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2012年1月20日 (金)

Wikipedia英語版ブラックアウト終了後のメッセージ・日本語訳

Thankyou

http://wikimediafoundation.org/wiki/SOPA/Blackoutpage

 

Thank you.

The Wikipedia blackout is over — and you have spoken.

More than 162 million people saw our message asking if you could imagine a world without free knowledge. You said no. You shut down Congress’s switchboards. You melted their servers. From all around the world your messages dominated social media and the news. Millions of people have spoken in defense of a free and open Internet.

For us, this is not about money. It’s about knowledge. As a community of authors, editors, photographers, and programmers, we invite everyone to share and build upon our work.

Our mission is to empower and engage people to document the sum of all human knowledge, and to make it available to all humanity, in perpetuity. We care passionately about the rights of authors, because we are authors.

SOPA and PIPA are not dead: they are waiting in the shadows. What’s happened in the last 24 hours, though, is extraordinary. The internet has enabled creativity, knowledge, and innovation to shine, and as Wikipedia went dark, you've directed your energy to protecting it.

We’re turning the lights back on. Help us keep them shining brightly.

 

意訳:

ありがとう。

ウィキペディアのブラックアウトはこれにて終了です。

あの日、私たちは、自由な知のない世界を想像してみてください、と問いかけました。そして、あなたは語ってくれました。自由な知のない世界にNOを示してくれました。私たちのメッセージは1億6200万以上もの人々に届き、そのNOを示す意思は掲示板に届けられサーバがダウンしたほどでした。ソーシャルメディアやニュースサイトには、世界中の人々の声で埋め尽くされました。そう。あの日、信じられないくらい多くの人が、自由でオープンなインターネットについて語り合ったのです。

私たちにとっては、お金についての問題ではないのです。知についての問題なのです。作家、編集者、写真家、プログラマのコミュニティーとして、私たちは、私たちの著作物が、すべての人に共有され、すべての人のさらなる創造のために使われることを望んできました。

私たちの使命は、人類のすべての知を文書化し、すべての人が永遠に使えるようにすること。そして、その文書化にかかわる人々をはげまし、元気づけ、つないでいくことです。私たちが誰よりも作者の権利について留意していることは言うまでもありません。なぜなら、私たちそれぞれがまさに作者だからです。

SOPAとPIPAは、まだなくなってはいません。いまだ陰のように私たちを待ち構えています。あの24時間に起きた出来事は素晴らしいことだったと思います。インターネットは、その創造性、知、そしてイノベーションによって、これからも輝き続けるでしょう。そして、ウィキペディアがブラックアウトしたように、あなたもまた、その輝きを守るこために力を注いでくれることでしょう。

私たちは、ふたたび光を取り戻しました。これからもインターネットが輝き続けるために、あなたの力を貸してください。

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 このSOPAとPIPAについて、ちょっと補足を。

 アメリカの国内問題だから、日本に住む私たちにはちょっとわかりにくいですが、SOPAは「Stop Online Piracy Act(オンライン海賊行為防止法)」の略で、下院で提出されています。PIPAは、Pro-IP Actの略で2008年に上院で起草された法案で、SOPAと同様の趣旨のものです。

 この法案は、簡単に言えば、米国国外でネットを通じて著作権の侵害があった場合、アメリカの法律を適用して違反者を取り締まることができるというもの。背景には、中国なんかで流通している映画コンテンツの海賊版だったり、あと、大きな問題になっているものでは医薬品があります。だから、この法案では知的所有権の侵害も対象にしています。

 実際、Googleは、検索上位のリンクが違法医薬品を扱うサイトになっているということで、医薬品メーカーから巨額の訴訟を抱えたりしているそうです。この法案では、海外の違反者を取り締まることができると同時に、国内で違法サイトのリンクを表示しているだけでも問題になります。

 ただ、これだけなら、まあいいじゃないか、という感じでもあるのですが、違法サイトのリンクかどうかを判断するためにDPIという検閲を行わないといけないらしく、そのことがネット上の言論の自由を脅かしたり、プライバシーを侵害したりする懸念がある、ということだそうです。

 それと、この法案が拡大解釈されると、いわゆるソーシャルメディアの運営がコスト的にかなり難しくなるとのこと。つまり、インターネットの自由そのものが失われる、と。だから、今回のブラックアウト行動は、GoogleやFacebook、Twitterなんかも同調しているんですね。私が、ちょっと興味を持ったUncyclopediaも、いつもは反Wikipediaなのに同調したんですね。とはいえ、やはり、そこは彼らなりの皮肉や嫌みを忘れずに、といういかにもUncyclopediaらしいやり方でしたけどね。

 この法案の背景にはロビー活動があるらしく、お金をバックボーンにした政治活動は意義はどうであれ、政治家はかなりがんばってしまうので、かなり根の深い問題らしいです。これは、TBSラジオのDigで知りました。

 Wikipediaのブラックアウトは、メッセージの出し方とかうまかったですよね。なので、そのメッセージングの興味もあって翻訳してみました。上の日本語訳は、直訳ではなく意訳です。ただし、英語のオリジナルの意味からは逸脱はしていないと思います。日本語にしたときに、英語の意味がいちばんわかるように、いろいろ足したり引いたりアレンジしています。この訳間違ってるよ、というときは、お気軽にご連絡ください。

 ブラックアウト当日のWikipedia、Uncyclopediaはこちらをどうぞ。Imagine a World、なかなかうまいですよね。

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