ケータイの請求書
ケータイといっても私はウィルコムなんですが、クレジットカードの請求書にあるウィルコムの項目を見ると、いつもの半分くらいになっていて、あっ、そうか、CMプロデューサーのKさんがもういないからなんだな、と気づいた。
昨年の秋頃にKさんの肺にがんが見つかって、抗がん剤治療が終わって、一度は復帰して仕事も一緒にしたし、再発したと聞いたとき、次も同じだろうな、とこちらは気軽に構えてて、でも、この前、Kさんと一緒に仕事をした人たちと集って話したとき、Kさんはその時点で死を覚悟していたということらしかった。らしかった、というのは、Kさんの上司である人が、今から思えばそう思えるな、と言っていたということだけど。
まあ、ずっと入院されていたから、ずいぶん前から安い通話料金しか払っていなかった感じだったんだけど、Kさんがまだ生きているというだけで、なんか電話とかしょっちゅうしている気になっていたし、請求書だって、中身を見ずに捨てるだけだし、そんな感傷にひたる間もなく、時間は容赦なく進んでいく。
このところの広告不況。Kさんの弟子みたいな若い子は、その会社には残れなくなったと聞いた。世知辛いね。Kさんに託していた私の全CM作品のマザーをその子に託した。別に託したからといって、これから彼に仕事を引き継いでもらうということでもないし、私にしても、いろいろ変化もあるし、それに仕事というのは、Kさんと私の関係だけでやっているものではなく、かかわったみんなの力があってのものだと思うし、その体制を支えているものは、その会社の信用だったり力量だったりするのだし、いくらKさんであっても、フリーという立場ではCMというものはつくれないだろうし。
だから、仕事の上では、Kさんイコールその会社ということだし、それがプロというものだと思うし、その子にマザーを託すのは気持ちの問題に過ぎないのだけれど。
と同時に、この機会にタバコをやめようかな、健康診断に行かなくちゃな、なんて思っている自分もいるわけで、それよりさしあたっては、大阪の病院にいる母のもろもろのことが頭にいつもあるし、母のことにしても、危機を脱したら脱したでいろいろあるわけで、そんなこんなにあたふたしながらも、笑ってやっていきたいよな、愉快に生きたいよな、なんて思うし、夕飯に食った安物のステーキが胸につかえる感覚が、きっと生きるということのリアルなんだろうとも思う。
テレビのニュースを見ると、阪神がめずらしく巨人に勝っていた。でも、15ゲーム差もある今シーズンは駄目だろうし、もう来年のことを考えているのが、ああ、それって典型的な阪神ファンの心理だよなあ、と。さあて、明日から、いろいろあるなあ、どうするかなあ、うまく運ぶといいなあ。
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