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2012年1月26日 (木)

東京糸井重里事務所を退職しました

 思い起こせば、このブログを書き始めてから4年と3ヶ月になるんですね。その半分以上の時を、東京糸井重里事務所で働きながら過ごしたことになります。

 このブログには書きませんでしたが、2年と少し前のある日、このブログを読んでいただいていたという糸井さんからメールをいただきました。それが入社のきっかけです。私にとって糸井重里さんという広告人は、お手本でもあり目標でもありました。つまり、特別な存在なのです。これは、決してお世辞でもなんでもなく、正直な気持ちとしてどうしようもなくあるのです。

 もしかすると、リアルタイムで広告クリエイターとしての糸井重里さんがつくる広告を追って来た世代は、私の世代で最後かもしれません。それ以降の世代では、文化人としての糸井さん、ほぼ日の糸井さんという感じだろうと思います。このブログでも、糸井さんのことはたくさん書いてきました。代表的なエントリは、きっと「糸井重里さんの重さ」だろうと思いますが、そのエントリを今読み返してみて、あれから3年以上経った今でも、やはり重いです。

 東京糸井重里事務所、つまり「ほぼ日刊イトイ新聞」では、主にほぼ日手帳を担当してきました。自社メディアが中心で、かつ、ほぼすべてのコミュニケーションがネットを起点とし、逆のベクトルでマスメディアやリアルに広がっていくという、これまでに経験したことのない仕事に関われたことは、私にとって大きな財産であり誇りです。そこには、コミュニケーションデザインのすべてがありました。また、これからの新しい広告コミュニケーションの大半は、こうした自社メディアを起点とし逆ベクトルで広がるコミュニケーションになっていくはずです。

 また、東京糸井重里事務所では、糸井さんという私にとって、とてつもなく大きく「重い」人に誘っていただかなければ、たぶん私の人生では味わうことの出来ない楽しい経験をさせていただきました。普段は、あまりこういう姿をブログでさらしたりはしないのですが、今回は特別です。こんなこととか、あんなこととか。そうそう、期間限定ですが、横風太郎の壁紙もゲットできるんですよ。ワニが泳いできますので、そのワニをクリックです。

 自分のこれからの人生を考えたとき、やはり、広告人として、様々な会社が持つコミュニケーションの課題に対してソリューションを提供していく仕事をしていきたい。自分ができることは、やはりこれしかないと思う。

 そんな私のわがままを、社長の糸井さんやほぼ日の乗組員のみなさんは、大きな心で受け入れてくれました。また、最終出社日には、糸井さんからは「応援してる」との言葉をいただきました。泣きそうになるくらいうれしかったです。

 また、いろいろと思い悩むことろがあって前職の退職時にブログでのご挨拶が果たせませんでしたが、応援の言葉とともに東京糸井重里事務所へと送り出していただいた、姉帯社長、元クリエイティブ局長の鎮目さんをはじめとする電通ヤング・アンド・ルビカムのみなさん、送別会まで開いていただいた田中貴金属のみなさん、仕事でご一緒したみなさんにも、あらためて御礼を申し上げます。糸井重里事務所でこんなに楽しく有意義な日々を過ごすことができたのも、みなさんのおかげです。

 じつは、退社日は1月31日なので、まだ東京糸井重里事務所の社員なのですが、もう、たぶん最終日まで犯罪などを起こすことなくなんとか過ごせそうですので、正式な退職前ではありますがご報告をさせていただきました。しばらく充電して、また新たに頑張っていこうと思っています。せっかくのフリーエージェントでノマドな身分(これ、一度使ってみたかったんですよね)、これまでお話を聞きたいと思っていた方ともお会いしたいなあと思っています。突然お声がけするかもしれませんので、その折は、どうぞよろしくお願いします。また、お気軽にお声がけください。

 少し書けなくなった時期もありましたが、こうしてまた書き始めてみて、私にとってこのブログはかけがえのないものだとあらためて気付きました。お読みいただいているみなさんにも、あらためて御礼申し上げます。ありがとうございます。

 今後ともどうぞよろしくお願いします。

 twitter:http://twitter.com/mb101bold
 facebook:http://facebook.com/kouji.ikemoto

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コメント

陰ながら応援しております。八橋壮太朗です。
4年ぐらい前。ブログを始めたころ、よく拝見しては、勉強させていただいていました。エントリの内容も文章そのものもステキで、お考えもフィットすることばかりで。
(すぐに「あ、乗組員になられたな」と分かりました)
今後はどのように過ごされるのでしょうか。ご活躍期待してます。

投稿: 八橋壮太朗 | 2012年1月26日 (木) 08:29

YRさん→糸井さんの事務所だったのですね。
存じ上げませんでした。

一層のご活躍をお祈りいたします。

投稿: | 2012年1月26日 (木) 11:01

おめでとう!
道は開かれている。

投稿: bruce06 | 2012年1月26日 (木) 12:31

おめでとう。
応援します。
とりあえず、お疲れさま!

投稿: FootaPAPA | 2012年1月26日 (木) 18:43

はじめまして。
いつも楽しみに拝見させて頂いております。

ほぼ日では「第一回ほぼ日マンガ大賞」でお世話になりました。(それが切っ掛で、現在フリーランスで活動しております)

今後の更なるご活躍を期待しております!!

投稿: mizu | 2012年1月27日 (金) 12:43

退職なさったのですか・・・・・

これからはフリーランスですか?

ようこそフリーランスの世界へ。
昼飯を喰った後、昼寝が出来ます。
(なんのこっちゃ)

稼ぐ自由、飢える自由。

投稿: ををつか(をたくな講師) | 2012年1月27日 (金) 21:36

みなさま、
コメントありがとうございます。
悩み多き日々ですが、今後ともよろしくお願いします。

投稿: mb101bold | 2012年1月27日 (金) 23:50

同じ広告人として、このブログが好きです。
これから読ませてもらいます。

ところで、「糸井重里さんの重さ」で書いてあったことで、もしかしたら違うのでは?と思ったことがいくつか。

たとえば西武百貨店の年間キャンペーン「ほしいものが、ほしいわ」の次のキャンペーンは、博報堂の大貫さんたちがやった「足りないものは何ですか」ではなかったでしょうか。シャーリー・マクレーンとか、ジョージ・ファマンとか出したシリーズ。

ちびまる子ちゃんのシリーズは、結局、お店の現場が対応できなくて止めた、という話も聞きました(どこまでホントかわかりまんが)。

投稿: 広告人2号 | 2012年1月30日 (月) 01:19

引き続きすいません。

あれから当時の糸井さんの西武百貨店の
広告のことをいろいろ思い出してました。

「ほしいものが、ほしいわ。」は、
たしかまだ無名の宮沢りえちゃんと
浅葉さんの息子さんのキスシーンでしたね。

「寄り道主義だ。」とか
「じゃない。」なんてのもありました。

今からみると、ひとつの時代が終わったのに
まだ周辺で漂おうとしていた
意地みたいなものがありました。

しかし、それが無理だとわかると
さっとフェイドアウトしていったような
気配が生まれました。

セゾングループの衰退(というか解体)という
事情もあったのでしょうが。

今や、西武百貨店は
IYグループの傘下になり、
しかもその不良債権と化してしまっています。

かといって悲しいとかではなく、
時代というのは
そのくらいダイナミックに変わるもんだ、
ということを証明してくれたわけで、
今後また新しい潮流が生まれてくる
楽しみをもっています。

うまく言えなくてすいません。

投稿: 広告人2号 | 2012年1月30日 (月) 23:51

>広告人2号さん

コメントありがとうございます。
あのエントリでは「次のキャンペーン」とは明示してなくて、そのあとどのようなキャンペーンが続いていったのかも触れなかったので、ちょっとそのあたり誤解があるのかもしれませんね。
ふたつめのコメントについて、これから読む方のために補足です。おっしゃるようなことは、雑談レベルでは、まあだいたいそうかもなと思うものの、でも、あのエントリと関連させてしまうと、やはり憶測でものごとを断定することになっちゃうと思うんです。
あのエントリでは、自分の中でメッセージとして気持ちに残ったものだけで、あのエントリでは論をすすめています。それに、広告業界という意味では当事者ですが西武の広告に関しては当事者ではなし、取材をしたわけではないので実際のところはわかりませんし。
たまたま、あのエントリとは別のエントリのコメント欄にコメントをいただいた関係、あえて書かせていただきました。広告人2号さんがそう思ったことに関しては、異論はありません。あのエントリは当時反響が大きかったし、ちょっとした炎上っぽい感じもあったので、いらぬ誤読を防ぎたいというか、ちょっとした保身です。すみません。
コメントにいただいたキャンペーンコピーの通史は、あのエントリとは別の視点でいい論考になりそうなので、もう少し掘り下げて、ぜひブログか何かで書いてみられてはいかがでしょうか。きっと面白いものになるはずです。楽しみにしております。
今を生きる同じ広告人としてお互いがんばっていきましょう。今後ともどうぞよろしくお願いします。

投稿: mb101bold | 2012年1月31日 (火) 01:13

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