マルちゃんの涙
プロスポーツは残酷な世界なんだろうと思います。
私は大阪市で育ちました。小学校、中学校は公立に通っていました。市内の公立なので、いわゆるマンモス校です。学区は、大企業の本社工場がある地域で、人口も多く、たくさんの生徒が学校に通っていました。そのたくさんの生徒の中で、群を抜いて運動神経の優れた男の子がいました。圧倒的でした。体格もよく、陸上競技も、ソフトボールも、サッカーも、何でも一番でした。
その彼は、甲子園で何度もの優勝経験を持つ野球部がある高校に進学しました。その高校が甲子園に出場することになって、テレビ中継を観ると、その彼は、3塁側のベンチに座っていました。補欠だったんですね。大都会のマンモス校でいちばんだった彼をしても補欠なんです。高校野球でもそうなのですから、その高校球児から選抜されるプロの選手のレベルというのは、どんなものなのだろう、とテレビを観ながら思ったことを覚えています。
ゴルフの国内男子ツアー最終戦で、マルちゃんこと丸山茂樹さんが優勝しました。石川遼さんが19位で、18歳での史上最年少賞金王を決めたツアーでもありました。マルちゃん、40歳。国内ツアー10年ぶり、日米含めてでは6年ぶりの優勝だそうです。
やはり、プロスポーツの世界はすごいところだな、と思います。18歳で賞金王。かつて世界で大活躍したベテランが、6年ぶりの優勝。
マルちゃん、優勝インタビューで泣いていましたよね。おしゃべりが上手で明るくて、テレビでもよく見かける人ですから、ついつい、いつでも大活躍と思ってしまうんですよね。私はゴルフは詳しくないですし、いつもマルちゃんの戦績を意識しているわけでもないですから。アメリカから帰ってきたことさえ、そんなに知らなかったし。
6年なんですよね。あれだけ勝ってきた人が、6年勝てなかった。
自分の6年を考えると、それは長過ぎるくらいの歳月なんですよね。なんて残酷なんだろうと思ってしまいます。優勝できるのは、全国から選ばれた、ほんのわずかのプロの中でも、一握り。かつてその頂点を走っていた人が、ある時から6年勝てなくなっていた、ということなんですよね。もし私がその立場だったら、そんな残酷な事実に耐えられないかもしれないな、と思います。
プロスポーツに生きるということは、他の分野よりも何倍も何十倍も年齢というものを意識するということでもあるのでしょう。若い時のようにパワーで勝てることも少なくなってくるでしょうし。勝ち方を変えなくてはいけなくなりますし、そのことだけでも、相当な精神的なきつさはあるのだろうと思います。
「今回勝ったからって、賞金王(を目指す)とはまだ言えないが、高いところに目標は持って行きたい。来年は若手に“丸山さんが来た、イヤだな〜”と思われるいやらしいゴルフをしていきたいね」
最終戦で存在感を見せつけた!丸山茂樹10年ぶり10度目の勝利! - asahi.com
とってもマルちゃんらしいコメントですよね。そうそう。18歳には18歳、40歳には40歳の戦い方があるということですよね。元気が出ました。若い人は、石川さんの賞金王に共感した人が多いでしょうけど、42歳の私は、だんぜんマルちゃんに共感してしまいましたです。マルちゃん、6年ぶりの優勝おめでとう。めげずに、前向きに、がんばっていかなくちゃだなあ。ではでは。
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コメント
ゴルフテレビ観戦はたまーになんですが、昨日は予定が無くて、偶然家でTV見ていました。
アラフォーの私も、遼君の賞金王より、丸ちゃんの涙の優勝インタビューに感涙し、勇気をもらいました。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。挫折と失意の中でも継続することで得られるものがあると教えられました。
投稿: しばはな | 2009年12月 7日 (月) 14:50
6年って、ほんと長いと思うんですよ。テレビの前の私たちはさらっと6年って思いがちなんですけど、自分の6年を考えると、すごく長い。ほんと、マルちゃん、よかったです。私も勇気をもらいました。
投稿: mb101bold | 2009年12月 7日 (月) 23:03