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2010年7月 2日 (金)

理由がわかれば、人は動く。

 ことあるごとに思い出す言葉です。ネスレの広告コピー。私が書いたものではなく、とあるコピーライターさんが書いたコピー。誰かは忘れました。でも、広告コピーってそういうものだと思います。作者は忘れられても、言葉が残ればいい。そんなところが広告っぽくて、私は広告が好き。

 いきなり脱線してしまいましたが、このブログを検索すると、2つのエントリで「理由がわかれば、人は動く。」についての言及が見つかりました。もっと多いかなと思ったけれど、この2つ。せっかくなので、自分のエントリの該当部分を引用します。

 私は、あるインスタントコーヒーの広告コピー「理由がわかれば、人は動く。」が好きなのですが、その「理由」は、対象への洞察なしに知り得ないこと。そのCMは、アルピニストの野口さんが子供たちに凍ったバナナを見せながら「いつまでも山に残るんだ。だから、山にものを捨てちゃいけないんだ。」というものでした。山はきれいだ。登山は楽しい。それだけの人には、決してその「理由」は見つけられません。
川瀬さんの言葉」2009年1月29日

このブログにも何度か書いているかもしれませんが、私が好きな広告コピーに「理由がわかれば、人は動く。」というものがあります。
ほんとそう思うんですよね。それは自分に対してもそうで、人というのは多かれ少なかれ理由が分からなければ動くことができないものなんだろうと思います。
で、理由がわかるためには考えるしかないんだろうとも思っていて、もう少し考えてみようと思っています。
よいお年を。
静かに年が暮れていく」コメント欄より 2009年12月23日

 なぜこの言葉が好きなのかというと、自分自身がそうだからなんでしょうね。理由がわからないと動けない。そういう人なのでしょう。あまりほめられたものではないし、理由がなくても動けるほうがしなやかだとは思うんですが、でも、しょうがない。

 逆に言えば、理由さえわかれば、多少無理難題でも、よしやろうか、という気にもなって、そんな自分はとても不思議だな、とも思います。だからこそ、理由はなんだろうかと懸命に探すことにもなって、そのあいだは、それこそ悶々と考え続けるしかなくて、理由がわかるまでのあいだは動けないわけだから、自分に嫌気がさしてきたりもするんですよね。

 動きたいけど動けない。そういう状態がいちばんつらい。

 仕事だって同じで、理由さえわかれば、そこでほぼできたも同然。だって、あとは動けばいいんですから。動くことが仕事という言い方もできるけれど、でも、20年ほど働いてきて思うことは、動けさえすれば大丈夫なんですよね。どんどん前へ進んでいくわけですから。

 本当は、理由を見つけるのが仕事なのかもしれないなあ、と最近思います。自分の領域に関して言えば、なかなか理由を見つけづらくなってきているような気がします。簡単には見つからない。だけど、理由はあるんですね。それなりの理由は。

 できるだけシンプルな理由を見つけたい。それが絶対の理由でなくても、そのシンプルな理由にかけてみる。信じてやってみる。結局、広告なんてものは、つきつめれば、そんな不確定な要素がどこまでいってもついてまわるものだと思います。不確定だからこそ、理由の精度を高めなきゃいけないし、それには、徹底的に考えるということしかないんだろうし、仕事というのは、本質的につらいものだったりするんだろうなあ。

 そのつらさがあるからこその仕事の楽しさだったりもして、つらさの先の楽しさを想定できる人が、仕事を楽しむ人ってことなのかもしれません。仕事を楽しむ人というのは、きっとつらさ自体を、理由が見つけられない自分自身を楽しいと思える人なのでしょう。つらいんだけど、楽しい。そんな自分がおもしろい。ちょっぴり倒錯気味な感覚。

 でね、そのつらさを少なくする方法はあることはあるんですよね。それは、簡単に理由をわかっちゃうこと。でも、簡単にわかっちゃう理由は、理由ではないんですよね。そんな理由では人は動かんよ、みたいな浅い理由になりがちなんです。よっぽどの天才でなければ、簡単には理由はわからない。で、天才と呼ばれる人に、よくそんなに簡単にそんなことがわかりますよね、って聞いてみたら、きっとその人はムッとすると思うんですよね。常人とは違う密度で考えまくっているに違いなんです。

 理由がわかれば、人は動く。

 ほんと、何度も思い出すんですよね。ことあるごとに。理由がわかれば。理由さえわかれば。そんな感じで、悶々とね。もう、これはしょうがないんでしょうね。そういうふうになっているんだから。さあ、もうちょい考えてみますかね。きっと見つかるさ。

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コメント

「理由がわかれば、人は動く。」
心を打たれました。
その通りですね。

あぁボクには自分の考えをコトバにするスキルが足りていません。あぁもどかしい。

投稿: tmtm811tm | 2010年7月 2日 (金) 08:08

理由はあるけど、なかなか言いづらいっていうのもありますしね。世の中、難しいです。

投稿: mb101bold | 2010年7月 2日 (金) 09:58

先日読んだ本では、人は意識する前に(無意識に)行動を決めていて、後付で理由をつけたりすることもある。そういう誤った理由付けをしたり、あるいは理由がわからないとき、人はとても「もやもや」するようです。
人とこじれたとき、こちらもだけど相手が「もやもや」していたときだった、ということもあります。
理由がわかる、というのは、きっと「誤ったこじつけの」ではなくて、ようやく自分の本当のところに届く理由、なんでしょうね。

人はすごくそれを探しているような気がします。だからそれが広告であれなんであれ、「これだ」と言うものには感動するのでしょうね。

投稿: mistral | 2010年7月 2日 (金) 12:21

>「これだ」と言うものには感動するのでしょうね。

そうなんですよね。「これだ」は感動するんです。「これだ」がないところにいくらレトリックを飾っても人は感動しないんです。たぶん、80年代にもてはやされたレトリック的な手法が今まったく駄目なのは、そこに「これだ」が見いだせないからなんじゃないかなあ。あの頃は、お金が余っているというのが消費の理由になっていたんでしょうね。

投稿: mb101bold | 2010年7月 3日 (土) 02:36

お久しぶりです。
理由が分かれば、人は動く。
ホントかなあ?

投稿: denkihanabi | 2010年7月 5日 (月) 02:49

ご無沙汰してます。
なかなか難しい質問ですね。ある程度は、というのが正しい答えなのかもしれません。
でもまあ、最近、ちょっとだけ理由がわかって、気持ち的にはすごくすっきりしたということもあって、とりあえず今はそんな気分でもあったりもします。

投稿: mb101bold | 2010年7月 5日 (月) 03:33

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