NHK 戦争証言アーカイブス トライアルサイト
少しずつ「NHK 戦争証言アーカイブス トライアルサイト」に収められた映像を見ています。これだけまとめてたくさんの戦争証言映像を続けて見るのははじめてです。このサイトには、8月13日から10月15日までの限定公開で、約100人の証言、太平洋戦争をテーマに取り上げた2つのシリーズ番組、国策番組である「日本ニュース」、玉音放送を含めた戦時録音資料などが集められています。より充実したサイトにするためのベータ版的なものだそうです。
私は42歳ですが、私の親にしても戦時中は子供でした。父が72歳で母が69歳。社会では高齢者。にもかかわらず、その世代でさえ、もう生々しい戦争の記憶を持っていない世代なんですよね。私の母は、こんな話をしていました。
「空襲警報が鳴って、外に出ると街の遠くのほうが真っ赤になってて、おかあちゃん、きれいやなあって言ったらすごいおこられてん。子供やったからな、花火をやってると思ってしまたんやねえ。」
私の母は大阪市の南で育って、その地域は空襲を免れています。悲惨な戦争でも、少し場所が違うとそんな日常があったということです。
父は広島の尾道からフェリーで10分ほどの小さな島出身です。広島に落ちた原子爆弾のことを報道で知ったと言っていました。けれども、当時は「とんでもない空襲があったそうだ」という感じだったそうです。その惨状が明らかになるのは、終戦後です。同じ広島県内でもそんな感じだったんだそうです。
なんとなく思うのは、どんなに悲惨な戦争にも日常はある、ということです。場所が少し違ったり、世代が少し違うだけで、その日常はずいぶん違います。もしまた戦争が起こったら、きっとその日常に慣れます。慣れてしまいます。
この「NHK 戦争証言アーカイブス トライアルサイト」の「ご覧になる前に」にある文章を引用します。
日中戦争・太平洋戦争の終結から64年、戦争の時代を生きた方の多くが80歳を越えるようになりました。NHKの「戦争証言プロジェクト」ではこうした戦争体験者の証言を取材し「証言記録 兵士たちの戦争」「市民たちの戦争」などの番組を制作してきました。今回、このプロジェクトの新しい取り組みとして「戦争証言アーカイブス」を開設します。これは、収集した証言を、未放送の部分も含めて、インターネットを通じて誰もがいつでも視聴できるようにするものです。その第1段階として今年の8月から2か月間、約100人の証言を収めた「トライアルサイト」をオープンしました。このサイトをできるだけ多くの方にご利用いただき、さまざまなご意見、ご要望を生かしながら、より使いやすく充実したアーカイブスに進化させていきたいと思っています。そして太平洋戦争開戦70年にあたる2011年には、空襲や疎開など銃後の体験も含め、1000人の証言を集めたサイトを完成させる予定です。
戦争体験についての証言は、これまでもテレビのドキュメンタリーなどで部分的に紹介されてきましたが、日本人の戦争体験全体を、体系的・総合的に整理し公開するのは初めてのことです。また、証言してくださった方の中には、戦後長く封じ込めてきた記憶や思いを、次世代のためにと、今回初めて語ってくださった方もいらっしゃいます。この「戦争証言アーカイブス」を通じて、戦争体験が「社会の共有財産」となることを願っています。未来に伝えるために。
このNHKのプロジェクト、応援したいと思います。
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コメント
NHKの「証言記録シリーズ」は普段は月一回ずつ放送していて 今までもできるだけ気を付けて見るようにしてました。
現地で経験したことを それぞれの立場で語ってくれたことは 本当に貴重なことだと思います。
先週だったかな?旧海軍の上層部の人が戦後 反省会を開いていた音声テープをもとにした番組が(3夜連続)ありました。
戦争・軍・組織というものをいろいろ考えさせられる番組だったように思います。
以前、東京でヒガシマルのうどんスープのもとが買えないと愚痴ったのですが、先日100円ショップダイソーで発見しました。一箱に4袋入ってます。
あー、おいしかったです。
投稿: うずまき | 2009年8月15日 (土) 21:03
>戦争・軍・組織というもの
これは例えば「不況・会社・チーム」とか、いろいろ変換できると思うんですね。だから、戦争を考えることはいつも大切なのだと思います。もちろん、いかにして戦争をなくすかを考えるために、ということが第一ですが。
>先日100円ショップダイソーで発見しました。
ほほー、気付きませんでした。こんど見てみます。
投稿: mb101bold | 2009年8月15日 (土) 22:14
私も元海軍将校の人たちの反省会を少し見ました。なぜ今までずっと積極的に戦争について語る当事者の方々があまりいなかったのかがよくわかります。普通の人間としての感性をもっていたら、人前で語ることが出来るようなものではありませんでした。日本にはナチはいなかった。スケープゴートがいなかったから、みんなが保身に走ったことを、隠すことができなかった。だから不問に付したということで、そこを責めたのが戦争を知らない子供たちで・・・ということすら、あの歌が流行ったとき小学生だった私には、気づけなかったです。
投稿: ggg123 | 2009年8月19日 (水) 19:06
>なぜ今までずっと積極的に戦争について語る当事者の方々があまりいなかったのかがよくわかります。
政治の言葉ではなく物語の言葉でなく自分の言葉で語れるようになるためには、やはり時間がいるんでしょうね。
投稿: mb101bold | 2009年8月20日 (木) 13:31