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2014年8月の1件の記事

2014年8月29日 (金)

ラジオのこと

 ナイティナインのオールナイトニッポンが9月いっぱいで終わるそうですね。8月28日深夜放送分をradikoで聴きました。矢部さんが終わる理由を話していました。たぶん、その理由はいろんなところで報道されるでしょうから、ここでは詳しくは書きませんが、私はとてもいい終わり方だと思いました。こんな理由で20年続いた番組を終わらせることができるのも、ラジオというメディアのいいところだと思うんですよね。
 ラジオの出演者はパーソナリティと呼ばれます。テレビではパーソナリティとは呼ばれません。ナイティナインはテレビで冠番組をいくつも持つ人気タレントです。でも、そんな彼らにもそれぞれの人生があるわけで、その中でテレビでは決して表現しないけれど、当然、人間として心のなかで感じていることもあるわけですよね。その秘めた思いを、きっとほんの少しだと思いますが、きちんと表現できるのが、映像を禁じられた音声メディアであるラジオというメディアなのでしょう。そこには確かに、パーソナリティとしての矢部さん、岡村さんがいました。
 パソコンがあれば誰でも簡単に映像コンテンツが作れてしまう時代ですが、私はラジオが大好きです。これは懐古趣味じゃなくて(まあ、私の世代は若い頃にラジオを聴きまくった世代ですので、少しはあるのでしょうけど)、たぶん、メディアの条件みたいなものなんだと思います。映像を禁じるからこそできることはあるのだろうなと思うんですね。マクルーハンが「メディアはメッセージである」と言っていますよね。その真意を理解しているわけではないけれど、たぶん、メディアの条件によってメッセージは変わる。そんなふうに思います。同じ映像でも、テレビと映画では違う。同じように、ラジオにしかできないことがある。きっと、ある。その、ラジオにしかできないことが、私は好きなんですね。
 縁あって、今、私は放送批評懇談会というNPO法人でラジオ委員をしています。任期4年で3年目に入りました。ラジオ委員会では全国の放送局のラジオ番組をたくさん聴くのですが、今、ラジオは必ずしも面白い番組ばかりとは言えません。今までラジオをまったく聴いたことがない人が聴いて、またラジオを聴いてみようと思わせるようなパワーがある番組は、以前より少なくなっているような気がします。
 いまいちばんの人気者で、今どき珍しくラジオに積極的な人たちなので、AKB48のメンバーが出演するラジオもたまに聴いたりしますが、多くは、テレビの楽屋っぽい雰囲気があるんですね。たくさんの人達が出演するひな壇番組を楽屋に移したみたいな感じ。吉本や松竹の芸人さんが出演する大阪の深夜ラジオも、その傾向が強いです。つまり、ラジオは、テレビの裏側みたいなメディア理解なんですよね。ファンの人にとってはそれでいいと思いますが、ラジオに元気がない時代だからこそ、もう少し欲張ってほしいなあと一ラジオリスナーとしては思うんですよね。AKB48が出演するテレビ番組には、ファンの人以外の視聴者を惹きつける魅力があると思うんですが、なぜかラジオにはそれが少ない気がしています。
 例えば、AKB48のファンの方が、そのメンバーの声を聴きたいからラジオを買って、もしくはradikoにアクセスしてラジオを聴いたときに、AKB48のメンバーの魅力とともに、あっ、ラジオって面白いなあ、魅力的だなあと思えるような番組であれば、と思うんですね。これを逆に言えば、AKB48のことをまったく知らない人が、そのラジオ番組を聴いて、あっ、この番組、面白い、また聴きたい、と思わせるような番組。もっと言えば、AKB48きっかけで他のラジオ番組も聴いてみようと思わせるような番組。私は広告屋ですが、ラジオをもっとたくさんの人に聴いてもらうためには、大規模な広告キャンペーンなんかより、よっぽど効果があると思うのです。
 そんな中で、AKB関連で、これはいいなあと思うラジオ番組がひとつだけあります。大阪のMBSラジオでやっている「NMB48のTEPPENラジオ」。渡辺美優紀さんが特にいいですね。NMB48のみるきーではなく、今どきの女の子は、こういうふうに世の中のこと、人生のことを考えているんだなあ、と感じます。もちろん、それは、みるきーこと渡辺美優紀さんにラジオパーソナリティとしての才能がある、ということでもあるのですが、彼女のトークを聴いていると、そうそう、ラジオって、こういうこと、とうれしくなります。で、そんなラジオ番組だから、しっかり聴く人も増えているようで、もともと週3回の15分枠番組が、今年から週1回の1時間番組になりましたもの。放送エリアの方は、ぜひ聴いてみてください。
 とまあ、ラジオのことをつらつらと書いてみましたが、ブログを書くのは久しぶりで、どうも調子がうまくいきませんね。ブログは個人メディアで、どう書こうが私の勝手ではあるんですが、やっぱり照れがどうしても入ってしまいます。じつは、久しぶりにブログを書こうと思ったきっかけは、放送批評懇談会主催のイベントを告知しようと思ったからなのですが、前段が思いの外長く、かつ、イベントにあまり関係のない話になってしまいました。でもまあ、こういうの、ブログらしいのではないでしょうか。ブログというメディアができることって、こういうことですよね。きっと。ともあれ、ここまで読んでいただいた方、どうもありがとうございました。
 では、告知です。放送批評懇談会ラジオ推奨委員会主催で「ギャラクシー賞を聴いて、語り合う会」というイベントを開催します。9月28日(日)、場所は東京半蔵門のFM東京です。第51回ギャラクシー賞の受賞作の中から、今年第1回目の今回は、大賞受賞作と優秀賞受賞作を聴きます(第2回目も予定しています)。今回の2作品は、どちらも震災に関連したラジオ番組です。あの震災から3年経ちましたが、その時間の経過も含めて、ラジオというメディアがあの震災のその後をどう描いたのか。パーソナリティというラジオ独特の言葉が示すような、ひとりひとりの人に寄り添ったラジオらしい表現のあり方が、この2つの作品にはきっとあるはずです。そのあたりをぜひ聴いてほしいと思います。
 制作者の方もゲストにお呼びしています。もちろん、質問もできますよ。会費は1,500円です。なんだ、無料じゃないのかよ、と思った方もいらっしゃるかもですが、まあ、そのぶん、たっぷり時間をとっていますし、そのぶん結構楽しい会だったりします。業界の方は、もうご存知だと思いますが、私はむしろ、ラジオなんか興味ない、そういえばここ数年、ラジオ聴いてないなあ、という感じの方に来ていただきたいなあ、と思っております。まあ、有料イベントだしハードルはかなり高いでしょうけど、そこまで言うなら行ってみようかな、という方、委員一同、お待ちしております。
 聴取作品の概要や申し込み方法などが記載されていますので、詳しくは、下のリーフレットをご覧くださいませ(画像をクリックで拡大できます)。ちなみに表面の写真は、今年の7月に岩手県の大槌町で撮影した写真です。大賞受賞作の中にも、大槌町で町のガイドをする女子高生が出てきます。彼女が番組の中で話していた堤防の造成と町全体の再開発が進められていています。
 

Kukukai17_1_2

 

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