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2009年9月14日 (月)

イチローさんのような広告プランニングが求められているのかもしれない

 マリナーズのイチローさんが、米大リーグ史上初の9年連続200安打まであと「2」とのことで、テレビのスポーツニュースでもイチローさんの特集が目立っていました。インタビューで、イチローさんは、サードとレフトの間に落ちる凡フライのラッキーヒットに対してこんなことを言っていました。

「狙ってやっているんですよ。解説の人は、それをラッキーでしたね、というかもしれませんが。」

 で、このあと、狙ったところに打てることを実証するビデオが流れて、なるほど、それは本当だろうな、イチローさんは狙ってやってるんだろうな、とテレビを見ながら思いました。

 イチローさんは大スターですが、ホームランバッターではありません。私は野球はあまり詳しくはないけれど、子供の頃の記憶で言えば、王さんや田淵さんのような華のあるバッターではなくて、本来は、コツコツとヒットを重ねるタイプの地味な選手ですよね。そんな彼が球界を代表するスター選手であることは、今の時代を象徴しているような気がします。

 私の専門は広告ですから、広告の話になりますが、今求められる広告プランニングは、イチローさんのようなものではないかな、と思います。凡打に見えようと、狙ったところに打って確実にヒットにする、というような。逆転満塁ホームランのような華はないけれど、コンスタントにブランドを成長させられる継続性、持続性のある広告プランニングこそ求められているような気がします。

 私が経験してきた広告プランニングの実務を見ても、こういうイチローさん的なスキルが必要であるケースが多かったように思います。テレビCM、新聞広告、交通広告など、マスメディアを中心に、割合シンプルにメディアを組み合わせられた時代は、ホームランが求められました。というより、毎回打てればホームランを打つほうがよかったように思います。

 けれども、メディアが多様化して複雑になり、低成長の経済状況下で、ブランドを短期視点だけでなく長期視点で考えないといけなくなってきた今、逆に、今、このタイミングでホームランはいらないというケースが増えてきました。また、フェーズによっては凡打に見えるけれど、確実にヒットにはなっているというような、地味なコミュニケーションの積み重ねが優先されるケースもあります。自分の経験で言えば、そのことに神経を注いで来たような気がします。それは、意識して、というよりも、実務の必要から意識させられたという感じです。

 コミュニケーションデザインという新潮流で学ぶべきところがあるとすれば、私は、広告コミュニケーションを時間軸で見るという部分であると思っています。こういうことを言うと、おまえわかってないよ、と言われそうですが、じつは、本音で言えば、生活者のコンタクトポイントで広告が生活者を追いかけていくような、平面的な軸でのコミュニケーションデザインはあまり意味がないと思っています。というか、それは、わりあい前提としてある戦術レベルの話かな、と思っています。

 時間軸で見れば、広告をやらなくていいフェイズ、あるいはやってはいけないフェイズというものもあり、逆に、ここは何がなんでもやらなくちゃいけないフェイズもあります。この見極めは、長期的に見たブランドの成長と、生活者の意識から導き出されるものなのでしょう。で、その生活者というのは、結局は自分だったりするんですよね。

 ホームラン、ヒットエンドラン、ポテンヒット、バンド、フォアボール。そうした、様々なものをフラットに見られる地平にこそ、これからの広告プランナーが立つべき場所なんだろうな、と思います。そのためには、イチローさんのように日々のトレーニングによって、基礎体力を養うしかないのだろうな、と。

 で、私?

 基礎体力のなさを痛感しています。なんかそういうことに気付いてからは、自分はわからないことだらけだなあ、なんて思っている次第です。いろんなことを勉強しなきゃなあ。まあ、あきらめずに、コツコツとがんばるしかないですな。ではでは。

 追記:

 記録達成しましたね。素晴らしいですねえ。

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コメント

1年ほど前からずっと読ませていただいています。初めてコメントさせていただきます。

いつもなるほどなぁと思いながら読ませていただいているのですが、
飲食店という小さい(零細?)規模の会社で広報広告を担当している自分にとっても応用できる内容だなと感じています。

大きな費用をかけて広告をうつことのできない店ではありますが、小さなヒットを積み重ねていくことで店の評判を上げるようなことはできるんだろうなというインスピレーションをいただきました。

以前、広告会社にいたこともあったのですが、そのときに「大きなホームランなんて打てないよな、こんな時間の流れの速い時代じゃ」なんてやさぐれていたのですが、だからこそ小さなヒットも大事だし、だからこそ小さなヒットが必要なんだと思わされました。

長文書きましたが、なんだか広告人さんのブログでお店の広報としてやる気が出ました。
ありがとうございました。

投稿: やんぴーす | 2009年9月14日 (月) 12:33

いいえ、こちらこそありがとうございます。

>小さなヒットを積み重ねていくことで店の評判を上げるようなことはできるんだろうな

そうですよね。ほんと、小さなヒット(これがまた難しいのですが)を積み重ねることから生まれるものは、時間をかけたぶんだけ確実なものになるわけですから。

今後ともよろしくお願いします。

投稿: mb101bold | 2009年9月14日 (月) 22:30

オリックス時代の話しです。試合前のバッティング練習のとき、イチローは、ほとんどスタンドに入るホームラン性の打球を打っていました。明らかに他の打者と違いましたよ。今でもホームランを狙いにいくと、たぶん30本くらいは打てるのだと思います。でもファンとしてはホームランを打ってもあまり面白くない。走塁の楽しみが無くなるから。球場に行くと良く分かるのですが、イチローは、守っているときも楽しい、「何かが起こりそうで」。そんな選手は他にいませんよね。

ただ誰もがイチローになれるわけでもないし、それでは「つまらない」とも思います。

投稿: オスギ | 2009年9月15日 (火) 23:00

>イチローは、守っているときも楽しい、「何かが起こりそうで」。

確かに確かに。

投稿: mb101bold | 2009年9月16日 (水) 08:47

以前から読ませていただいてます。

現在大学3年で、就職活動(広告希望)を初めてたので、広告に関する記事を見直していたところ、イチローさんについての記事があったのでコメントしました。

今年の夏に、マリナーズでインターンシップをしていたので、イチローさんには特に親しみを持っています。

コツコツと積み重ねること、狙ったところへのピンポイントなバッティング、野球じゃなくても参考になる部分が多々あると思います。

投稿: fummy | 2009年11月23日 (月) 01:55

>狙ったところへのピンポイントなバッティング

というのが大事なのは、きっと次につなげることが大事だからなんでしょうね。今だけではなく、今をきっかけにした未来まで考えることが大切な気がします。
それはこの年になってもほんと思いますね。お互いがんばりましょう。

投稿: mb101bold | 2009年11月23日 (月) 02:11

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