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2012年2月16日 (木)

そうなんですよね。僕らだって意味もわからず英語の歌を聴いてきたんですよね。

 いやはや、すごいもんです。ここ最近のインターネット界隈で、いちばんいいニュースだったのではないでしょうか。PINK MARTINI & SAORI YUKI / 1969の大ヒット。この素敵な出来事は、いろいろな記事になっています。

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由紀さおり、1969年作品を歌う『1969』が世界20ヵ国以上でリリース - BARKS ニュース

由紀さおり、ニューヨークでスタンディングオベーション - BARKS ニュース

由紀さおり「夜明けのスキャット」、なんとギリシャremixが世界50ヵ国以上で配信決定 - BARKS ニュース

 なによりも素敵だなと思うのは、この日本語の歌がアメリカで売れて、そこから世界に広がったこと。聴いてみてわかるのは、PINK MARTINIの演奏が、驚くほど「歌謡曲」なんですよね。アメリカでヒットして世界で売れた、というニュースを期待して聴くと、あっけにとられるくらい「歌謡曲」そのもののアレンジ。歌謡曲を聞き慣れた僕らからしたら、もうちょっとひねってもよかったんじゃない、って思うくらい。

 でも、そう思うのは、僕らが心のどこかで歌謡曲を本家の洋楽に対して引け目を感じているからでしょうね。日本の歌謡曲は、PINK MARTINIのリーダーであるトーマス・M・ローダーデールさんにとっては、まったく別の音楽だったんでしょう。どちらが優れているか、とかではなく。それは日本語に対してもそう。えっ、日本語で歌うの、と僕らは思うけれど、でも、僕らだって意味もわからず英語やフランス語、ブラジル語の歌を聴いてきたわけですから。そして、その歌謡曲を再発見して、スムースジャズというかイージリスニングのコンテキストに乗せたトーマスさんの才能は素晴らしいと思います。

 YouTubeで、2011年12月20日にポートランドで行われたコンサートの映像が公開されています。由紀さおりさんは、PPMのPuff, the magic dragonを日本語で歌っています。この映像は、いろいろなことを教えてくれます。

 
 この歌が、他ならぬPPMのPuff, the magic dragonだから、余計に分かりやすいですね。この曲は、アメリカ人なら、子供から大人まで誰でも口ずさめる国民的な歌なんですね。これまで、この曲はいろんなアレンジで演奏されてきましたが、この演奏のアレンジはやっぱり日本の歌謡曲のそれです。由紀さおりさんの歌も、そこがアメリカのポートランドであることをまったく意識していないかのような歌い方。たぶん、在米日本人を対象にしたコンサートではないと思いますし、ほとんどの人は日本語はわからないでしょう。NHKでもこの映像は流れていましたが、お客さんへのインタビューでも「日本語はわからないけど、とっても素敵だった」みたいなことをおっしゃってましたし、僕らが英語の歌を聴くように聴いているんでしょうね。

 なんとなくこの映像を見ていると、日本の音楽界が、ある憧れと敬意をもって洋楽を吸収してきた生真面目さを感じるんですね。リスペクトの心というか、この演奏を聴いたアメリカの人は、僕たちが愛している曲を日本人はこんな感じに解釈して、こんなふうに歌ってくれているんだ、と感じているような気がするんですね。

Puff, the magic dragon lived by the sea
And frolicked in the autumn mist in a land called honah lee,

 曲の最後で、由紀さおりさんが英語で歌います。そこで拍手が起るんですよね。この部分にすべてがあると思います。

 そして、洋楽を懸命に吸収してつくりあげた「夜明けのスキャット」や「ブルー・ライト・ヨコハマ」なんかの日本の歌謡曲が、まったく新しい音楽として、世界で聴かれている。それは、とても素敵なことだなあ、と思います。ほんと、素敵。

SAORI YUKI OFFICIAL WEB

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コメント

こんにちは。

最近広告に興味があるので、いろいろ見ていて、流れてきました。(現在仕事中ですが…)

また寄らせてもらいます。

今回はこのへんで、失礼します。

投稿: ルー | 2012年2月17日 (金) 10:29

こんにちわ。偶然でびっくりしています。15日(そちらの16日)に、Austinのショッピングモールにあるスターバックスで、カウンターに座ってボーっと、お店の外にいるお客を眺めていたら、日本語のマシュケナダが流れて、一瞬、日本にいるような、、どこにいるのか訳がわからなくなりました。 あれは由紀さおりさんだったのかもしれませんね。何故か胸にずっと残っていました。

ウパウパ、ワワワみたいな、雄叫びみたいな音楽とも言えない音をずっと聞かされていたアメリカ人の耳にも、彼女の声が妖精の歌声のように染み透ったのかもしれないですね。テキサスは相変わらず、テキサスですが(?)

投稿: へサリントン友子 | 2012年2月18日 (土) 12:25

>ルーさん

どうぞよろしくです。

>へサリントン友子さん

きっと由紀さんだと思います。昨年の4月くらいにはスターバックス×iTunesのチャリティー企画として、お店でCDも置かれていたそうですよ。

投稿: mb101bold | 2012年2月18日 (土) 18:14

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