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2019年11月18日 (月)

書籍『超広告批評 広告がこれからも生き延びるために』 付録:「ごくごく私的な平成広告31年史」年表/まえがき

 もともとは書籍『超広告批評 広告がこれからも生き延びるために』 の付録として収録つもりだった原稿で、ワードファイルを見ると約3万文字くらいの分量がある。収録しなかったのは「これまで常態化していた〝褒める批評〟を封印し、あえて問題広告を対象とすることで、現代日本の広告や社会が持つ課題を根源的かつ鋭角的に提起する」という書籍のコンセプトから外れることから。収録することで1冊の書籍としての軸がブレると考えた。そこを除けば、平成時代を生きた「ある広告人」が感じた平成広告31年の記録としては、それなりに興味深いものにはなっているのではないかとは思う。

 僕は1991年(平成3年)にこの業界に入った。当時大阪にあったベーシックデザイン会社の企画部プランナーとしてキャリアをスタートした。「ロゴ1つ、1億円」と言われたCI(コーポレート・アイデンティティ)ブームの最後の時期だった。バブル崩壊の煽りを受けて業績が低迷しリストラが始まった。僕は若かったので対象にはならなかったが、多くの先輩たちが辞めていく中で人で不足となり制作部コピーライター兼任になり、いつしかCI受注も減り、いつのまにか広告制作が仕事のメインになっていった。その後、本格的に広告制作に軸足を移そうと東京のデザイン事務所から外資系広告代理店に移籍し、クリエイティブ・ディレクターになり、縁がありネット関連会社に移り独立した。

 平成の広告はほぼ僕が社会に出て広告と関わった時期と重なっているし、時代の流れに従ってというか翻弄されながら生きてきた。僕はあまり昭和、平成、令和という時代区分については意識的ではないけれど、誰も書かないなら書いてもいいかなという気分にはなった。もちろん書籍を書くにあたっての情報収集と整理という意味合いもあったが、書いていくうちに1年ごとに色が大きく違うことに気付かされた。時代は生き物であることをあらためて見せつけられる思いだった。

 平成広告史と言っても、広告業界の重要なトピックを追っていくような業界史的なものではなく、あくまで社会や経済と広告の関係を1年というスパンで大きく捉えたもので、取り上げている広告は今も記憶に残るものが多い。そういう意味では、徹底した生活者目線に自身の経験を加味した私的なものなので、その向きを期待されている人には物足りないとは思うが、逆に広告にあまり興味がない方にとっても、生活や文化と広告の関係についてある程度は理解できるような読み物にはなっているのではないかと思う。

 これは書籍についても同じで、書籍の性格上、どうしても広告関係者にしかリーチはしにくいが、本当はもっと広く社会を考える方に読まれてほしいとは思っているし、初心者向けの内容にはしていなし専門性を落としてもいないが、広告についての知見があまりない方でも追っていけば理解できるような記述を心掛けたつもりだ。すぐに仕事に活かせるノウハウを提供するような売れ筋の書籍ではないので、地道に広げていくしかないと思っている。

 原稿はあるので、平日に1年というペースで更新していこうと思う。あくまで僕側の気持ちとしては、書籍を読んでいただいた方への付録として、また、これから書籍を手にとってみようかなと思っている方の手助けとして、という感じである。平成広告31年史だから令和元年の間に公開したいという思いもある。

 この原稿は公開してからも随時気が向けば加筆修正していくだろうと思う。公開した記事は下記目次にリンクを追加、記事は記事下にある「平成広告史」カテゴリーに収録。時代の記録でもあるので、出版社からの出版になるか自費出版になるかはわからないが、どこかの段階でまとまった書籍にできればと考えている。ともあれ、俯瞰で見ればそんなに変わらないだろうと思える平成31年の広告も、あらためて見直してみると変化の大きい31年だった。というか、ウェブの誕生と普及という意味ではこれほど変化のあった時代は今までになかったと言えるかもしれない。

目次

追記:当初、1日1年分というペースで公開しようと考えていたが、もともとこの原稿は平成31年間を一気に記述することで、平成という時代の広告の流れを描くという目的で書かれているので、どうしても物足りない印象が拭えず全文をすべて公開することにした。スマホ時代でもあるし、ブログとしてはかなり長く読みづらいエントリにはなると思うが、こちらの公開の仕方が著者としての僕の意図に近く、4年分公開した途中であるが全文公開に切り替えた。

「ごくごく私的な平成広告31年史」年表(全文)

 大型書店では取り扱いはあると思いますが、現在は通販を含めて在庫僅少とのことで、特にAmazonでは在庫が切れやすいようです。稀少本と称した新古本の高額出品もあるようですのでご注意ください。在庫が切れている場合は他の通販サイトや、より入手が確実な「財界展望新社公式通販サイト」をあたってみてください。

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