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2009年8月 7日 (金)

Perfumeのインタビューが読みたくて買った「ROCKIN'ON JAPAN」だけど、Perfumeのインタビュー以外はあまり興味がないんだよなあ、もったいないよなあ、というありがちな気持ちを起点にして、メディアについてあれこれ考えてみました。

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 少し前に、Perfumeのインタビューがネットで話題になったことがありましたよね。あ〜ちゃんが苦悩しているとかなんとかかんとか。ブログで引用されていたPerfumeのインタビュー記事が興味深くて「ROCKIN'ON JAPAN」7月号を本屋さんで買いました。その号はRIP SLYMEの特集号で、特にPerfumeの特集号というわけでもなく、そもそも私は日本のロックシーンはあまり詳しくなく、わずか10ページほどのPerfumeの記事以外は、私はどうにもこうにも興味を持てなかったわけです。

 そもそも「ROCKIN'ON JAPAN」という雑誌は、日本のロックに興味がある人を対象としている雑誌で、その雑誌が持っている購読層の関心領域にPerfumeがあって、だからこそ、このインタビューが掲載されたわけだから、「ROCKIN'ON JAPAN」が想定する読者層から外れる私がそのような気持ちを抱くのは当たり前なわけです。

 また、こうした特集を組むことで、雑誌はこれまでの読者層を拡大していって、新しい読者を獲得していきます。私はPerfumeのインタビューを読みたくて買った「ROCKIN'ON JAPAN」ではありますが、その後、この雑誌を通して日本のロックに興味が出たということもなく日々を過ごしていますが、Perfumeファンの若い人は、この雑誌を読むことで日本のロックに興味を持ちはじめるかもしれませんし、そうなれば、その人は「ROCKIN'ON JAPAN」の新しい読者になってくれるかもしれません。

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 ここで、このあたりの話を「メディア」を軸に整理してみます。

 まずはじめに、日本のロックを広く追いかけていて、日本のロックファンの多くに支持されている「ROCKIN'ON JAPAN」という雑誌があります。その雑誌が、アイドルだけれどコアなファンにも支持される音楽性を打ち出したPerfumeというグループを、コアなロック雑誌の視点でインタビュー記事にしました。だからこそ、その記事は広く知られ、かつ、その記事の視点の独自性からブログで取り上げられ、話題になりました。そして、コアなロックファンでもない私が興味を持ち、その記事を読みたいがために「ROCKIN'ON JAPAN」を購入しました。

 このプロセスを、今度は興味を持った「私」を起点に考えてみます。

 もとの記事がただのインタビューではなく独特な視点を持ってるインタビューだったから、ブログに取り上げられて話題になりました。話題になって、コアなロックファンではないけれどPerfumeに興味を持っている私が目にすることになりました。数多く世の中にある普通のPerfumeのインタビューであれば、私は本屋さんでなじみのない「ROCKIN'ON JAPAN」を購入するまでの興味を持たなかったわけです。つまり、私の興味は、じつは私の気持ちとは関係なく、構造的にはじめから音楽専門雑誌「ROCKIN'ON JAPAN」というメディアに紐づいているわけです。

 私は「ROCKIN'ON JAPAN」を購入してインタビューを読んで、面白いなあという感想を持った後、「でも、この雑誌、私にとっては、他に読むところがないなあ、なんかもったいないよなあ、でも興味ないしなあ。この記事だけ買えればリーズナブルでいいのになあ」なんてことを思いました。まあ、たかだか数百円なのでいいと言えばいいのですが、今、インターネットを支えているメンタリティは、こうしたメンタリティだとも言えます。

 そうしたメンタリティに応えるかのように、音楽CDは曲ごとにダウンロード購入することが可能になり、多くのネットメディアでは、パーマネントリンクとSBMサービスを含めたニュースサイトにより、興味のある記事をピンポイントで無駄なく読むことができます。ロングテール理論を軸にして、コンテンツを際限なく微分化していくこのシステムは、読み手、つまり消費者の要求に忠実なシステムではあります。しかしながら、そのシステムは、コンテンツの成立要件、またはコンテンツの下部構造を構成する「メディア」というものの言い分をまったく組み込んでいないシステムでもあります。

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 あのちょっとだけスキャンダルをつくってやろうという意図が隠れする、だからこそ、他にはない独自の視点があり面白いPerfumeのインタビュー記事は、メディアとコンテンツの関係で言えば、やはり「ROCKIN'ON JAPAN」という日本の多くのロックファンに支えられたメディアと不可分だと言えます。言うなれば、私が「他に読むところがないよなあ」とぼやいた部分こそが、あの記事の「質」を成り立たせている肉体であるとも言えるし、簡単に言えば、私視点の言い方ですが「無用の用」として、なくてはならないものであるとも言えるでしょう。

 きっと、「ROCKIN'ON JAPAN」というメディアなくして、あのインタビュー記事の「質」は実現できないのだろと思います。同じように、今、かろうじて残るアルバムというメディアなくして、アルバムの構成曲のひとつである曲が持つ、シングルカット曲にはない独特の「質」というのも実現できなくなります。

 そんなもの、雑誌とかアルバムとかなくてもつくればいいじゃないですか、という意見もあるかもしれませんが、それはきっとつくれないです。マクルーハンは「メディアはメッセージである」と言いました。それは、メディアはコンテンツをのせる器であるとともに、メディアこそがコンテンツを生み出す肉体そのものなんだ、ということなのだろうと思います。これは、ここでは論じていないけれど、マネタイズ関連の話も含みます。

 メディアはコンテンツを生み出す肉体です。それは絶対にそう。なぜ私が長い文章を書くのか。それは、私が長い文章を書くのが好きだから。それは、半分正解だけど、まだ半分別の答えがあります。それは、このブログが長いのを書けと言っているからです。メディア視点で考える。いま、コンテンツを考える上で一番大事なことなのではないか、と思います。

 

■関連エントリ(かつて、日本の広告代理店がやってきたのはこういうことだと思うんですよね。)
 ・広告代理店って、何を代理しているのだろう。(1)
 ・広告代理店って、何を代理しているのだろう。(2)
 ・広告代理店って、何を代理しているのだろう。(3)

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コメント

マイドです。
管理人さんってやっぱりまだperfumeファンなんですね!
以前ようつべのperfume自作CMのリンクを貼らせてもらいましたw
⊿ツアーが7日に始まって、ずっと先ですが横浜アリーナの時には僕も参戦したいと思っています!

ところで、僕は雑誌は立ち読みで済ましてしまいがちです。
Perfumeの特集ページが多かったり表紙を飾る号は一回買いましたけど。

それでも夏ピアとか、ザテレビジョンとかはパラパラ見ても、結構高いからお金払ってまで欲しくないなって思っちゃうんです。
それでもフリペは読むのかと聞かれればこれもあんまり手にしない。紙媒体の分野も感覚つかんでおかないとなーって実感します。

投稿: jim | 2009年8月 8日 (土) 00:07

どもです。
ええ、ますますPerfumeファンです。横浜アリーナみたいなでかい箱でやるなんてすごいですよね。
私ももちろん立ち読みもしますよ。でも、「ROCKIN'ON JAPAN」だけは買いたいと思ったんですよね。なんか視点が違う気がして。

投稿: mb101bold | 2009年8月 8日 (土) 00:16

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