改札の前で若い女性が泣いていました
とあるターミナル駅の改札。人の流れから、ほんの少し離れた場所。きっと恋人同士なんでしょうね。若い男女が人ごみにまぎれて、話し込んでいました。結構な人ごみだったのですが、本人たちは、まわりにたくさんの人がいることがまったく見えていないようでした。
女性が泣いていました。きっと、別れ話か何かをしているのでしょう。
こういうシーン、改札前で何度か見たことがあります。私もそんなことを改札前でしたかどうかは忘れてしまいました。都合の悪いことは忘れるたちですので。
改札を通って、電車に揺られながら、どうして改札前なんだろうな、そう言えば、ドラマでは、港とか公園とかで別れ話をしているのをよく見かけるけど、実際に見かけるのはきまって改札前なんだよなあ、なんてぼんやり考えました。
ひとつの仮説です。
ほんとは別れ話はしたくなかったんでしょうね。楽しい食事をして、いつものように、じゃあまたね、という感じでいこうと思ったんでしょう。でも、今日はなぜかできなくて、立ち止まって。話しているうちに、別れ話になって、どうしようもなくなって。話が長くなるから、喫茶店で話そう、みたいなわけにもいかないし、でも、もともと、じゃあまたね、という気だったので、そこから離れると、ほんとに別れ話になってしまいそうで。
話しがこじれて、もうだめなんじゃないかと思っても、心のどこかで、ハッピーエンドを望んでて、だから、涙がこぼれても、人が見てても、そこからは離れたくない。だって、離れたら、別れ話だってことを認めてしまうことになるから。そんな気持ちなのかも。
あとちょっとしたら桜が咲きますね。
春は、いろいろはじまる季節でもありますが、いろいろはじまるということは、いろいろ終わるということでもあるんですよね。でもいろいろ終わるから、いろいろはじまるわけで、駅の改札で泣いていた女性がどなたかは存じませんが、あなたにとって、もうすぐ来る春が、いいはじまりになるといいなあ、なんて思いました。
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コメント
素敵な文章ですね。
私も終わることがあって、これから始まりを迎えるタイミングなので、なんだか心に桜を咲かせてもらえたような気分になりました。
Don't worry be happy.
デスネ。
投稿: ちあき | 2010年3月11日 (木) 09:33
いい春になるといいですね。
投稿: mb101bold | 2010年3月11日 (木) 10:08
自分は改札口とは無縁の生活をしてきたので、そういったシチュエーションには恵まれ(?)ませんでしたが、とても素敵な文章で、自分もそんなことあったかな?などと勘違いしそうでした。
別れ話って、する方もされる方もつらいですね。家庭を持って二人の子供に恵まれても、昔のことをふと思い出すときがあって、急に切なくなったりします。
全ての人に幸せを!
投稿: なをみ | 2010年3月11日 (木) 23:19
今日、高知で桜が開花したそうです。もうすぐ春ですね。
投稿: mb101bold | 2010年3月11日 (木) 23:47
人前で泣くことが気になるとか、それどころの心境でなくて、どうしていいか分からなくて、そうなってしまったのでしょうね。多感な方なんでしょう。涙の数だけ、強くなれるよって歌詞ありましたよね。強くなって、幸せになってほしいです。別れと出会いが、人生だったりもしますが、春は特にその季節ですね。
投稿: しばはな | 2010年3月13日 (土) 00:11
この盃を受けてくれ
どうぞなみなみつがしておくれ
花に嵐のたとえもあるぞ
さよならだけが人生だ
出会いがあるからさよならがあって、だからまた新しい出会いがあって。なんとなく、この歌を思い出しました。
投稿: mb101bold | 2010年3月13日 (土) 00:53