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2009年8月 3日 (月)

コンセプト、プロポジション、テーマ

 「コンセプトって、どういう意味なんですか。説明してください。」

 私は今まで納得できる明快な答えや説明を聞いたことがありません。ネットを見てみると、ウィキペディアでは「概念」という項目に飛ばされて、かなり難解な説明になっていますし、広告業界をはじめとするいろんな業界で当たり前のように使われる言葉のわりには分かりにくい言葉だなあ、と思います。

 そんな中、わりとまとまっている説明があるサイトが、三省堂の「三省堂ワード・ワイズ・ウェブ」の10分でわかる「コンセプト」の意味と使い方というページ。よく出来ているページなので、そちらをお読みいただくとして、こちらは別の話を。

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 上記リンク先では、こんな用例と解説が出ています。引用します。

例えば「今度開店するレストランのコンセプトは“近未来”でいこう」と言った場合、レストランの店名・内外装・メニュー・広告などに、近未来的な演出を施そうという意味になります。

 これが、我々が通常使っているコンセプトの意味に近いでしょうね。「なんかこう、オシャレで最先端な感じでさあ」というのもコンセプトなんだろうな、と思います。もともと産業としての広告のはじまりは、ロートレックの例を見るまでもなくポスター屋さんだったりするだろうし、そのポスターは画家が内職的に描いていたのだろうから、このコンセプトという考え方は広告になじんだんでしょうね。

 絵画に近いものとしては、例えば建築とか。上の例も建築だし、プランナー時代に大手設計会社の建築コンペにかかわったことがありましたが、そのときも、どこで勝負するかというと、やっぱりコンセプトでした。いかに勝てるコンセプトをつくるかに躍起になっていました。

 私は、このコンセプトという考え方が広告に適用されたのは、建築の影響なのではないかと思っています。都会派のAに対して、庶民派のB。そんなふうに競っていた時代。このコンセプトという考え方は、長い間、広告の主流の考え方でした。で、そのコンセプトのアンチテーゼとして出て来たのが、プロポジションという考え方です。

 その総本山である会社に私はかつていましたが、そこではコンセプト的思考が古いものとして扱われていました。時代はプロポジションだよ、と。プロポジションというのは、日本語にあえて訳すと「主張」です。つまり、メッセージ。このあたりから、広告は、絵から言葉に変わってきた、とも言えるかもしれません。

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 タレント広告で、タレントさんの起用を考えるとき、どうしてもコンセプトで考えるようになります。都会的な誰それ、王道の誰それ、というように。一方、プロポジションでは、タレント起用については考えにくかったように思います。主張ですから、そこまでストレートに商品やブランドの主張を代弁するには、タレントというのは絶対的に役不足になります。

 私はわりと広告を下部構造から考えるのが好きな人間なので、広告をつくるときは、こうした「考え方」から入ります。プロポジション派の広告会社にいたからというわけではないですが、意識的にプロポジションで考えて広告をつくっていたときは、言葉だけの広告をつくっていたことが多かったように思います。絵があったとしても、例えばコロナビールだと、3つの広告をつくりましたが、じつはどの広告も、プロポジションは「ライムがないときはコロナは飲んではいけない」というもの。つまり、どの広告も同じ主張。

 で、コンセプトとプロポジション。

 どちらも得手不得手があるんじゃないかな、と思います。それと、どちらも大切。やってみて思うのは、なんだかんだやってみても、結局はどちらが際立っているかの程度問題で、コンセプトでつくっていても陰にかくれてプロポジションがあるし、逆も同様。あまりひとつの方法論に固執すると硬直化するのはなんでも同じ。でも、こういう考え方は知っとくほうが得ですけどね。

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 それと、最近思うのは、キラーメディアというのがなくなってきて、メディアとか生活シーンが多様化され、複雑になり、もっともっと立体的なコミュニケーション設計が必要になってきた今、もっと上位に位置するしっかりしたものが必要になってきているのかな、なんて思います。それを、私は「テーマ」という言葉で勝手に呼んでいます。

 大胆なことを言えば、「テーマ」がぶれなければ、コンセプト、プロポジションは場に合わせて最適化してもいいんじゃないか。もっと柔軟になっていいんじゃないか。でも「テーマ」だけはぶれてはいけない。もちろん、これは極論ですが、案外、そういう考え方は広告とかプロモーションでは現実に近い考え方なのではないか、と。ま、今のところ仮説ですけど。

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コメント

mb101boldさん、こんにちは。
> このあたりから、広告は、絵から言葉に変わってきた
 なるほど。面白いですねー
 で。「テーマ(主題)」といえば対義語は「バリエーション(変奏)」。これは音楽のコトバですねえ。(そんだけw)

投稿: tom-kuri | 2009年8月 3日 (月) 14:44

音楽かぁ。

投稿: mb101bold | 2009年8月 3日 (月) 21:29

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