レンタル日記とブログ
ブログができる前は、レンタル日記というサービスがありましたよね。というか今もありますね。「エンピツ」とか「さるさる日記」とか。
テキストサイト全盛の頃、「htmlとか書けなくても大丈夫。レンタルで気軽に日記を公開。」みたいなコンセプトで、知り合いにも使っている人がちらほらいました。おもしろいから使ってみたら、と誘われたりもしましたが、どうも日記というのがいまいち私にはピンと来ませんでした。今まで日記なんか夏休みの宿題でしか書いたことがないし、みたいな感じです。
そんな私が、もはやブロガーといっても何の違和感もないくらいな感じでブログを書いているのは不思議な気がします。Movable Typeが標榜していた「Personal Publishing System(現在はSocial Publishing Platform)」のPersonal Publishingの部分に、なんとなく、これいいかも、と思った覚えがあります。「個人でも出版と同じようなことができますよ。」というコンセプトが私にはあっていたような気がします。
これは人それぞれなんでしょうね。
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日記コンセプトの方が、コンセプトとしては敷居が低く、多くのユーザーをつかめそうな気もしますが、でも時間が経って機能が高度化していくと、やがてコンセプトが製品の実体を支えきれなくなります。製品がコンセプトをどんどん裏切っていくんですよね。こういうのは仕事でもよくあります。けっこう悩みます。ロンチ時の広がりと瞬間風速をとるか、その後の製品とか市場の成長を見据えて、あえて高め(あるいは無理め)のコンセプトを設定するか。
日記コンセプトは、きっとSNSに移行したのだろうな、と思います。日記コンセプトの機能のベクトルとしては、レイアウトとかデザインとかではなく、感性を共有する読者とどうつながるか、というベクトルでしょうから、mixiなんかの「マイミク」とか「足あと」とかの機能を見ると、「エンピツ」とか「さるさる日記」の日記コンセプトを引き継いだのはSNSだな、と感じます。
そもそも、「エンピツ」とか「さるさる日記」って、目立っているサイトは、はじめから創作性が高かったですし、先鋭的なユーザーさんは、過渡期として出版コンセプト的に使っていた部分もあるのでしょうね。
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はてな村という言葉がありますよね。
「はてなキーワード」によると、「そこに行けばどんな夢もかなうと云われている割に、犬が支配している村。誰も皆行きたがるが、具体的にどこにあるのか、あるいはどこからどこまでがその村なのか、見解がまったく一致しない蜃気楼の村。」とありますが、まあ、ほんとにあるのかどうかはわかりませんが、はてなのユーザーさんを集合的に見たときに感じる独特の雰囲気というのは、じつはそのへんにも理由があるのかな、なんて考えたりもします。
はてなのブログサービスは「はてなダイアリー」ですものね。つまり、実態はともかく、ネーミングが思いっきり日記コンセプトを標榜しています。そのあたりは、ブログブームみたいなものがでてきたときに、きっと葛藤はあったのでしょうけど、それでも「ダイアリー」というネーミングを残したことで生まれたものは、やっぱりあるのだろうと思います。
ブログからコメント・トラックバック機能を除くと、機能的にはほぼレンタル日記と一緒ではあるのですが、でも、やっぱりそれでもブログはブログですよね。なぜそう感じるかというと、やっぱりコンセプトが影響しているからでしょうね。明示されていなくても、製品のどこかしらにコンセプトは染み込んでいて、そのコンセプトがそう感じさせるのでしょうね。わかりやすい部分では、それはデザインに表れるのでしょうが、もっと広くいろんなところになんとなく感じるという具合にコンセプトは表れてしまいます。
コンセプト設定いうかコミュニケーション設計っていうのは、消費者に明示的に示されるものではないけれど、けっこう大事だったりします。なにせ根っこの部分ですから。
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ほんとは、このエントリは、「本日は晴天なり」というタイトルで、今日は天気がよかったので、掃除をしたり洗濯をしたり、いろいろはかどったなあ、よかったなあ、「王将」で天津飯と餃子を食べようと思ったら、ブームの影響か、ものすごい行列ができていて、やむなく「福しん」にしたけど、「福しん」の餃子もあっさりしてていいよなあ、みたいな日記っぽいことを書こうと思ったんですが、こんなことになってしまいました。やっぱり私には日記的なものはちょっとしんどいのかもなあ。
まあ、今日はなかなか充実した1日でした、ということで。ではでは。
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