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2009年11月30日 (月)

バスに乗る

 住んでいる場所にもよるとは思うけれど、私の場合は、心に余裕がない時がしばらく続くと、ああ、最近はバスに乗っていないな、って思います。

 私の住まいは駅から歩いて10分ほどのところにあって、普段は駅まで歩いて電車に乗って移動します。仕事でいろんなところに行く時でも、バスを使うことはまずないです。たいがいは地下鉄かJR。たまにあっても私鉄くらいのものです。それに、バスで行くと便利な場所であっても、そういうところはたいがいタクシーを利用します。

 日曜日、ちょっと用事があり中野区のはずれまで。行きは徒歩で30分ほどかけて行きました。私は極度の方向音痴なので、少し迷ったりしながら、なんとかたどり着きました。それはそれで楽しかったのですが、少し疲れてしまって、用事を済ませると、なんとなくバスを使ってみようかという気になりました。

 ほんとは中野に帰りたかったんですが、バスが高円寺北口行きしかなかったので、まあいいか、高円寺で古本でも見るか、なんてことで、5分ほど停留所で待って、バスに乗車。

 東京の都バスって、先払いなんですよね。210円。Suica(というか、この場合はPASMOと言うべきか)が使えます。大阪の市バスは後払いなので、ちょっと勝手が違ってとまどってしまいました。大阪ではPiTaPaですね。そう言えば、「全国IC乗車カードあれこれ」というエントリを書いたなあ、コメントをいただいたのに追記してないなあ、追記しなきゃなあ、なんて思いながら、いちばん後ろの窓際の席に。

 お客さんは、8割方の席が埋まるくらい。日曜日なので、お母さんと子供、ご老人の方が多かったです。みんな、買い物に行くのかなあ。それとも、それぞれの用事があるのでしょうか。大阪に帰っているときは、入院している母の面会のためにバスに乗ることが多いですが、そのときは親父と二人。平日にじいさんとおっさんの二人で何の用事だろ、なんて見え方をしているんでしょうね。

 車窓から眺める中野の街は、いつもと少し違って見えますね。目的を持って、駅までひたすら歩くときには見えない風景がそこにありました。ま、なんていうこともない風景ではあるのですが、余裕のないときには見逃しがちな生活の姿が車窓から見えたんですよね。いろんな人が住んでいるなあ、なんて。で、ぼけーっと外を見ている私もそのひとり。それが、ちょっと心地よかったりしました。

 高円寺の駅に近づくにつれて、街の空気が少しずつ変わってきて、ほんの少しですが、華やぎがあるというか。これから居酒屋で飲むんだろうなというような若者やら、お買い物をするんだろうなというようなお母さんやら、パチンコでひと勝負のおじさんやら、そんな人たちがつくる空気です。

 ずいぶん前のことですが、某航空会社がヨーロッパで運行している観光バスの広告コピーで「ヨーロッパはバスがいい。」というものを書いたことがあります。小さな雑誌広告の仕事ですが、商品担当の人から「いいですねえ。ほんと、バスじゃなきゃわからないヨーロッパがあるんですよ。」なんてすごくほめられて、それが若かった私には、とてもうれしかった仕事でした。あれから、もう20年近く経つんだよなあ。

 高円寺に着いたときには夕暮れでした。大学生の頃にもよく通っていたニューバーグで500円のチーズバーグを食べて、古本屋さんに寄って何も買わずに、総武線の黄色い電車で中野に。なんか小学生の作文みたいな感じになってしまいました。明日は30日ですが、11月最後の日です。西向く侍の侍ですから。で、このエントリで700回目。ということで、今後ともよろしくです。ではでは。

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コメント

はじめまして(一応)

このブログを見つけたのは、まったく偶然でした。

世の中には面白いことを書く人がいるもんだなあ。と感心しつつ読ませていただきました。

いったいどんな人物が書いているんだろうとプロフィールを見て、さらにびっくり!

あれっ!どうやら知っている人らしいぞ。

10年ほど前でしょうか、一緒に仕事したこともあったかもしれません。飲みにはよく行きましたが、2人きりで行ったことはなかったような気がします。僕の中では、とても強く印象が残っている人だったのですが、不思議なことに飲み屋でどんな話をしたのか、良く覚えていないのです。

何はともあれ
ご活躍されているようで何よりです。
これからちょくちょく見に来ます。

どうぞよろしく


投稿: ザ・グレート・ゼブラ | 2009年11月30日 (月) 08:13

それはそれは。どなたかはわかりませんが、お久しぶりです。今後ともよろしくです。

投稿: mb101bold | 2009年11月30日 (月) 09:16

ヨーロッパの街でバスに乗れるようになると、視野がぐっと開けた気がしました。東京でも、ときどきバスを使います。かつて都電が走っていた路線などは、やはりどこか名残が感じられます。

学生時代に(今も)好きだったミュージシャンがプロモーションビデオで、後部展望席付のパリ市バスに乗っていて、わざわざそのバスを探し出して乗ったことがあります。
外気に触れてこれまた違った雰囲気でした。
後部展望台にいるのは、通学の小学生か幼稚園児ばかりでしたが。


ちなみに、私も就職してすぐの頃、高円寺に住んでいました。中野と高円寺でなんとなく雰囲気が変わる辺り、今でも好きです。

学生時代に京都にいた私としては、「自転車に乗らないとわからないこともある」とちょっとマネしてみました。
ちょっとした坂道は、歩くより自転車の方がよくわかります。

とても軽やかなエッセイありがとうございました。今後とも楽しませていただきます。

投稿: mistral | 2009年11月30日 (月) 12:15

バスはいい!

神戸からこっちに越してきて半年後くらいに
六本木から渋谷までバスに乗ったんですが、
俯瞰とは違うんですけど、あのちょっと「引き」で街を見れるかんじがものすごくおもしろかったんです。どんどん景色も変わるし。
少しは東京が好きになれるかな、とぼんやり思ったことを覚えています。

あのスピード感も自分には合ってて、
あえて乗ることもあります。


ちなみにPiTaPaですね。
つい校正しちゃう。

投稿: yunbo | 2009年11月30日 (月) 19:45

>mistralさん

自転車で坂道は良さそうですね。ここ数年、私は自転車に乗っていないですが、下り坂の風感じる感覚とか、久しぶりに味わいたいなあ、と思いました。

>yunboさん

少しは東京が好きになれるかな、という感じはよくわかります。なんか子供時代を経ていない街は、うまく街感をつかめないんですよね。バスはその点、すごくいいかもしれません。
PiTaPaでしたね。ピタッとPiTaPaでした。失礼しました。

投稿: mb101bold | 2009年11月30日 (月) 22:55

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