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2009年6月 4日 (木)

梅田さんのインタビューのもやもやした部分

 例のITmediaのインタビュー。インタビュアーの岡田有花さんが、梅田望夫さんの『僕自身がはてなの取締役でいる限り、「(ネットユーザーに対して)お前たち、こうしろよ」とか「こういうこと言ってるやつはよくない」と言うことは許されないんだなと思ったんです。』という発言に対して、『言えないんでしょうか。どう批判されても、言えばいいのでは。』と問いかけたことに対して。

 それは僕の構え方の問題だね。やっぱり僕は、はてなが大好きだし、近藤には相変わらず期待しているし、みんなの批判を受けたように、「おまえたちが制度設計し、日本語圏のネット空間が良くなるようにすればいいんだろう」と言われればその通りだし。そういうことを思ったよ。

 今、近藤もブログ書いてないじゃない。彼だってアメリカから帰ってきてブログ書かなくなっちゃったじゃない。近藤に聞かないと真意は分からないけど。

 はてなって特異なポジションにあるじゃない。最初のうちは無邪気にみんなやっていた。僕も含めて、ウェブ進化論にはてなのことを書いたし。そういうことをやってきた。

 そのサービスというのは非常にニュートラルなものだから。確かに制度設計といわれても、できる限りオープンにしたいというのがあるからね。

 強権的に何かを削除するとしても、ほかのブログなら何も考えずに消すけれども、うちはむしろ、もうちょっと違うところを目指したりするじゃない。そこが原点になって何か問題が起きたときに、直接的に利用者に対して「君たちがこういう使い方をしているのは良くない」と主観でものを言うのは、はてなの取締役を辞めるまでしないということを、あの事件の時に思ったんですよ。

 そしたらさ、新聞記者が、「辞めてくださいよ。辞めて、その発言を日本のためにしてください」と言ったんだよ。僕は「ふざけるな」と。「どうしてそんな失礼なことを君は言うの?」と僕は言ったわけですけどね。

日本のWebは「残念」 梅田望夫さんに聞く(前編)  (2/3) – ITmedia

 私はこの部分に、やもやしたものを感じました。と同時に、この「もやもや」に、これからのネット、もっと広げて言うとこれからの社会のあり方についてヒントがあるのだろうな、とは思いました。

 この部分にはたくさんの考えるヒントが含まれています。

  • 梅田さんがはてなの取締役である限り、はてなユーザに対する言及はしないという構え
  • 「はてな」の近藤さんが現在ブログをあまり熱心に書いていないことについての梅田さんが推測する真意
  • ニュートラルかつオープンを目指す制度設計とそこが原点になって起こる問題
  • はてなのことを一生懸命考える梅田さんに対して、安易に「辞めてくださいよ」と言ってしまえる新聞記者のメンタリティ

 はてなの近藤さんの件は、近頃は「はてなハイク」でつぶやくことが多いみたいだし、梅田さんのあの発言もTwitterでのつぶやきだったし、このところのウェブのコミュニケーションについてのトレンドと同期しているという部分はあるのでしょうが、ある種のまとまった考えをじっくり書くということが少なくなってきているのは、確かにあるんでしょうね。ログがどんどん微分化されていく傾向にあるように思います。

 ニュートラル、オープンであるシステムは、梅田さんが「ウェブ進化論」などで語られる理想の言論環境の裏側では、究極、件の新聞記者の「辞めてくださいよ。辞めて、その発言を日本のためにしてください」という発言も許容するということだし、その発言に対して「ふざけるな」と反応することで対抗するというシステムだと思います。あと、スルーもあるけど、言われたほうとしちゃ、やっぱり感情はあるからなあ。

 そういうはてな的な、ニュートラルでオープンなウェブの価値観を体現している、IT戦士の岡田さんが「言えないんでしょうか。どう批判されても、言えばいいのでは。」と質問したのは、ある意味で象徴的でした。

 ここから考えてみると、システムがオープンでニュートラルであることを指向する限り、はてなの取締役という立場でも言うというオープンさとニュートラルさが原理的には求められることになるし、「取締役という立場を離れて言う」というスタンス表明がレトリックとみなされる空間(それは、梅田さん的あるいははてな的オープン・フラットの否定だったんでしょう)において、それが現実的に可能なことかどうかということを考えるとき、やはり、原理的には梅田さんの「構え」というのが導き出されると思うし、それは梅田さんが言うように「今、近藤もブログ書いてないじゃない。」という逆説的な動きをシステムがしてしまうということなんだろうと思います。

 きっと今、梅田さんが考えるオープンでニュートラルかつ上昇志向な言論空間は、ウェブではなくSNSという閉じられた言論空間で可能だと考えているのだと思うけれど、そういうSNSが日本ではまだ実現していないの苛立ちが梅田さんにはあるのでしょうね。

 今、はてなで言えば、「はてなブックマーク」は、ウェブのタイムリーなトレンドを知る上では、少なくとも私にとっては他にはないサイトになっているし、この1点だけとっても相当なものだな、という気がしています。それは、梅田さんが想定するものではない可能性だろうけど。

 一方で、ブログでものを書いていて、ブログによって人生が少し変わろうとしつつある、その渦中にある私としては、梅田さん的な課題は、自分の中にもあるし、私の中では、この「もやもや」は結構、後々まで引きずる「もやもや」のような気がしています。ネットのこれからというのは、社会のこれからのアナロジーとして考えられると思います。これから、このブログで書くことや、仕事などを含めた、ひとつひとつの行動で少しずつ示していく、ということなんだろうな、と思っています。

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» [雑話] 梅田望夫氏インタビュー記事に思う [三人寄れば文殊の知恵]
 月曜日、火曜日と連載されたITmediaの梅田望夫氏へのインタビュー記事について、各所で話題になっているようですが、とりあえずこの記事を読んでみての私の感想を書いておきたいと思います。 日本のWebは「残念」 梅田望夫さんに聞く(前編) (1/3) - ITmedia News via kwout Web、はてな、将棋への思い 梅田望夫さんに聞く(後編) (1/3) - ITmedia News via kwout  そもそも、梅田さんに対する世間の認識と言うのは「ウェブ進化論」の著者で、シリコン... [続きを読む]

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