 16:08

おやぢさん、はじめまして。
確かに”そういうもん”かもしれませんね。
私はなんとなく今までロックという音楽とは遠い感じで過ごしてきましたが、それぞれの人がそれぞれに語る「ロック」というものがすごく興味深くて、ここのコメント欄なんかでもたくさんの意見があって、まさにそれがロックなんだな、と思います。
清志郎さんがキング・オブ・ロック・ファンというのは、ほんとそうですね。永遠のロック少年というか、そんな方でしたよね。
今後ともどうぞよろしくお願いします。

投稿: mb101bold | 2009年6月 3日 (水) 17:35

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